ymtetcのブログ

偶数日に『宇宙戦艦ヤマト』を考えるブログです。

宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第一章『嚆矢篇』から1年

 始めて書く記事(と呼ぶと少し恥ずかしいのですが)のテーマとしては、今日は標記のテーマについて少し書いてみたらいいだろうなと思い、私の個人的な考えに基づいて1年前の第一章を振り返ってみることにします。

 1年前の今日、公開された『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』の第一章『嚆矢篇』。私としても思い入れの非常に深い作品です。既にこの時期にはPVも冒頭10分も公開されていましたので、公開を迎えたあの2月25日は「やっと」という思いでした。

 この『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』(以下2202)という作品には、おおよそ3つの側面があります。ひとつは『宇宙戦艦ヤマト2199』(以下2199)の続編であるということ。もうひとつは『宇宙戦艦ヤマト2』(以下2)のリメイクであること。そして何よりも『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』(以下さらば)のリメイクであるということです。2202は、この3つの要素を有しているがために、ファンの間でも非常に多様な議論を呼んでいますが、これはまたの機会に、私感を整理出来ればと思います。

 以上、2202の3つの側面について紹介しましたが、この第一章『嚆矢篇』も、この要素が反映されています。これは他所で何度も語られていることですから振り返りにはなりますが、『嚆矢篇』を形成する全2話の内、第1話は「2199の続編として」、第2話は「さらばのリメイクとして」の側面を持っているんですね。例を挙げるならば、第1話では地球・ガミラス連合艦隊による対ガトランティス戦、そして拡散波動砲による旧ヤマトクルーへの衝撃。第2話ではアンドロメダ(級)の式典、古代と雪のデート、英雄の丘。などなど。ところで「2のリメイク」はどこへ行ったんだというお話ですが、2202においてヤマト2の要素とは「ネタ」を提供する存在、すなわちオマージュの引用元ではあっても、2202の根本を占めるものではないというのが現時点での私の解釈です。

 それでは、私感と行きましょうか。嚆矢篇では羽を伸ばして聖地・新宿ピカデリーで鑑賞しましたので、これも思い出として書き残しておきたいと思います。

 さて、第四章『天命篇』までの上映が終わり、いよいよ2202のコンセプト、作品としての特徴がはっきり見えてきた現在ではありますが、振り返るとこの第一章の頃から、それは徹底されているということが分かります。

 私の考える2202の作品としての特徴は、主に

 ①次回への引きが強い

 ②迫力重視の戦闘シーン

 ③『さらば』の拡大解釈に基づくストーリー

 の3つからなります。①と②は既に様々な所で公式に語られているものです。海外ドラマを目指した、と福井さんが良く語られている通り、2202は常に「良い所」で終わります。第1話では突如として沖田艦長が登場して「ヤマトに乗れ」と謎を残し、第2話では古代君が謎のイケメンに月へ招待され、ガトランティスが地球に照準を合わせてエンディングを迎えます。この方針は殆どの回で徹底されているように思います。そして、戦闘シーン。2199のツッコミどころの少ない緻密な戦闘シーンも魅力的でしたが、時折「おもちゃのように見える」などの批判もありました。2202の戦闘シーンは基本的に迫力と勢いが重視されています。第一章において、カラクルム級が設定のサイズよりも大きく描かれている話は有名です。

 本題は③です。これは全話について言えることですので、またの機会に改めて整理したいと思いますが、ここでは第一章に関連して振り返りたいと思います。この嚆矢篇においても「ストーリーが違うな」「オリジナルだな」と感じる部分が多かったのではないでしょうか。例えば「やはり愛が必要だ」「ヤマトに乗れ」「(ガトランティスの兵士は)自爆する」「息子さんの病気」「あんたを月に招待する」などです。しかし、私の解釈では、月に関連するもの(加藤夫妻・キーマン中尉)を除けば『さらば』の拡大解釈だと考えています。これはその後の章(第四章まで)においても同様です。愛を説くズォーダー、自爆するガトランティス兵は『さらば』における古代進「断じて違う」を逆手に取ったものであり、「ヤマトに乗れ」は沖田艦長「……命だよ」の再現に他ならないと考えています。このように、一見オリジナルでありながら『さらば』に対してアンサーしていくようなスタイルは、第二章以後も継続されているものであり、これから公開される第五章以降においても続くものだと私は考えています。

 逆に言えば、2202の展開にとって今後、大きな役割を果たすかもしれないのが「月の人々」です。古代進・ズォーダーが(メタ的には)『さらば』へとアンサーしていくような展開のストーリーの中で、加藤真琴・翼、バレル大使・キーマン中尉がどのような役割に立つのか。私感に基づく勝手な期待ではありますが、注目してきたいと思います。

 

追記のような形で、最後に呟きたいと思います。

第一章で登場した「きさらぎ」。復活篇に登場した「貨物船ゆき」と同型のもので、羽原監督・小林副監督が復活篇スタッフであったからか、ちょっとした批判の対象となりました。しかし、デザインの好みはともかくとして、登場したことそれ自体は、復活篇を「旧作ヤマト」の一部として考えている私としては受け容れやすいことでした。2220年時点でそのエンジンが「オンボロ」と呼ばれていましたから、2199にヤマトⅢ(3)のキャラクターである平田など、旧作続編のキャラクターが登場したことと、何ら違いはないと私は思っています。