ただ、低いレビューの意見もごもっともだと感じました。私は星5からマイナスして4、という感覚なのですが、そのマイナスポイントを的確に突いておられるのが低い点数のレビューです。やはり完結後は、議論も良い方向へ向きそうな予感がします。
— ymtetc (@ymtetc) March 2, 2019
こんばんは。ymtetcです。
今日からネタバレ込みです。
冒頭のツイートにもあるように、私は2202第七章に対して「5段階中の4」という評価をしています。「+5」の箇所があり、一方で「-1」の箇所があるという感覚です。
そこで今回は、私が「+5」と評価した部分、いくつかあるはずですが、とりあえず浮かんだ一つを書いておきます。
それは、昨日の感想記事でも紹介した、
- さらばのその先を描く
というところです。私の期待に応えてくれた部分ですね。
まず、旧作の話をしましょう。旧作には「さらば」と「ヤマト2」がありました。
「さらば」の時、勘のいい、頭の回転が速い人などはよく
- テレサだけ特攻すればいいじゃん
と言っていました。
私はそんなことも考えず泣いていたようなクチですが、このようなツッコミを入れていた人も少なくないのではないでしょうか。ある意味で、このツッコミを実行したのが「ヤマト2」(テレサのみ……)だったことは、皆さんご存知の通りです。
ここから逆算して「さらば」のラストシーンを考えてみますと、一言で言えば、
- 死ななくてもいい人間が、死んでいる
状態だったわけですね。
これがまず大前提にあります。
ではなぜ、古代進はこういう状態に陥ったのか。これを福井さんは「自ら死を選んだ」と考えたようです。
2202の最終回は、大まかに言えばこうでした。
まず、25話で古代進は死にます。というより、死んだことになっています。
そんな中、ヤマトと山本があの世から帰ってきます*1。
山本がもたらした情報は以下の通りです。
- 実は、古代(と雪)は生きている
- なのに彼は、生きることを選ぼうとしない
- テレサから見て、古代は死ぬはずのない人間(「未来が枝分かれしている」)
- 古代を救わなければ、未来は元の流れには戻らない
つまり、「さらば」と同様、死ななくても良かったはずの古代進が死んでいる(死を選んでいる)。そんな古代を救う。これが2202最終話の主題でした。
ここで、本作におけるテレサの設定を思い出しましょう。テレサは、宇宙の始まりから終わりまでを見通しています。
そして、テレサに呼ばれた者は「あるべき未来に従って、為すべきを為す」必要がある。ここがポイントですね。「あるべき未来に従って、為すべきを為す」。
死を選んだ古代は、「あるべき未来に従って、為すべきを為していなかった」のです*2。
古代は「生き続けて、引き金を引き続けて、大切なものを失うのが怖い」という、ズォーダーとも重なるような「強すぎる想い」によって、テレサと「あるべき未来」に逆らって、死んだままでいました。自ら死を選んだという点で、古代は「さらば」と同じ結末に辿り着いています(深層心理は異なると思いますが)。
ここから、どうやって彼を救い出すか。これを描いたのが、ヤマト2202の最終話だったわけです。
実は、この作業を別のアプローチから試みているのが、あの「ヤマト2」でした。
2でテレサは古代に対し、「負けて帰る」こと、その勇気を持つことの大切さを説きました。そして、自ら死を選んだ古代進を地球に帰還させました。
対して、2202は……
ここは少し時間をください。何度か鑑賞して、考えたいと思います。
「さらば」のその先に救いを描くこと、状況や心理は違っても、「さらば」と同じ決断をした古代進を、その「選択」から救い出すこと(福井さんは「鬱抜け」と表現)。
ある意味で2202は、「『さらば』の壮絶な決断から、古代進を救う」という課題を共有していたという点で、「ヤマト2のリベンジ」だったのかもしれません。
いや、むしろヤマト2それ自体が、最初の「さらばリメイク」だったのかも。
このヤマト2202のラストは、古代の苦悩と「鬱抜け」に共感できるかどうか、もっと言えば、そもそもセリフを全て聞き取って理解することができたか*3、によって評価も左右されるかと思いますが、私としてはかなり共感できましたので、この点から「+5」としました。