こんにちは。ymtetcです。
前回はある知人の声から、『2199』序盤の問題点について考えてみました。
今日はそれとは別の知人の声から、『宇宙戦艦ヤマト』の「らしさ」(「ヤマトらしさ」)について考えてみたいと思います。
〇自ら乗り込む、という「ヤマトらしさ」
例外はありますが、基本的に、ヤマトのクルーは「巻き込まれる」形でヤマトに乗り込むことはしません。自分から望んで、あるいは命令を受諾してヤマトに乗り込みます。そこがヤマトらしさの一つなのではないでしょうか。
〇「巻き込まれる」とは
世には、主人公の動機とは違う部分で戦いが生じている作品が多数存在します。
『宇宙戦艦ヤマト』もそうですし、『機動戦士ガンダム』も『新世紀エヴァンゲリオン』もそうです。戦いが起きている理由は必ずしも主人公の持つ素朴な願いとは関わりがありません。そして、だからこそドラマが生まれます。
例えば、ガミラス星で古代がぶつけたあの行き場のない怒りは、彼の願いが(ガミラス人に対する恨みの感情はかつて持っていたとはいえ)「ガミラス星を滅ぼすこと」そのものではなかったからこそ、生じたものでした。
主人公の動機や素朴な願いが、必ずしも戦いに直結しない。そんな設定で、どのようにして主人公をストーリーの中に位置づけていくか。
知人によれば、『ガンダム』シリーズでは、主人公が戦いに「巻き込まれる」ことによって物語が展開していくことが少なくないのだといいます。確かに、『ガンダム』シリーズの主人公における主人公の特徴をまとめたこの記事によれば、
最初の主人公であるアムロ・レイをはじめ、幾人かの主人公たちが「巻き込まれる」形で物語の流れに加わっているようです。
〇「巻き込まれない」『宇宙戦艦ヤマト』
一方、『宇宙戦艦ヤマト』の場合、この「巻き込まれる」形が非常に少ないと言えます。もちろん、最初の『宇宙戦艦ヤマト』で古代と島が通信カプセルを拾ったのは「巻き込まれた」事例かもしれません。ですが、それは必ずしも宇宙戦艦ヤマトへの乗艦と直結したものではありませんでした。
これは、二人目の主人公となった(なりかけた)土門竜介の場合も同様でした。いずれも命令を受けるか、自ら志願する形でヤマトに乗り込んでおり、「巻き込まれた」わけではありません。
また、『宇宙戦艦ヤマト』で定番の台詞に「残りたい(降りたい)者は残って(降りて)構わない」というものがあります。これを乗艦の意志の最終確認だとすれば、ヤマトのクルーは基本的に、自ら望んでヤマトに乗り込む形をとっていると言えます。
では、なぜ『宇宙戦艦ヤマト』作品の登場人物は「巻き込まれない」形をとっているのでしょうか。
それは、作風の一つを構成する”使命感”と密接に関わっていると考えます。
『宇宙戦艦ヤマト』に対する太平洋戦争の影響は計り知れません。戦前・戦中の価値観が作品に影響を及ぼしている可能性も考慮しておかなければならないでしょう。
私は、”志願”を美徳とする価値観の影響が、「ヤマトらしさ」の一つである”使命感”に表れているものと考えます。そういった背景のもとで、『宇宙戦艦ヤマト』』のキャラクターたちの多くは、自らの意志でヤマトに乗艦する(あるいは残留する)形をとっているのではないでしょうか。
〇おわりに
主人公・登場人物が「巻き込まれない」形で物語に加わる。それを「ヤマトらしさ」と捉えるなら、『スターブレイザーズΛ』も「ヤマトらしさ」を受け継いでいると言えます。彼ら彼女らもまた「地球を救う使命を帯びて戦う」人間たちです。
宇宙戦艦ヤマトには何らかの使命があり、乗組員たちはその使命を達成するために、迷いを振り切ってヤマトに乗り込む。
それもまた、『宇宙戦艦ヤマト』のらしさの一つなのではないでしょうか。
〇アニメ『しゅごキャラ!』が全話無料公開
余談ですが、アニメ『しゅごキャラ!』がYoutubeで無料配信(期間限定)されはじめたようです。監督は、『宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち』の安田賢司さん。
懐かしみ✨
— 安田賢司 (@tekamyan) 2020年8月22日
宜しかったら、是非❗️#しゅごキャラ https://t.co/CzxTwDNi0f
Youtube動画の概要欄を見ると佐藤順一さん(『2199』第24話絵コンテ)と大野木寛さん(『2199』脚本)が携わっていることになっていますが、これは二期以降のことらしいので、今回公開された一期は該当しないと思われます。
チャンネル名を観た時は無断転載系のチャンネルかと思いましたが、調べてみるとちゃんとしたチャンネルのようです。
勘違いかもしれませんが、最近、本編をYoutube上で公開する公式が増えてきたように思います。『宇宙戦艦ヤマト』も、一部のみの限定公開ならば行ってもいいかもしれませんね。特に『2199』は、第3話まで観てもらえれば確実にハマる新規ファンが出てくると思います。