ymtetcのブログ

偶数日に『宇宙戦艦ヤマト』を考えるブログです。

どんな「ヤマト」も存在を否定できない/してはならないと考える理由。@おすすめヤマトメロディ

こんばんは。ymtetcです。

宇宙戦艦ヤマトシリーズのファンには、色々な派閥があります。

「さらばまで」「完結編まで」「リメイクは認めない」「2202は認めない」などなど。

派閥形成と対立は、ヤマトに限らず、シリーズ作品の宿命とも言えるでしょう。

そんな中、派閥対立が唯一少ない、ファンが「ひとつになれる」のが

音楽

です。宮川泰羽田健太郎・デヴィッド マシューズ・山下康介宮川彬良らの手によって生み出された優れた音楽は、多くのファンの心を掴んで離しません。

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さて、これらの音楽は、どうして生みだされたのでしょうか?

これは、当たり前の話です。

ヤマト作品が存在する

からこそ、音楽が生みだされたのです。

これこそ、私が”どんな「ヤマト」も存在を否定できない”、”してはならない”と考える理由なのです

もちろん、ヤマトシリーズの作品群は、全てが大傑作という訳ではありません。

しかし、現時点で生まれてきたヤマト作品が存在しなければ、この世になかった音楽がたくさんあるわけです。

だから私は、どんなに「駄作」であろうと、新しい「ヤマト音楽」がそこにある限り、新作の存在を否定することはできません

ということで今日は、「蛇足」と呼ぶ人が多くなっていたであろうヤマト2以降の作品から原則一曲ずつ、一言添えながら「おすすめヤマトメロディ」を紹介していきたいと思います。普段は変な曲を紹介してますが、今日はベタにいきますよー。

〇「テレサよ永遠に」(『宇宙戦艦ヤマト2』)

この曲については、ネット上でこんなエピソードを読んだことがあります。

  • 『さらば』の劇場でレコードを買った。
  • が、聴いてみるとそこに収録されている曲は映画で使われていなかった。
  • その曲が『ヤマト2』のエンディングで使われた時、嬉しかった。

こんなエピソードです。当時劇場では、「テレサよ永遠に」と「好敵手」を収録したシングルレコードが売られていたようです。確かにこれらの楽曲は『さらば』の劇中歌でも、エンディングテーマでもありませんでした。

ある意味それを世に出したのが『宇宙戦艦ヤマト2』だったわけです。

『2』の音楽は『さらば』用に収録されたものを流用していたようですが、それでも、この作品があることによってこんな効果が生まれていたんですね。

〇「新コスモタイガー」(『宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち』)

説明不要の一曲です。若き新乗組員が登場した「新たなる旅立ち」だからこそ、この爽やかな曲が生まれました。復活篇・2199でこの曲のアレンジ版が作曲され、前者の復活篇バージョンは未だにテレビ番組で使用されていることもあります。世代を超えて愛されていると言えるでしょう。

〇「サーシャ(澪)」(『ヤマトよ永遠に』)

甘酸っぱい、初恋の曲。そんなイメージの曲です。ヤマト初の萌えキャラ?とか言われることもあるサーシャ(なんか雪がかわいそう)。中心となるフレーズを繰り返しながら展開していく一曲で、すごく宮川さんらしいと思います。

〇「ボラー連邦」(『宇宙戦艦ヤマトⅢ』)

ロシア。ロシアロシア。ソ連ソ連ソ連。そんな曲です。シリーズの中でも随一のお気に入りがこの曲。様々なアレンジが施されていて、こんな攻めたアレンジもあります。

W.C.D.A. / ボラー連邦/宇宙戦艦ヤマト3 - OTOTOY

以前ネットを見ていたら「この曲はボラーが負けてる時にかかっているイメージ」とか書かれてて笑いました。確かにそうなんですよね。ちょっと悲壮感のある曲で、それでいて敵国家のメインテーマであるという。このちょっと屈折した感じもまた魅力です。「ロシア(ソ連)」をイメージした「ボラー連邦」が登場するこの作品だからこそ、生み出された曲だと言えます。

〇「ルガール総統の斗い」(『宇宙戦艦ヤマト 完結編』)

スペイン。フラメンコ。そんな曲です。踊りだしたくなるのは当たり前。

ボラー連邦にも言えることですが、宮川泰という「耳に残るメロディ書かせたらピカイチ」みたいな素晴らしい作曲家に、特定のジャンルをモデルにした楽曲を書かせたことが、ヤマト音楽の最も素晴らしい点だと私は思います。

以前「星野源宇宙戦艦ヤマトを書かせたい」なんてことを冗談で言ったこともありますが、「宮川泰ロシア民謡を書かせる」など、まさにこういったコラボレーションを実現してきたのがヤマトシリーズの音楽だと思います。

〇「地球連邦のテーマ」(『YAMATO2520』)

実は2520のサントラを持ってなくて(今入手できるのは音楽集だけのようです)、あまり2520の音楽を語る立場にはないのですが、そんな私がパッと想像して浮かんできた「2520の名曲」がこれです。

胎動編だったかVol.0だったかに収録されていた、

”マシューズ氏の楽曲に納得がいかず西﨑Pが修正するシーン”

の楽曲「皇帝ブローネ」も興味深い曲なのですが、今パッとメロディが思い出せる曲ということで、この「地球連邦のテーマ」をおすすめしておきます。

パーン パパパーン パパパー♪ パーン パパパーン パパパーン↑♪

みたいな感じですよね。しっかり覚えてますよ(ほんまかいな)。

ともあれ、デヴィッドマシューズという作曲家に、西﨑Pが宇宙戦艦ヤマト」の文脈で音楽を書かせたという、その事自体が貴重なものであると言えるでしょう。

〇「メッツラー」(『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』)

復活篇(無印)の音楽は、旧作ヤマトからの流用音源・未使用音源・交響曲ヤマト・山下康介氏によるオリジナル曲・クラシック曲の5つから成ります。

小林誠副監督の証言では、西﨑監督にとって羽田健太郎さんを失ったことは大きな痛手だったようです。一度は山下さん(羽田さんの弟子にあたります)のオリジナル曲と流用・未使用音源を中心とした音楽構成も考えられていたようですが(DC版に近い音楽構成)、紆余曲折あって、西﨑さんの希望通り「イマジネーション元」であるクラシックを使うことになったようですね。

逆に言えば、無印版復活篇で残っている山下さんの楽曲は、西﨑監督の厳しいフィルターを潜り抜けて採用された楽曲だとも考えられます。

そこで、敵ボスのテーマである「メッツラー」をここではご紹介しました。復活篇で登場した「新曲」は、音楽プロデューサーとしての西﨑さんが最後に手掛けた「新曲」にあたるのかもしれません。その点から言っても、貴重であると考えられます。

〇「虚空の邂逅」(『宇宙戦艦ヤマト2199』)

2199随一の名曲です。第七章へ向けた追加レコーディングの中で演奏されたため、第七章が初出となりました。2202でもピアノver.が使用されましたね。

この曲については、「想人」(『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』)のバリエーションであるという議論があります。下記のブログに詳述されていますので、是非ご覧ください。

ヤマト2199BGM「虚空の邂逅」がさらばヤマト「想人」の派生曲だった件の巻 - 音楽図鑑 - 近況報告

〇「第五章新曲」(『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』)

チョイス、迷いました。既に「滅びの方舟」「大帝ズォーダー」という名曲を2202は生んでいるからです。しかし、敢えてこの曲をチョイスさせてください。

宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第五章 煉獄篇 新BGM 宇宙を壊す愛のテーマを弾いてみた:楽譜付き - YouTube

この曲です。

賛否を呼んだ場面ではあります。しかし、名曲です。素晴らしい一曲です。

 

以上、このように、ヤマト作品は続編を作るたびに、しばしば「蛇足」と評されることもありましたが、その「蛇足」であるはずの作品から名曲がたくさん生まれています。

そのことに対して、感謝したいと思います。

だからこそ、私はヤマトシリーズにおいて、作品の存在を否定しません。

許せないこと、気に入らないこと、もちろんあります。しかし、その作品にかけた努力、名曲に結実した宮川さん達の努力を想えば「なかったことに」なんて台詞は言いたくありません。

そしてまた「宇宙戦艦ヤマト」が、2202で終わることなく未来へと続いて欲しいと強く思います。