こんばんは。ymtetcです。
先日更新した記事で、『ヤマトマガジン』からこんな引用をしました。
〇2012年
OVA・TVシリーズ『宇宙戦艦ヤマト2199』(略)
〇2017年
劇場・TVシリーズ『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』(略)
〇2020年
映画『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち』(略)
今日は、この表記そのものについて考えてみましょう。
私の実感から言えば、『2199』が「OVA・TVシリーズ」で、『2202』が「劇場・TVシリーズ」という表記に、違和感はありません。
では、実際はどうでしょうか。まずはテレビ放送の規模から比較してみます。
『2199』のテレビ放送は”日5”枠で行われ、MBS・TBS系列計28局をネットしてのテレビ放送が行われました*1。 ”日5”枠が網羅していたテレビ局は各地方に散らばっており*2、日曜日の夕方17時枠を利用しての”全国放送”だったことが分かります。
一方、『2202』はテレビ東京を中心に愛知・大阪をネットしたテレビ放送でした*3。遅れて広島での放送も追加されましたが、こちらは『2202』ではなく羽原信義監督に着目して実現したものです*4。
テレビ放送について言えば、『2199』が『2202』を上回っていたことが分かります。この要因については、”日5枠”の消滅、それまでの作品の実績などが考えられます*5。
次に、劇場公開の規模を比較してみましょう。
『2199』の先行上映は、まず10館での上映からスタートして、12館に増え、最終的には16館での上映となりました*6。
一方『2202』では、第一章の15館から20、25、29、最終的な35館と、『2199』に比べて積極的に上映館を拡大しています。『2199』よりも都道府県を拡大している点や、上映期間の延長なども特徴です*7。
また関係者に対しても、『2202』は劇場上映での観客動員と興収をアピールしており*8、ymtetcの単純計算によれば、劇場上映館のアベレージ興収に関しては、『星巡る方舟』と同等の数字が出ています*9。
さらに、表現の違いもあります。『2199』公式サイトの「上映情報」には、「全26話のTVシリーズを七章に分けてイベント上映を行います」と記されているのに対し*10、『2202』公式サイトの「シアターリスト」には、「全七章順次劇場上映‼」と記されています*11。テレビシリーズをイベント上映する、とは書いていないわけです。微妙な意識の違いがここに反映されている、と考えることもできます。
もちろん、『2199』や『2202』は劇場上映とテレビ放送の双方に対応可能なフォーマットで作られており、どちらも「OVA」と呼んで差し支えないと考えています。
しかしながら『2202』は、初めからそう意図していたかどうかは別にして、「劇場」にこだわりをもって進めていたこともうかがえます。そのことが「2202=劇場・テレビシリーズ」という表記にあらわれているのでしょう。
とはいえ、『2205』に向けて重要なのは、この「OVA」なり「劇場」なりといった『ヤマトマガジン』の表記が決していい加減につけられたものではない、「版元」として一定程度の意図をもって書き分けられている、という点です。
だからこそ、次は『2205』につけられた「映画」という表記に注目が向かいます。
2014年の『星巡る方舟』にも、『ヤマトマガジン』は「映画」という表現を用いていました。果たして『2205』は……。
『2205』については、また記事を改めたいと思います。
<おまけ>
『2199』の公式サイトには、「映像展開」という特設ページがありました。
『2202』で「全26話のテレビシリーズを……」といった説明を加えなかったのは、既に『2199』でファンに浸透した上映方式だったから(改めて説明の必要はない)、という見方もできますし、逆に、『2199』でその説明を加えたのは『2199』が元々テレビアニメとして企画された作品だったから、という見方もできますね。
*1:宇宙戦艦ヤマト2199 - Wikipedia テレビ放送局の項
*2:毎日放送制作日曜夕方5時枠のアニメ - Wikipedia
*4:【ヤマト2202】広島県で全国初のイベント - ymtetcのブログ
*5:【推測】2199・2202の挑戦と失敗──テレビ放送に寄せて - ymtetcのブログ
*6:宇宙戦艦ヤマト2199 - Wikipedia 先行上映の項
*7:宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち - Wikipedia 先行上映の項
*8:2202の成績に関する内部向け(?)情報 - ymtetcのブログ