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【ヤマト2202】セリフの編集から振り返る第六章予告編

こんばんは。ymtetcです。

2199、そして2202では、予告編から想像していた内容と本編の内容が異なることがしばしばあります。特に2202では、ネガティブな意味で異なること(期待外れ)もポジティブな意味で異なること(期待以上)もありました。そして、第六章は後者でした。

そこで今日は、特報・劇場予告編・主題歌予告編に盛り込まれたセリフを、本編ベースに振り返ってみたいと思います。その過程で、予告編の編集を担当されている佐藤敦紀さんの、第六章におけるお仕事の一端についても考えていきましょう。

目次

佐藤敦紀さんとは

『宇宙戦艦ヤマト2202』第三章上映記念 愛の宣伝会議 EP.0(プロローグ) - YouTube

佐藤敦紀さんは、2199・2202において予告編・PVの制作をされている方です。

近年のめざましい業績を挙げれば、『シン・ゴジラ』で日本アカデミー賞を受賞していることですかね。

日本アカデミー賞、「シン・ゴジラ」7冠 最優秀監督賞など : J-CASTニュース

映像編集者のリアル 第5回 ─ 佐藤敦紀[前編] | ビデオSALON

ヤマト作品においては、予告編の制作の他に

Space Battleship Yamato 2199 TV OP2 with English subtitles - YouTube

「宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟」本編冒頭映像 - YouTube

オープニング、俗に言う「公式MAD」を担当しておられます。方舟のオープニングについては、感動を覚えた方も多いのではないでしょうか。

このようにヤマトでは、本編外の編集に対して多大な貢献をされた方です。

特に予告編については、本編の流れを全く感じさせない編集である上に、しばしば本編とは違う物語が予告編内に構築され、予告編だけで感動的な編集となっていることもあります。今回の第六章もまた、例外ではありません。

特報(30秒)

『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』第六章 回生篇 特報 - YouTube

  • 早紀「ここから先は通さない、ガトランティス!」(第19話A)
  • 土方「全乗組員に告ぐ! 全員、退艦!」(第19話A)
  • 早紀「地球人類が生き残る為に、ヤマトの遺伝子をこの艦に」(第19話A)
  • 真田「G計画……!」(第19話A)
  • AI「作戦ブラックバードの実施を提案する」(第19話B)
  • 加藤「(叫び)」(第19話B)
  • 早紀「承認」(第19話B)

8月に公開された特報です。こうしてみると、全て第19話セリフからなることが分かります。映像もそうですね。いわば第五章ラストの「第六章予告篇」の延長線上にあるPVだった訳ですが、当時完成しているのが第19話までだったということも示してくれています。

劇場予告編(60秒)

『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』第六章 回生篇 劇場予告編(60秒) - YouTube

  • 早紀「私も、人間でありたい。どんな運命が待ち受けていようとも、最後の一秒まで」(第22話A)
  • 早紀「銀河、最大戦速!」(第19話B)
  • バレル「ガミラスの誇りにかけ、共に地球圏の防衛を。人類の興亡、この一戦にあり!」(第20話B)
  • 山南「本艦はこれより、彗星中心核に接近し、敵重力源の破壊を試みる!」(第21話B)
  • 語り部「滅びの調べを奏でるもの、その名はゴレム」(第21話A)
  • ズォーダー「滅びの方舟をコアとする彗星都市帝国こそ、全ての苦痛を焼き払う真実の愛の具現!」(第20話B)
  • 山南「くっ……」(第21話B)
  • 早紀「コスモリバース、発動!」(第21話B)
  • 土方「ヤマト発進!」(第21話A)
  • 古代「船体起こせ!」(第21話A)

佐藤さんの真骨頂がいよいよ出てきます。ここに登場するセリフたちは、話数がバラバラだったり、同じ話数でも前後が入れ替わったりしています。

特に見事だと思うのは、最初と最後の二つです。

早紀の「人間でありたい」は、第六章の結論とも言うべきセリフでした。第六章が好きな人は、このセリフに感動を覚えた人も多いはずです。これを敢えて冒頭に持ってきたことにより、第六章の物語は根本からひっくり返っています。起承転結の結からセリフを抜き出すことによって、第六章がどんな物語なのか敢えてぼかしているという訳です。

また、ラストの「コスモリバース、発動!」と「ヤマト発進!」についても、してやられたなあ、と思います。当時は「飛ぶ理由」における「小型コスモクリーナーが大和復活に利用される」という筋書きから、第六章における銀河もそのような役割を担うのではと予想していたのです。この予告編のラストシーンは、まさにその予想が正解であると言わんばかりの編集がされています。「飛ぶ理由」を佐藤さんが意識したとは思えませんが、私としては見事にミスリードを食らったわけです。

「大いなる和」主題歌予告編

『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』 第六章「回生篇」 ED主題歌 「大いなる和」本編最新映像PV - YouTube

  • デスラー「ヤマト、大いなる和。蓋し理想は美しい。だが、理想だけでは何も救えない」(第22話B)
  • 真田「敵の防御力は圧倒的だ。これを突破できる火力は」(第22話A)
  • キーマン「トランジット波動砲」(第22話A)
  • 神崎「この先戦争が長引けば、人類は生き残る為にどんな選択をするか分からない」(第21話B)
  • 市瀬「人類が生き延びるために」(第21話B)
  • 島「そこまでしなきゃいけないのかよ!」(第21話B)
  • 芹沢「徹底抗戦だ! 戦線を維持せよ! 時間断層ある限り」(第21話A)
  • 山南「本艦はこれより、彗星中心核に接近し、敵重力源の破壊を試みる!」(第21話B)
  • 土方「山南! 死んで取れる責任などないぞ。山南」(第21話B)
  • 山寺宏一「大いなる和」(エンディング)
  • デスラー「その理想に、現実を変える力があるというのなら、」(第22話B)
  • 早紀「銀河、最大戦速!」(第19話B)
  • デスラー「私を倒しに来い。ランハルト」(第22話B)
  • 土方「生きろ! 生きて恥をかけ。どんな屈辱にまみれても、生き抜くんだ」(第21話B)
  • 早紀「コスモリバース、発動!」(第21話B)
  • 土方「ヤマト、発進!」(第21話A)
  • 古代「船体起こせ!」(第21話A)

この予告編で一番面白い所は、第21話Bにおける土方のセリフがしっかり登場することです。先述の早紀のセリフと同じく、第六章を楽しんだ人が感動したあのセリフです。しかも、「生きろ」という第六章のテーマをこの時点で思いっきり語っています。しかもそれが、加藤と山南に向けられたセリフであることも示されています。

ですが、予告編には本編ほどの感動はありません。何故ならば、編集の妙で重要な部分が隠されているからです。

それは「人間は弱い。間違える。それがどうした。俺達は機械じゃない」そして「人間の特権なんだ」の部分。あのセリフこそ、山南・加藤・早紀のドラマを一点に集約していくために重要な役割を果たしていたことがここから分かります。

また、例によって「飛ぶ理由」風のミスリードも残っています。いやはや恥ずかしい(笑)。

おわりに

なぜ早紀は「人間でありたい」と言うのか。これは序盤の感情なのか、終盤の感情なのか。

土方は「死んで取れる責任などないぞ」と言うが、誰が、何の責任を取ろうとしているのか。

予告編を見て湧いてくるであろうこれらの疑問に対して、ヒントを残しながら正解を与えない。ヒントから予想をしても、それ以外のものが本編には出てくる。

第六章の予告編には「本編の情報を与えながら重要な情報は隠す、ずらす」という予告編の基本的な部分が出ていますね。

また、セリフをピックアップしている過程で、予告編には21話のセリフが圧倒的に多いことが分かりました。第21話は情報量が多く、第六章の中心となる回であったということの表れだと言えます。