ymtetcのブログ

偶数日に『宇宙戦艦ヤマト』を考えるブログです。

第4話『宇宙戦艦ヤマトNEXT スターブレイザーズΛ』メモ

こんにちは。ymtetcです。

今や唯一の”現在進行形”『宇宙戦艦ヤマト』とも言える、『宇宙戦艦ヤマトNEXT スターブレイザーズΛ』。

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第1話・第2話で主要登場人物も揃い、第3話では主人公の周囲を取り囲む謎も少しずつ明らかとなる中で、第4話は一歩「本作の進め方」を示す回となりました。

今回はキャラクターをベースにして、内容を整理しながら読んでいきたいと思います。

セス・カーディナス(ニルヴァーナ議長)

なかなか衝撃的な新キャラクターが登場してきました。謎の組織ニルヴァーナの議長とされる、セス・カーディナスです。

ニルヴァーナ、という言葉は「涅槃」のことだそうで、「涅槃」とは、”仏教では究極的目的である永遠の平和、最高の喜び、安楽の世界を意味する”とされています。”一切の煩悩を断じる”ことを「涅槃に入る」と言うようですね。また、「涅槃」にも「有余涅槃」(煩悩は断じているが肉体を残している)と「無余涅槃」(煩悩を断じて肉体も滅している)があり、後者の「無余涅槃」が”完全な「涅槃」”と理解されているようです。要は、完全な「涅槃」に達するためには”死”が必要だということらしく、この辺は今後のヒントになるかもしれません。

カーディナスはユウ・ヤマトたちトップネス(艦隊の専属搭乗者)の役割を、”リンネを守ること”と語ります。そしてニルヴァーナの目的が、

  • セイレーネスを殲滅する=人類のシナリオを遂行する
  • この宇宙の全ての魂に救済を(もたらす?)……

ことにあると語ります。

また、カーディナスの出番は終盤にもありました。艦隊の危機に突然「少し席を外す」というちょっと面白い行動をしたカルロス・ジョーンズ(艦隊の司令官)の呼びかけに応じた形です。

カーディナスは、「時空結晶体のコピーの解放」「アンチマタージャイアント」「マークX」の活用を求めるカルロスをたしなめます。「マークX」は「セイレーネスに対する最後の短剣」とあるように、ニルヴァーナにとっての切り札だと考えられます。そしてカーディナスは、マーク3であるヒューゴーリシュリューの「頓悟」を予見します。

「頓悟」とは、”修行の段階を経ずに、一挙に悟りを開くこと”と意味付けられています。ここから、例えば今後、マーク1(ニーナ)からマーク7(リンネ)までの全員が「頓悟」することによって、ニルヴァーナの終局目的である「涅槃(ニルヴァーナ)」がもたらされる、といった展開も考えられますね。

カルロス・ジョーンズ(ナーフディス司令)

さて、この時カーディナスと会話をしていたカルロス・ジョーンズ司令は、今回、色々と重要そうな情報を話してくれました。

まずは「知性の繭」です。「知性の繭」は、第4話の序盤にユウが見ていた夢の中で登場したもので、この夢の内容を聞いたリンネが、セイレーネスの襲来を予期します。何かセイレーネスと重要な関わりを持って、登場するものだと考えられます。

ジョーンズ司令いわく、「知性の繭」が発生してしまえば、「人類を涅槃へと導く」ニルヴァーナのシナリオが遂行不可能になるそうです。「知性の繭」は、どうやら発生してはいけないらしい。そして、セイレーネスの襲来は「知性の繭」の発生リスクをもたらす。この二つは覚えておきましょう。

さらにもう一つ、ジョーンズ司令は「オリジナル」について語っていました。この「オリジナル」が何なのか、そして何に対する「オリジナル」なのかはまだ明確には語られていませんが、恐らくはリンネ・アイギスのことを指すと思われます。

そして、この「オリジナル」こそが「人類を涅槃へと導く」ために欠かせない存在であり、これを落としてしまうくらいなら、ジョーンズは「最後の短剣」を使ってもよいと考えているようです。「オリジナル」はそれほどまでに、ニルヴァーナのシナリオには不可欠な存在なのでしょう。それなのにセイレーネスとの戦いに出撃させているということは、「オリジナル」にもまた「頓悟」してもらわなくてはならない故なのかもしれませんね。

前回までは地球防衛作戦の裏で暗躍する謎の組織の人といった雰囲気でしたが、上司にあたるカーディナスが登場したことで、少し今回は人間味も感じられました。私は『鉄腕アダム』に登場する司令官ニールス・ボーマンが好きだったので(笑)、ジョーンズもそうなりますかどうか。

リンネ・アイギス(トップネス・マーク7)

さて、「オリジナル」説も根強いリンネは、今回も微妙な立ち位置で振る舞いました。

まずはニルヴァーナ議会での抗議、そしてユウの夢の中への登場です。

この夢の舞台は「知性の繭の中」。「全部終わった」時に行きつく先のようですが、会話から読む限り、リンネはユウよりも先に「知性の繭の中」にいて、そこをユウが訪れた、との流れのようです。その上で夢の中のリンネは、ユウに別れを告げました。

結局これがセイレーネス襲来の前触れだったようですが、果たしてこれがどんな意味を持つのかはまだ分かりません。『鉄腕アダム』の敵が「蝶」だったのに対して、今回は「繭」と関連するならば「蛾」なのか?、などと考えてみたりして、個人的にはこのぼんやりとした時間を楽しんでいます。

リンネに関しては、第2話・第3話でのマヤ・ヤマト(ユウの母親)と重ね合わせる演出が印象に残っています。特に第2話では、マヤが命を投げ捨てようとしたユウに対して「ママの代わりに彼女があなたを守る」と告げるシーンがありました。リンネが以前からユウを知っていた演出があるなど、リンネに関しては色々と気になることが山積みです(カーディナスがユウの母親を知っているらしい発言もあり、ここは気になる所です)。

アレクセイ(国連宇宙軍 情報技術作戦部主任)&アビー(ナーフディス 作戦室人的資源管理官)

前話でセイレーネスの秘密に迫った二人が、今回もコンビで登場します。

やはり目的は例のところにあるのね」との台詞が気になりますが、前話での話を受けているとすれば、セイレーネスが時空結晶体めがけて襲来していることを指すのでしょうか。ここはどうなんでしょうね。

トップネスたち

まずはユウ(マーク6)です。ユウがリンネの登場する不思議な夢を見た直後、セイレーネスが襲来します。ユウはセイレーネスの襲来を予期したリンネのことを不思議に思っています。ここで疑問を持ったこと自体が、今後の展開に活きてきそうです。

ユウは波動砲で敵にとどめを刺すのが役目です。今回も今回の主役であるヒューゴーリシュリューと共に、敵にとどめを刺す役割を担いました。

次にニーナ(マーク1)です。ニーナは”セカンドサイト”と呼ばれるドローンで戦場を俯瞰する司令塔ですので、戦闘開始すぐに役割がきます。ちなみにユウが更新するまで、トップネスの最年少はニーナだったそうです。前話ではヒューゴーに「先輩」として接していましたね。

戦闘開始後、ニーナの後に出番がくるのが”フロストアスター”のマリナ(マーク4)です。今回も”フロストアスター”で敵を分断しようとしますが、セイレーネスが”マグネター”で先手を取ってきたため、展開できずじまいでした。マリナの役目は艦隊の盾。盾なので、セイレーネスの”歌”をまともに受けるところだったヒューゴーを「ナイスカバー!」で助けたわけですね。

ところが、これで意識を失ってしまう。マリナはここで、戦線を離脱することになりました。

意識を失って動けなくなったマリナを戦線から離脱させたのがアイシャ(マーク5)。艦隊の「ヒーラー」的役割を担います。しかしながら、意識を失ったトップネスを回復させることまではできません。なので、アイシャがマリナにつきっきりとなってしまったことは、艦隊全体にとっては決していいことではありませんよね。

さて、ヒューゴーは節を改めますので、最後はレイン(マーク2)です。今回レインはちょっと出番が少なかったのですが、実は、戦闘の最後に”バインドニードル”でヒューゴーを固定するという重要な役割を果たしています。

ヒューゴーリシュリュー(マーク3)

ヒューゴーは今回の主役でした。前回、「先輩」と「後輩」をめぐって色々と騒動を起こした(その実、彼には彼なりのバックグラウンドがあった)ヒューゴーですが、今回は「先輩」として、カッコいいところを見せました。

先ほども書いたように、ヒューゴーはセイレーネスに一瞬の隙を突かれ、窮地をマリナに救われました。しかしその結果、マリナは意識を失います。

艦隊の盾であるマリナが離脱し、さらにもう一つの盾であるリンネも窮地に陥ったことで、艦隊は盾を失ってしまったわけです。カルロスが「少し席を外す」程度には、重大なピンチに陥っていたのですね。

この状況下で、自ら艦隊の盾役を買って出たのが、ヒューゴーでした。

人の価値は何を選択し…どう行動するか

性能の差はあれ 才能なんざただのツール

大切なのは そのツールで何をするかだろ?

これは前話において、レインがヒューゴーにかけた言葉です。

大切なのは、どう行動するか。ヒューゴー、やりましたね。

ちなみに今回ヒューゴーが担った役割を見て、私はサッカーの「潰れ役」を思い出しました。それはもちろん、前話で彼の過去(サッカーをやっていて~)を知ったからですが(笑)。

「潰れ役」は*1”体を張って、チームメイトがプレーするための隙間(スペース)を作る”役割を担います。ゴールを決めるような派手な役割ではありませんが、ゴールを奪うためにはとてもとても重要な役割だと言えます。ユウがストライカーで、ヒューゴーは「潰れ役」。でも、ヒューゴーがいなくてはユウはゴールを決められなかった。まさに彼らしい(?)、素晴らしい活躍でしたね。

最後は「先輩」としてユウに不器用な優しさを見せたヒューゴー。これを「頓悟」と呼ぶのなら、私も「頓悟」したいものです。

おわりに

”今後は全員が「頓悟」するのでは?”と先ほど書きましたが、それはもちろん、この吾嬬先生の制作メモを読んだからです。

ryukoazuma.fanbox.cc

しばらくはトップネス一人一人に焦点を当てながら、少しずつ大きなドラマを動かしていくのだろうと思います。

ちなみに吾嬬先生は制作メモで、「描きたいのは人間ドラマ」だと語っておられます。

思い返せば、近年『宇宙戦艦ヤマト』シリーズは「設定の整合性(『2199』)か、人間ドラマ(『2202』)か」といった二項対立で語られることがありました。これは(作品を作る上でどっちにエネルギーを使うか、という問題ですので)本来矛盾するものではないのですが、事実として両立できていない作品も多く、『2199』や『2202』も、大なり小なりその例外ではありませんでした。その中で、SFに定評のある吾嬬先生が「人間ドラマ」重視を掲げておられるのはとても心強く感じます。

ちなみに、(もちろん意識されていないでしょうが)『宇宙戦艦ヤマト』と一話完結の相性はいいですからね。キャラクターに焦点を当てて進んでいく、『スターブレイザーズΛ』の今後に期待です。