ymtetcのブログ

偶数日に『宇宙戦艦ヤマト』を考えるブログです。

続・ヤマト2202と銀河:③意外に珍しい「愛」を中心に描くヤマト映画「永遠に」

  • はじめに

 時系列順にメモを蓄積していく本シリーズ。今回は比較的軽い暗黒星団帝国2部作(というと怒られそうなんですが)、を見ていくことにしましょう。

  • 新たなる旅立ち

 といっても、「新たなる旅立ち」については触れません。その理由は「ヤマト2202と銀河」でも触れていますが、

 

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  要は、この作品におけるヤマトが「人類最後の希望」ではないからです。この蓄積メモシリーズが「続・ヤマト2202と銀河」という題名を付けているのは「人類最後の希望」論という点において「ヤマト2202と銀河」と連続性を持った議論になるためなのですが、まさに「新たなる旅立ち」は、「人類最後の希望」論としては現状、議論の外に置かなくてはならない作品です。

  • ヤマトよ永遠に

 しかしながら、この作品も「特殊能力型人類最後の希望」論であるこの蓄積メモの議論から考えますと、少し距離があると言わざるを得ません。というのも、地球を救ったのは「ヤマトの特殊能力」ではないからです。

  • 波動エネルギー

 この作品では、敵が波動エネルギーに対して極端に弱いという設定があり、この設定がゴルバ誘爆花火大会に繋がったり、二重銀河が吹き飛んだりという場面を生みだします。これはある意味「特殊能力」ではあるのですが、地球を救う仕掛けではありません。別に敵の母星を吹き飛ばすのはヤマトでなくても出来たことですから。

 さて、重核子爆弾を止めるためには敵の母星だけではなく地球の爆弾本体も止めなければならないのですが、これを引き出すのが「愛」です。アルフォンの、森雪に対する。強いて言うならこれが「特殊能力」でしょうか。でも森雪が人類最後の希望だなんて違和感があります。

  • 「人類最後の希望」論的結論

 ということで、『ヤマトよ永遠に』の「人類最後の希望」論的結論は、以下の通りです。

 〇「人類最後の希望」:宇宙戦艦ヤマト

 〇「愛」という「特殊能力」を得た:森雪

 〇「特殊能力型人類最後の希望」:該当なし

 こんな感じでしょうか。つまり、『ヤマトよ永遠に』に「特殊能力型人類最後の希望」は存在しないということです。

  • おわりに――余談

 余談なのですが、この映画、「愛」を物語の根幹にドスンと置いた、意外と珍しい映画と言えます。というのも、「さらば」とこれ以外のヤマトにおいては、随所で「愛」は描かれますが(例えば島とテレサの愛)、物語の根幹に愛を置くってのは意外とないものなのです。

 この映画で描かれたのは「離れ離れの愛」。「信じあう二人」「愛しあう二人」「離れ離れであれば尚のこと、ひとりひとりであれば尚のこと」「愛することは信じること、信じることは愛、愛すること」。こんなフレーズがこの映画を取り巻きます。

 これほどまでに「愛」を根幹に据え、それを明確なテーマとして描いた映画。ある意味、福井さんにリメイクして欲しい映画でもあります(笑)