ymtetcのブログ

偶数日に『宇宙戦艦ヤマト』を考えるブログです。

【ヤマト2202】第二次改装ヤマトについて思うこと【第六章特製スリーブ・イラスト】

こんばんは。ymtetcです。

昨日でしたか、アマゾンにて第六章BDの特製スリーブ(小林誠)のデザインが公開されました。今日はそれについて、私の思う所を述べてみます。

目次

イラスト自体は嫌いじゃない

まず、イラスト自体は嫌いではありません。元々私も、彼の絵柄自体は嫌いではなく、代表作の「復活篇パッケージイラスト」などは未だに凄いなと思っています。

 

宇宙戦艦ヤマト 復活篇 [Blu-ray]

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好みが分かれる彼のイラストですが、私が好きなのは「光の使い方」です。その点においては、第六章のスリーブイラストも非常に好みです。また、機動甲冑を身に纏った人間が随所に描かれているのも、息遣いを感じられてとても良いですね。連合艦隊の艦艇が散りばめられているのも高評価ポイントでしょう。

なんだこれは――ヤマト第二次改装

しかし! しかしです。

イラスト自体が持つ「私の好きポイント」を軽々と吹き飛ばす存在が、ど真ん中に堂々と鎮座しています。なんだろう、知らない子だなぁ……(笑)

おかしい

レーダーの大きさ、おかしくないですか?

はっきり言って……

ダサくないですか??

遠目で見れば見るほど、アンバランスだと思います。

遠近感が狂ったのかと感じるほどです。

以前、レーダーのサイズアップについて「別の角度から見てみないとわかんない」なんてことを書きましたが、今回は別の角度から見て「ダサい」と思いました(笑)。

特に、ヤマトが最も映える角度からのイラストで(事実、銀河はそこそこ映えてる)、このダサさには危機感を覚えています。

私的ナンバーワン「CGヤマト」だった2202ヤマト

玉盛さんがデザインされた2202ヤマトは、個人的にはナンバーワンのCGヤマトでした*1。一つの完成形だと思えたくらいです。

その「完成形」のバランスが、このような形で崩されたことに衝撃を受けています。

「第二次改装」の発想はあり

元々2202ヤマトは、玉盛さんが「2199後期型」として構想していたデザインを用いたと言われています。リソースの関係で実現はしませんでしたが、2199は「作中での改造・デザイン変更」を検討していたとも言われています。

このような「作中でのデザイン変更」自体は面白い発想だと思いますし、プラモ業界のことを考えても*2、行われて然るべきでしょう。問題はそのやり方です。

なぜ大和と距離を置いてしまったのか

この「第二次改装」は、主砲周辺に戦艦大和への回帰的意匠が見て取れます。副監督は「戦艦大和宇宙戦艦ヤマト」の繋がりに強い拘りを持っていて*3、それが反映されていると解釈することもできます。

しかし、レーダーのサイズアップについては、そうではありません。宇宙戦艦ヤマトのレーダーは元々戦艦大和のそれと同じサイズ感でデザインされており、ヤマトを大和に寄せるにあたって、変更の余地がない部分だからです*4

なぜ、戦艦大和と距離を置いてしまったのか? 私の引き出しからその理由を考えても、「空中戦艦大和に近づけたいから」というものしか浮かんできませんでした。

Revisedハイパーウェポン2013S飛ぶ理由

Revisedハイパーウェポン2013S飛ぶ理由

 

空中戦艦大和とは、この表紙に置かれている模型です。模型としては、戦艦大和の船体の中に宇宙戦艦ヤマトの船体が入っているという点が非常に興味深く、初めて見た時はその発想に感嘆したものでした。

ちなみに、巷に出回っている「空中戦艦大和 最終決戦仕様」は2202以降に登場したものなので、飛ぶ理由オリジナルとは言い切れません*5。一方こちらの無印仕様「空中戦艦大和」は2202以前の模型なので、飛ぶ理由オリジナルと言っていいでしょう。

この時点で「空中戦艦大和」はかなり大きなレーダーを備えています。「第二次改装」のレーダーサイズアップは、このデザインを2202に取り入れたとしか思えません*6

メカがダサいと物語に集中できない

私自身、実はメカデザインにそこまで拘りがあるわけではありません。例えば小林誠メカへの批判として「人が入ることを考慮していない」(機動甲冑)だとか、「格納庫の大きさを考慮していない」(アンドロメダ空母)だとか、「ニードルスレイブとコスモタイガー1のモチーフが同じ三角形なのはおかしい」だとかありますが、私にはそういった「メカデザインの基礎知識」みたいものがありません。

なので、これまでも多少のメカデザインは許容してきたと自負しています。何故ならば、メカデザインを評価する基準は「かっこいい」か「ダサい」かという、己の感性にしかないからです。私が「かっこいい」と感じていれば、私の中では「かっこいい」メカデザインでした。

そんな私ですから、逆に「ダサい」と直感で感じてしまえば、その感情が物語の理解を邪魔してしまいます。この「第二次改装」に加えて、第五章スリーブイラストのお経ドレッドノートも参戦してくるとなると、果たして私は第六章と第七章の物語を初見で楽しめるのでしょうか? ちょっと、自信がなくなってきました。

かっこいいと言う人もいる

副監督のツイッターを見れば、このイラスト・第二次改装デザインを「かっこいい」と言う人もいます。ここまで散々なことを言ってきて説得力もないのですが、こういった人々の感性は、否定されるべきではないと思っています。

何故ならば、感性に優劣はないからです。このデザインを「かっこいい」と感じようが、「ダサい」と感じようが、それぞれの感性に優劣はないと考えます。

こういった感性の問題については、「理解してもらう」ことなど到底不可能だと思います。「理解していないやつは劣っている」と断じることも不可能でしょう。

副監督が新たなメカデザインを出してくる度に、ファンが分裂する様が見て取れます。

例えば、「機動甲冑のコクピットに斉藤が収まるわけがない」という意見に対して「いや収まる」と反論すれば、これは現実世界における知識や想像力の差異による対立ですから優劣もつきましょう。しかし、「機動甲冑はダサい」と「機動甲冑はかっこいい」という感性の対立に優劣がつけられるでしょうか? 優劣はつけられませんし、お互いの感性を否定する権利は、恐らくお互いに持ち得ません。

特に今回の「第二次改装」、特にレーダーのサイズアップに関しては知識や想像力ではなく、感性の問題となってくると思います*7。あれをかっこいいと思うならかっこいいと思ってていいですし、ダサいと思うならダサいと思ってていいんです。

その点は自分も注意していきたいと思います。

誰がこれを許したのか

さて、最後にこの点について考えていきましょう。

まず、誰がこれを許したにせよ、その感性については尊重したいと思います。理解はできませんが、仕方ありません。私と感性が異なるだけなのです。

ここから先は私の推測です。

2202スタッフにおける小林誠デザインの最大の理解者は、他でもない羽原監督でしょう。

復活篇時にはムサシのデザインを心から絶賛していた様子でした。*8

2202にムサシ(銀河)を登場させようとしたのは羽原監督であるという副監督のツイートもありました*9

この点から考えて、「第二次改装」のデザインにも同調した可能性が高いと思います。2202で小林誠成分が強いのは、同調者でもある羽原監督の存在も大きいでしょうね。

しかしながら、このことから「羽原監督は信念を持たないイエスマン」と断じるのは間違いです。

Japan Expo 2018 - Nobuyoshi Habara - YouTube

このインタビューで羽原監督は「新しいマジンガーZ」についてコメントしています。

羽原さんらしいオブラートに包んだ表現ではありますが、「僕が作りたいと思っていたものとは違う」と述べておられます。羽原監督は柔らかいお人柄ではありますが、「信念を持っていない」というのは必ずしも当てはまらないと思います。

まとめと要望

長くなりましたが、これにて最後です。

私の感性では「第二次改装はダサい」と思いました。

その理由は、ダサいと感じたからです。

突き詰めればもちろん、レーダーの大きさがアンバランスだから、というのも理由として出てきます。ただし、アンバランスだというのも主観なので、客観的な真理とは言い切れません

まだ確認してはいませんが、再びヤマトファンから反発の声が上がることも予想されます*10。仮にもそれを収めたいのならば、ブロックやリプライ口論で相手の感性を否定するのではなく、「少しでもカッコよく見せる」努力をすべきだと思います。

こういったイラスト発信の批判は、模型などで立体化したり、映像になったりすると「意外と悪くない」という論調に変化することもあります*11。こういった炎上火消しの場合は情報先出しも決して悪いことではないと思いますので、是非積極的にやってもらいたいですね。

何せテレビ放送が始まったばかり。「2202界隈は荒れてる」なんて思われて敬遠されたら、おしまいですから。

【補足】「感性」について

「感性は優劣ではない」という今回の主張と関連して、こんな考え方もあります。私もまだまだ勉強が必要ですね。

「感性を優劣で語るって最低だな」という発言が回答者の方からありました。感... - Yahoo!知恵袋

「感性」の前に知覚能力がある。それは性格形成にも影響する。ソムリエとトリュフの香りの例。 : チャーリーのブログ

*1:と言っても、「復活篇」「実写版」「2199」「2202」の中で、という話です。私は大きめの艦首が好きなので、「2202→復活篇→実写版・2199」の順に好きでした

*2:2199ヤマトにもコスモリバースver.がありましたね

*3:2199の少ない不満点の一つとしてこの点を挙げていました

*4:サイズ感はそのままにディテールを変更して大和に近づけるという試みならば、面白い改変となったかもしれません

*5:飛ぶ理由は後出しの可能性があるため

*6:飛ぶ理由よりは短いレーダーなので、譲歩(笑)はしているようですが

*7:黄金比」などを持ち出して感性の問題でなくすることもできるかもしれませんが

*8:ディレクターズカット版対談を参照

*9:「いえ、これを登場させようとした羽原と、それなりの道筋をつけた脚本家二人の力が大きいです。6章見たら納得行くと思います」→責任を監督に押し付けたとも解釈出来ますが

*10:確認しました。もちろん全員ではありませんが、その傾向にあるようです

*11:主に私です(笑)