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偶数日に『宇宙戦艦ヤマト』を考えるブログです。

2199戦闘シーンにおける「ワクワク感」と、2202第六章劇場予告編

『宇宙戦艦ヤマト2199 第五章 望郷の銀河間空間』LongVerisonプロモビデオ - YouTube

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2199における戦闘シーンといえば、第五章『望郷の銀河間空間』です。一方で2202における戦闘シーンというと、2199と比べてしまえば、私にとってはどれも今一歩で、「これがおススメ」と敢えて取り上げられるようなものはありません。しかし、第六章劇場予告編の戦闘シーンは期待の持てるものでした。

『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』第六章 回生篇 劇場予告編(60秒) - YouTube

2199の戦闘シーンにおける「ワクワク感」を担っていたのは、デザインよりもむしろ、ダイナミックな演出だったと思います。2202はメカデザインで批判を受けていますが、それよりも私が批判したいのは、戦闘シーンにおける「ワクワク感の無さ」です。すなわち、2202の戦闘シーンにはダイナミックさが足りません。

パート1~完結編の「ヤマトの10年」における宇宙戦艦ヤマトは、メカニックも手描きでしたから、戦闘シーンの演出にも自ずと限界がありました。

その後復活篇以降、ようやくCG技術の進歩が多様な戦闘シーンを可能にしました。ただし復活篇は、「~完結編」までのヤマト戦闘シーンの演出を受け継ぐ方針を選び、CGは美麗でしたが、演出は旧来の作品群の枠組みから突出するものではありませんでした。

一方、2199は新しい戦闘シーン演出に着手します。

例えば、第1話におけるキリシマの高速機動は、「軽すぎる」として批判を受けました。しかしながら、私にとってはそれこそが「ワクワク感」の源でした。これまでのヤマトで見られなかったような演出が、2199では見られたのです。

また、このキリシマの動き、実は艦艇が高速機動しているのではありません。もちろんキリシマも動いていますが、ここではむしろカメラの方が動いています。「艦艇はゆっくり動くもの」というヤマトシリーズの美学と、ダイナミックさの間をとったような演出であると言えるでしょう。

対して2202は、第一章の戦闘シーンから期待外れでした。ガトラン側が火焔直撃砲で口火を切ったあの一帯のシーンまではワクワクしていました。しかしそれ以降、カメラワークは凡庸だし、目の前の艦艇以外は背景と化しているしで、メカの奇抜さを除いて、これまで(復活篇・2199)の戦闘シーンを上回るものはありませんでした。

そんな2202にも良い所はあります。それが「激おこカラクルム」に代表される「1対1」の戦闘シーンです。カラクルム対アンドロメダアンドロメダ対ヤマト……1対1の戦闘シーンであれば、2202の演出も悪くありません。

しかしながら、第五章に至ってもやはり艦隊戦は期待外れ。1対1の戦闘シーン演出も、第三章になればもう飽きてきました。というより、目が慣れてきたのです。

ここから見えてきたのは、2199の戦闘シーンが魅力的である理由は、「飽きさせないから」に集約されるということ。

これまでのヤマト作品、特に復活篇では見られなかったようなダイナミックな戦闘シーンが多様な形で見られたことが、2199の魅力だったのではないでしょうか。

対して2202に対する不満とは、上述した通り、戦闘シーンの目新しさに欠け、こちらが「慣れた」「飽きた」ことにあった気がします。初見では一瞬ワクワクしても、鑑賞中常に変化する期待値を上回ることがないために、だんだんと飽き、「期待外れ」と感じるようになってくるのです。

艦隊戦は復活篇と大差がない上、かけたお金と各シーンの質は復活篇の方が圧倒的。2202の戦闘シーンには目新しさがなく、目新しさといえば奇抜なデザイン……。

いえ、メカデザのセンスとは別に、戦闘シーンの凡庸さが問題なのだと思います。

もちろん、CG担当会社のサブリメイションもヤマトに慣れてきたのか、少しずつ向上しているのは感じています。

しかし第五章の戦闘シーンでさえ、まだまだだと思いました。

第六章予告編で、ガトランティス艦隊の間を駆けるアンドロメダ

ああいったダイナミック戦闘シーンこそ、「ポスト2199」のヤマトに求められているのではないでしょうか。

その点では、第六章には大きな期待がかかりますよね。

それでも、「ヤマト」は相変わらずダイナミックに演出と思います。

2202には、ヤマトをダイナミックに魅せた2199に対するアンチテーゼがあると考えるからです。*1

確かに、ヤマトが高速起動するのはイメージに合わないかもしれません。

しかし2199はカメラをダイナミックに動かすことによって、ゆったりと動くヤマトを時には躍動感ある姿に演出していたと思います。

いかにかっこよく動かすか? スタッフはそれを常に考えていると思いますが、

もしかしたら、たくさん動かすのはメカではなく、カメラの方なのかもしれません。

しかし、アニメのカメラワークって大変なんでしょうね。調べていると、こんなブログが……

アニメのカット制作、動きをどう考えて映像設計するか。 | JETINOUE's-WEBLOG

この記事は作画の話をしていますから、3DCGの演出には当てはまらないかもしれません。しかし、2202がカロリーの低いキャラ作画をしているのも事実です。

細田守監督がインタビューで「ボクは元々アニメーターだから、カメラワークはあまり好きではなく、カメラはあまり動かさずにフレーム内で作画で見せるほうが好き。絵コンテを描くときにも原画さんが描きやすい(描きたくなる)ようなレイアウトを目指している」

というようなことを言っていました(直接聞いたかもしれません)。

2202はアニメーター出身の羽原さんを監督に据えていますから*2、この記述は示唆的ですね。

*1:どちらかといえば、キリシマの動きを「軽すぎる」と批判した人々に近い立場に2202は立っていると思います

*2:出渕総監督はデザイナー・イラストレータ