ymtetcのブログ

偶数日に『宇宙戦艦ヤマト』を考えるブログです。

第3話『宇宙戦艦ヤマトNEXT スターブレイザーズΛ』メモ

こんにちは。ymtetcです。

回復しましたので、『Λ』を今少し取り上げます。

「スターブレイザーズ」は『宇宙戦艦ヤマト』シリーズを海外で展開する中で重用されてきた言葉ですが、最近「スターブレイザーズ」と検索をかけると、

comic.webnewtype.com

『スターブレイザーズΛ』がトップに表示されるようになりました。日本語ですから当たり前かもしれませんが、よい傾向だと思います。

7月10日、第3話が公開されました。

今回も、整理しながら振り返ってみようと思います*1

前々回の記事でも述べましたが、第3話は現時点ではなかなか評価できません*2。ただ『Λ』は全26話で構想されているとのことで、ある程度アニメーション作品の枠組みを応用することも可能なのではないかと考えています。その意味で、前々回の記事では『2199』『2202』の第3話にも言及しました。

そうは言っても、やはり後になってみないと第3話の位置づけは評価できないもの。「第3話として、どうか」については現状、保留しておくことにします。

 

さて、吾嬬先生によれば、この第3話で描きたかったものは、

ヒューゴーとユウの対立

・セイレーネスの目的は?

・ヴィマーナってどんなとこ?

第3話制作メモ|吾嬬竜孝|pixivFANBOX

この三つの要素だそうです。この三つの要素をもう少し細かく整理すると、

  • ヒューゴーリシュリューとユウ・ヤマトが対立する
  • セイレーネス地球来襲の目的と、彼ら(彼女ら?)の正体を考える
  • ヴィマーナ(対セイレーネス前線基地)の様子を描く

こんな感じで表現できますね。

一方、キャラクターの動きをベースにすれば、おおよそ今回は

  • プールでトレーニングをするニーナ(ネルソン)、マリナ(フレーザー)、アイシャ(メジディエ)
  • スカイアイスを買い占めるユウ(ヤマト)
  • セイレーネスの「手」を調査するアレクセイ・レトヴィザンとアビー(ヤン)

この三つの場面に展開上の「切れ目」があります。ちょうどこの三つの切れ目が、吾嬬先生の狙いとする「三つの要素」とリンクしていることが分かると思います。ヴィマーナの様子を描くためにプールがありコンビニがあり、スカイアイスがヒューゴーとユウの対立のきっかけになり、アレクセイが「手」を調査する、という構図です。

 

では以下に、これら三つの要素を一つずつ見ていくことにしましょう。

まず「ヴィマーナってどんなとこ?」ですが、こちらは上述の制作メモにおいて、吾嬬先生自身が「合宿」のイメージだと明言されています。 プールがありコンビニがありトレーニングルームがある、という今回描かれたヴィマーナ(対セイレーネス前線基地)は、確かに合宿所のイメージに近いです。こうなってくるとバイキング形式の食堂とか、大量の自販機が置いてあるエリア、談話室なんかもありそうですよね(笑)。

もう一つ、「ヒューゴーとユウの対立」についても吾嬬先生が既に解説を加えられております。ヒューゴーは「最初に主人公に立ちはだかる壁」の役割を果たすそうです*3ディヤウスが落ちた6年前の出来事によってそれまでの生活を奪われ、その原因がマヤ・ヤマト(ユウの母親)にあるとごく自然に考えているキャラクター。第1話や第2話で語られた、ユウを苦しめてきた一部の地球人たちを目の前に具現化した存在でもあると思います。

さて、少しだけ考えてみたいのが、最後の一点「セイレーネスの正体と目的」です。

今回は「アレクセイとアビーの二人が推測する」という形で、劇中人物と読者の「セイレーネス」理解の共有を図っていると思います。ただ重要なのは、今回は『2199』でいえば、第1話の森雪が「(ガミラス人は)地球を改造して、住もうとしているのかもね」と言ったあのシーンに相当するということです。すなわち、実際にそうであるとは限らない、ということ。あくまで劇中人物の推測でしかありませんから。

 

セイレーネスの「手」が人間のそれとそっくりであることを知ったアビーは、セイレーネス襲来の目的が「地球への移住」にあるのではないかと推測します。それをアレクセイは、地球に似た惑星は他にもあるとして退けます。そして、セイレーネス襲来の目的は他にあるのではないか、と述べます。

これに対してアビーは、超光速移動を可能とする文明の欲するようなものが地球にあるのだろうか、と疑問を持ちます。セイレーネスの目的について、ここで結論は出ません。ですが、少なくともセイレーネスは人類に対し友好的ではなく、破滅を望んでいるように見える。この理由についてアレクセイはこう語ります。「彼女たちにとって看過できない特異点を…人類は超えてしまったのかも知れない…」。急速な発展を遂げていった人類はセイレーネスにとって脅威なのではないか、という推測ですね。

二人の会話は、怪しげなジョーンズ司令の話題へと移ります。

カルロス・ジョーンズ司令には恐らく「セイレーネスを撃退する」よりも遥かに大きな目的があり、彼はその目的のために行動していると思われます。

アレクセイはこれについて、司令(と「怪しげな連中」)はセイレーネスの正体を隠したがっている、と語ります。その後、調査船が帰還した際も真っ先にジョーンズ司令が駆けつけており、少なくとも第3話時点では、アレクセイのこの推測は当たっているように描かれています。

もう一点、アレクセイは6年前の事故について、重要なことを語ります。「超巨大加速器ディヤウス」が当時保有していたはずの「時空結晶体のコピー」が、(6年前の)セイレーネス襲撃よりも前にディヤウスから持ちだされていたのではないか、と。この推測は重要だと思います。

この推測が当たっているとすれば、色々な可能性が考えられます。例えば、「6年前の事故は誰かの手によって予め仕組まれたものだった」。あるいは「6年前の事故は事故だが、それを必要とする人がいた」「6年前の事故は予見されていた」。また、「時空結晶体のコピーそのものはセイレーネス襲来の要因ではない」という可能性も今回浮上したように思います。

また、第3話のラストシーンでは、セイレーネスが「ヒト属の一種」であることが判明。これが次回への引きになっています。アレクセイの表情からすれば、「仮説的中」といった感じなのかもしれません。

アビーとアレクセイは、今後もこうして謎を追う役割を担うようです。とすれば今後も、ジョーンズ司令は「スゲー怪しいけど目的の分からない人」として描かれていくのかもしれませんね。

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以上、思いつくがままにメモ書きを連ねてみました。もう少し整理したかったところですが、時間切れです。

 

今回不足していた第3話としてどう見るかというところを補うために、『鉄腕アダム』の第3話との比較も簡単にしてみます。

ざっと対比してみると、『鉄腕アダム』では中心人物たるアダムやジェシーの掘り下げが中心だったのに対して、今回の『Λ』はむしろ主人公の周辺を取り巻く要素の掘り下げが中心だったように思います。主人公たるユウ自身については、現状第1話第2話での描写のレベルにとどまっているように思います。この辺りは、『アダム』よりも集団劇の側面が強くなってくるであろう『Λ』特有のものなのかもしれません。

ちなみに、どちらの第3話にも「どうやら人類に友好的な文明ではないらしい」という旨のセリフが盛り込まれています。ここは共通していますね。

『鉄腕アダム』と『Λ』の物語の主軸は、一見するとよく似ています。襲来する「蝶」を迎え撃つのが『アダム』、襲来するセイレーネスを迎え撃つのが『Λ』です。

ですが、細部はかなり異なっています。この微妙なズレが、終わった時にはきっとまた大きな両作品の違いとなって(きっと、根っこにあるテーマは同じだと思いますが)くるのだろうかと考えると、楽しみも膨らみますね。

鉄腕アダム 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

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