ymtetcのブログ

偶数日に『宇宙戦艦ヤマト』を考えるブログです。

【ヤマト2205】戦闘シーンへの期待と……

こんにちは。ymtetcです。

前回は「艦隊戦」をテーマに、『ヤマト2205』への期待を書きました。

今回はもう少しテーマを広げて、「戦闘シーン」への期待を書いてみます。

なお、記事を書くために調べていくと、色々なことが分かりました。そちらは「余談」としてまとめたので、おまけ程度に読んでもらえればと思います。

〇緩急がカギに?

『ヤマト2205』は、緩急を生かした戦闘シーンの演出を試みるのではないでしょうか。

根拠は、『ヤマト2205』に向けて主要スタッフが語ってきた言葉たちです。

まず、監督の安田賢司さんは、『2205』に向けて

これまで以上の重量感や激しさを演出してみたい

(『STAR BLAZERS ヤマトマガジン 5号』株式会社ヤマトクルー、2019年11月)

と述べています。「重量感」「激しさ」がキーワードです。

そして、これと呼応するように、シリーズ構成・脚本の福井晴敏さんは

たとえばアクションシーンのスピード感などは、これまでにない刺激を感じてもらえるんじゃないかな

(『STAR BLAZERS ヤマトマガジン 9号』株式会社ヤマトクルー、2020年11月)

と述べています。「アクションシーン」は必ずしも戦闘のみには限りませんが、「スピード感」がキーワードだということに間違いはないでしょう。

そして、先日のオールナイトニッポンで、音楽の宮川彬良さんは「新コスモタイガー」が使用されるシーンについて、以下のような発言をしました。

速いテンポで4分くらい、すごい映像

【ヤマト2205】「初めて」の試み……? - ymtetcのブログ

こちらは正確な文字起こしではありませんが、「速いテンポ」がキーワードになっていることが分かりますね。

〇メカの特質に応じたメリハリ

宇宙戦艦ヤマト』の戦闘シーンを作る上では、まずテンポが悩みどころになります。

宇宙SFアニメの戦闘シーンと言えば、重力がないからこその「スピード感」「激しさ」が売りになるはずです。しかし、『宇宙戦艦ヤマト』では必ずしも「スピード感」や「激しさ」は評価されません。それはむしろ「軽い」と批判され、ファンからは海に浮かぶ戦艦ならではの「重量感」が求められます*1

この難題について、『2199』はカメラワークの「スピード感」で乗り越えようとしました*2。『2202』はカメラワークによる「スピード感」を排除し、カメラワークにおいても、従来の『宇宙戦艦ヤマト』に近いものを志向しました。

さて、安田さんによれば、『2205』は「激しさ」と「重量感」の双方をより突き詰めていく方向性のようです。そこで私が想像しているのが、緩急です。

特に、彬良さんの言うようにコスモタイガーが「スピード感」を持って描かれているとすれば、大きな戦艦と、小さな戦闘機を対比的に描く可能性が浮かび上がってきます。

戦場を駆ける新コスモタイガー隊と、その後方でどっしりと構えるヤマト、ヒュウガ。メカの特質に応じてメリハリをつけ、緩急の効いた戦闘シーンを描くことができれば、『2205』は『2199』とも『2202』とも違う、新たな『宇宙戦艦ヤマト』の戦闘シーン像を提示できるのではないでしょうか。

 

以下は余談です。

〇余談:小林誠さんの参加?

公式発表が出るまでは、と思っていた「例の件」について。

『2202』副監督の小林さんの『宇宙戦艦ヤマト』新作への参加は、ほぼ確定と見ています。

久しぶりにTwitterの投稿を見てみると、最近は阿佐ヶ谷で仕事をされているようでした。阿佐ヶ谷は、サテライト(『2205』制作)、studioMOTHERの双方が所在する場所です。また、そのツイートの中には、studioMOTHER取締役であり、『2199』『2202』のスタッフである加戸(誉夫?)さんの名前もありました。『ヤマトという時代』の試写会にも招待されていたようですし、これからの『宇宙戦艦ヤマト』に小林さんが携わることは、ほぼ確定と見ていいと考えます。

もちろん、それが『2205』なのか、はたまた別の新作なのかは分かりませんし、『2205』だとしても、どのような役割で参加されるのかは分かりません。とはいえ、仮に『2205』に小林さんが『2202』同様の役割で参加されるのであれば、『2202』と『2205』の主要スタッフ陣容の相違は監督だけということになります。つまり、監督の違いでどれだけ映像作りに違いが出るのか、出ないのかがここで分かるのです。

この件については、今後も注視していきたいと思います。

〇余談:studioMOTHERのテレビアニメデビュー

その件の関係上、加戸誉夫さんについて調べていたところ、studioMOTHERが既にテレビアニメデビューをしていたことを知りました。

テレビアニメ『ゾイドワイルド ZERO』(監督:加戸誉夫)の第38話、第47話に「制作協力」として、最終話に「第二原画」として「studioMOTHER」がクレジットされています(ゾイドワイルド ZERO - アニメスタッフデータベース)。『ヤマトという時代』が延期となってデビューが遠のいたな、と残念に思っていたのですが、私の気づかぬ内に実績の第一歩を刻んでいたようです。

同社は、「制作の全行程のデジタル化」を推進しています*3。また、既にスタジオが稼働しているということは『2205』にも参加することになりそうですね。これまでなかなか会社の実態が見えてこなかった分、誰が参加しているのか、どんな作品作りをするのかなど、これからが楽しみな存在になりつつありますね。

*1:例えば、福井さんが『ガンダム』の感覚で脚本を書いていたという『2202』第一話の戦闘シーンは、本編では大幅にカットされることになりました。

*2:好例が『2199』第一話で「高機動」を見せたキリシマです。あの映像は「軽い」と批判を受けました。ですが、実はただの回頭が、カメラワークで「高機動」に見えていただけでした。『2199』は、艦の動きそのものは従来の『宇宙戦艦ヤマト』を概ね踏襲しつつも、カメラワークで「スピード感」を出そうとしていました。

*3:会社概要 | studio MOTHER Inc.