こんにちは。ymtetcです。
以前こちらの記事で「私はセカンドシーズンが好きなんだけど『2202』はそうではなかった」と書きました。
そして、この記事のコメント欄にて、
さて、ここからは正に私見なのですが、私の認識では「2199」も、1作目のリメイクということで生じた「2作目作品」なのです。
一般的な「続編」を縦軸によるものだとすると、ヤマトの最初のTVシリーズと「2199」は現実世界の30年以上の時間経過という横軸によって生じたものです。(アシュラッド帝国皇帝様より)
とのコメントをいただきました。ありがとうございます。
この「2作目」論、非常に面白い視点と思いました。
何故なら、「〇作目」の起点となる「1作目」を随時変更させると、その作品を語る際に、様々な見方ができるからです。
ではここから、この「〇作目」論を援用して、様々な観点からリメイク『宇宙戦艦ヤマト』シリーズ作品の立ち位置を眺めてみます。
➀オフィシャル基準
まずは試しに、公式(オフィシャル)がシリーズ作品として認めていることを基準にします。
すると、『2199』が「1作目」、『2202』は「2作目」にあたります。
さらに、コメント欄でもいただいたように、このシリーズは公式(オフィシャル)が認めるリメイク作品です。そちらの観点から考えると、
『2199』の原作は『宇宙戦艦ヤマト』(1974年、以下『1974ヤマト』とする)ですから、『1974ヤマト』が「1作目」、『2199』は「2作目」にあたります。
『2202』の原作は『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』(以下『さらば』)ですから、『さらば』が「1作目」、『2202』は「2作目」にあたります。
このように、何を「1作目」と位置づけるかによって、リメイク作品の「〇作目」は変動するのです。楽しいですね。
②題材基準 その1
そういえば、先ほど『2202』を考えた時、『ヤマト2』への言及がありませんでした。『ヤマト2』の立ち位置を考えるために、題材を基準にしてみましょう。
『2202』の原作は、厳密に言うと『さらば」と『ヤマト2』の二つです。ですが、『ヤマト2』を「1作目」、『2202』を「2作目」とすると、しっくりきません。
何故なら、『ヤマト2』自身が『さらば』のリメイク的要素を持っているからです。
ここから、「白色彗星帝国編」という題材を基準とすれば、『さらば』が「1作目」、『ヤマト2』が「2作目」、『2202』は「3作目」になります。また新しい『2202』の位置づけが見えてきます。楽しくなってきました(私が)。
では、次はゲーム版を含めて考えてみましょう。
③題材基準 その2
実のところ、ゲーム版を拾い上げるとキリがありません。『宇宙戦艦ヤマト』シリーズからは、いくつか多様なゲームが出ています。「タイピング波動砲」もありましたし*1、ゲームボーイでも出ているようです*2。90年代から00年代初頭にかけては、今思えば『宇宙戦艦ヤマト』ゲームが活発な時代でしたね。
中でも、ファンから別格の扱いを受けているのが『PS版』です。
『PSヤマト』は、いわゆる「松本零士アニメ」の流れを汲んでアニメーションが作られており、クオリティも非常に高く仕上がっています。特にリメイク・ヤマトが登場してからは、リメイク版を批判する文脈において、「PS版の方がよかった」との語りが定番になりました。
この『PSヤマト』を含めると、またリメイク版の位置づけについて違った見方ができます。
『2199』は『1974ヤマト』を「1作目」、『PSヤマト』を「2作目」とした「3作目」に位置づけられ、『2202』は『さらば』を「1作目」、『ヤマト2』を「2作目」、『PSヤマト』を「3作目」とした「4作目」に位置づけられます。
ただ、『2202』の場合、『ヤマト2』と『2202』の間に『PSヤマト』を位置づけると少し違和感が残ります。それは、『2199』が随所に『PSヤマト』への考慮を窺わせている(山崎のデザイン等)のに対し、『2202』はそれが窺えないからです。
④題材基準 その3
ゲームの次に、コミカライズやノベライズにも目を向けてみましょう。これを考えると、どんどん楽しくなってきます。
例えば、『2199コミカライズ』は『1974ヤマト』、『PSヤマト』、『2199』から数えて「4作目」と言ってもいいでしょう。その一方、『2199ノベライズ』はどうかといえば、こちらは『2199』から数えて「2作目」と見た方がいいかもしれません。
あるいは、『2202コミカライズ』はどうでしょうか。
『2202』から数えて「2作目」と見ることもできますし、『さらば』『ヤマト2』『2202』から数えて「4作目」と見ることもできます。それに加えて、ノベライズは「『2199』の続編」として作ろうとした形跡が随所に見られるので、『2199』(『2199ノベライズ』ではない)から数えて「2作目」とすることもできます。
これもまた、楽しい。
⑤クリエイター基準
作品の担い手となるクリエイターに注目するのも非常に楽しいです。
『出渕ヤマト』としては、公式では『2199』が「1作目」、『方舟』が「2作目」になりますが、非公式の活動までを含めるとまた世界が広がります。
また『福井ヤマト』としては、『2202』が「1作目」、『2205』が「2作目」にあたる。『羽原ヤマト』としては、(西﨑さん不在の中で)羽原さんが中心スタッフとなった『復活篇DC』が「1作目」、『2202』が「2作目」といったところでしょうか。
ちなみに、今も熱心に続くファンの同人活動。これも立派なクリエイターの活動と私は考えています。『2199』の原点の一つは同人活動ですからね。特に『宇宙戦艦ヤマト』の場合、ファンメイド作品のクオリティも非常に高い傾向にあります。これらは、リメイクの世界観であれば『2199』/『2202』に対する「2作目」の創作と言えますね。
楽しい(私が)
今回の記事は結論が一つではありませんでした。強いて言うなら「色々な考え方があります」が結論ですので、あまり読んでいて楽しいものではなかったかもしれません。
ただ、考えている私は非常に楽しかったです。で、何故こんなに楽しいのかと考えてみると、それはこの作業が、あたかも家系図を見ているような気分にさせてくれるからだと気づきました。さしずめ、某公共放送「ファミリーヒストリー」のリメイク・ヤマト版といった感じです。
恐らく観点は無数にあると思いますので、皆様も是非、考えてみてください。野暮な話、『2199』も『2202』も全ての『宇宙戦艦ヤマト』の影響を受けて作られていますので、本当は公開順に並べて「〇作目」と位置づけるのが正解なんですけどね(笑)。