こんばんは。ymtetcです。
昨日は、山本が帰ってきた目的を探りました。今日は、どのような経緯で山本が帰還することになったのか、を探ります。
山本の帰還は偶然ではありません。人の想い=「愛」が紡いだ「縁」による、必然です。
昨日の記事では、最後に「山本は、古代と雪が生きていることを伝えるために帰還したことが分かります。何者かの意思で山本が選ばれ、帰ってくることになったのです」と書きました。何者かの意思。それは、テレサ(死者)の意思です。
テレサに呼ばれた者は、「あるべき未来に従って、為すべきを為す」必要があります。テレサも最終話、古代に様々な未来を見せて、説得しようと試みていましたね*1。
古代と雪は「あるべき未来に従って、為すべきを為す」ことをしていない(未来が枝分かれしている)ので、テレサとしては、それを修正する必要があります*2。
未来を元に戻すには、古代と雪が自ら未来を「選択」することも大切ですが、それと同時に、迎えに来る人も必要です。そこで、使者として山本が選ばれます。
では次に、山本の意思について考えます。
そもそも、第25話のラストシーンではこのようなことが起こりました。
真田:滅びの方舟が消滅した時、とてつもないエネルギーが放出されたのに、地球は何の被害も受けませんでした。ヤマトと一体化したテレサが、対消滅のエネルギーを事象の地平線の彼方に押しやった。そう考えれば、辻褄が合います。その反作用で、ヤマトもまた高次元の宇宙に押し流された。
テレサとヤマトは、滅びの方舟をあの世に引きずり込むことによって、消滅させました。古代と雪は、生きたままあの世に引きずり込まれた。なので「望めば帰れた」。
とすれば、山本もまた、生きたままあの世に引きずり込まれたと考えましょう。
山本が「死んだ」とされるシーンの流れは、以下の通りでした。
- 真田「この化け物を止めるたった一つの方法。それは、エネルギー変換が終わる前に、変換炉に近づいて内部から爆破する。それしかない」
- キーマンが変換炉を爆破する。
- 衝撃波がヤマト、航空隊を襲う。
- コスモタイガーⅠにも直撃し、コクピット以外が大破する。
コスモタイガーⅠのコクピットは明確に「爆発した」という表現がありません。ということで、コクピットは辛うじて滅びの方舟のどこかに不時着したことにします(なかなか無理がある)。
そして、第25話のラストシーンで、生きたままあの世に引きずり込まれた古代・雪・山本。古代はこれ以上生きることを望まず、雪は、古代と共にいることを望みました。
一方、山本にとっては、あの世には兄やキーマン、戦死した航空隊クルーといった彼女にとっての大切な人がいますから、そこに居続ける選択肢もあったはずです。
そこで山本は「選択」を迫られますが、最終的には古代と雪を生かすため、ヤマトと共に帰還する道を選びます。選択を迫られたとはいえ、山本としては、死んでいった大切な人達の願いを汲むことに、大きな抵抗はなかったはずです。
なお、直接的な伏線ではありませんが、「ヤマト女子部」という形で雪と玲の距離感を縮めて描いていたことが多少、ここに活きてきますね(二人のわだかまりは2199最終話で既に解消されているものの、それに加えてさらに親密化させることで、唐突感を軽減させる)。
山本も「選択」をしたわけですから、彼女もまた、最終話の「奇蹟」を「選択」した、立役者だったといえるでしょう。
*1:該当シーンに盛り込まれた小ネタはこちら:【ネタバレ】「なんでもあり得た」のシーンをコマ送りしてみた。 - ymtetcのブログ