ポジティブに行きましょう。
こんばんは。ymtetcです。
第七章予告編を見た時、まず印象に残ったのが作画でした。
「メリハリがあってかなり好み」……とツイッターにもメモしているのですが、2202があくまで省エネな作画方針を採用していることを前提とした時に、この第七章予告編の作画スタイルは非常にポジティブな印象を与えてくれました。
例えば「滅びの方舟よ、真の目覚めを!」と大帝が吠える場面では、第六章第20話と似たような構図(省エネ)でありながら、顔にかかった陰から浮かび上がってくる眼光は、第六章のそれよりも鋭いものになっています。
こうすると、却って心情の変化を浮き彫りにすることができるわけです。
「さらばだ、人間どもよ」のシーンでも、これまでにないような興味深い表情の変化をしていますよね。
2202のアップ絵が続く画面をあくまでも前提とした時、そのメリットを考えれば、やはり繊細な表情の変化が窺いやすくなる、という点が挙げられるでしょう。
殊に大帝の場合はこれまでも表情のアップが多かったわけですから、ここに来ての多様な表情変化は、彼自身の戦いが佳境に来ていることをよく表現してくれています。
また「メリハリ」と表現した部分で言えば、『さらば』を再現したテレサのカット、「土方前艦長の命令を決行する」(小野さんがとても上手い)の古代進のカットが、比較的良く動いているという点も重要です。
2199と比較して動かない2202の絵ですが、それを前提にしても、動く部分をきちんと動かせば見応えのあるアニメーションになり得ます。
第六章で言えば、「そこまでしなきゃいけないのかよ!」という部分。
『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』 第六章「回生篇」 ED主題歌 「大いなる和」本編最新映像PV - YouTube
激昂した経験のある方がどこまでいるかはわかりませんが、試しに表情だけでも激昂してみてください。普段よりもずっと細かく、顔全体の筋肉が動いていることに気がつくはずです。
島大介の感情が爆発するこの部分で動きの細かい作画を取り入れることで、ぐっと説得力が増し、やるせなさを観客も共有することができました。
こういった部分でのクオリティが物足りなかったのが第三章後半あたりだったわけです。しかし第六章から、2202の路線として、ある意味迷いのない画面作りができるようになってきた感があります。19話の加藤、20話のサーベラー、22話の斉藤など、省エネでもそれを活かした絵の見せ方をしようという気概が感じられました。同じような演出が第三章第10話にもありますが、それよりもずっと進歩していましたよね。
あくまで省エネ路線には変わりないのですが、ある程度スケジュールに余裕が持てるようになってきたのか、最近の2202にはこのような、観客を飽きさせないようにする工夫も取り入れられているように思います。
少し話が逸れますが、2199でも羽原さんがコンテを担当した第19話は省エネ路線でした。一方でタイガープロ風の作画を再現するなど、省エネかつ旧作再現をアクセント的に利用しようとする辺りで、2202との連続性が見て取れます。
もちろん、予告編に持ち込まれている作画はあくまでプロモーション用にチョイスされたシーンたちなので、本編全体のクオリティに関してはまだ何ともいえない状況ではあります。
とはいえ、2202中でもっともクオリティの厳しかった第三章はそれ相応のクオリティを予告編から窺うことができるわけで*1、第七章予告編も、傾向としては悪くないと思います。
ただ、第七章に関して言えば作画のクオリティ云々は二次的な要素であって、「ストーリー」が評価軸になるのは間違いありません。私達が2202を観てきたこの2年間を綺麗にまとめることができるのは、あくまで「ストーリー」ですからね。