ymtetcのブログ

偶数日に『宇宙戦艦ヤマト』を考えるブログです。

「帰納法」で作られた(?)『エヴァ』と、”リメイク”の話。

こんにちは。ymtetcです。

前回の記事でお伝えしたブログレイアウトの変更ですが、結局サブブログをメインブログの書式に合わせることにしました。こちらの方が見てくださる方は多いので、あまり変化という変化にはなりませんでした。

今日は前々回、「なぜ庵野版『ヤマト』は「そのまま」なのか」の延長戦です。岡田斗司夫さんの『エヴァ』考察を引用しながら、庵野版『ヤマト』とリメイク『ヤマト』について考えていきます。

岡田斗司夫さんの『エヴァ』考察

前々回の記事では岡田さんによる「『エヴァ』におけるオマージュは魂を込めるための儀式」論を引用しました。

今回は、「『エヴァ』は帰納法で作る」論を引用してみます。

エヴァンゲリオン』というのはですね、仮説からですね、原因を予想する。つまり、結論をまず決めちゃう。「なぜ赤いか?」ではないんですね。エヴァの世界は「なぜ赤いか?」ではなくてですね、「赤くしなきゃいけない。世界を真赤にしたいんだけど何かいい理由ないかな」というのがその『エヴァ』の作り方なんですよね。

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岡田さんは、『エヴァ』は「帰納法」で作られていると語ります。「帰納法」の用語がここに当てはまるのかどうか、私にははっきりとしませんが、岡田さんによれば、エヴァ』の作劇にはまず結論があり、その後にその理由を考えるのだといいます。

この岡田さんの考察は、『エヴァ』に対する風評として根強かった「庵野は何も考えてない」論に対する反論になっている点が趣深いです。つまり、岡田さんの議論に基づけば、庵野さんは「何も考えてない」のではなく「後から考える」のだ、と見ることができます。

〇『ヤマト2199』の作劇法

さて、この岡田さんのいう「帰納法」論に触れた時、このアプローチがある作品のそれと一部似通っていることが分かります。『ヤマト2199』です。

代表的なものが、シュルツとガンツの設定。彼らは旧作で肌が青くなかった。なぜか。それは彼らがガミラス星に生まれ育ったガミラス人ではなかったからだ……。当時は「補完」と呼ばれたこのやり方ですが、作業そのものは実に岡田さんのいう「帰納法」と同じ手順を辿っています。

庵野さんの『エヴァ』が、オマージュを前提に「帰納法」で作られていたとすれば、出渕さんの『2199』もまた、旧作を再現する部分を中心に「帰納法」で作られていたと考えることができます。あるいは、『2202』で岡さんが発案した「時間断層」の当初案も”地球艦隊再興の理由づけ”だったので、これと同じアプローチのアイデアだと言えるでしょう。

〇我々の受け止め方

旧作の矛盾を受け止めて再現しつつ、リメイクではその理由を「補完」することで整合性をはかる。一般的に、こうした作り手の努力を目の当たりにした時、旧作ファンは感心をします。「なるほど、そうきたか」と。

これはリメイク作品の評価を高めていく上ではとても重要なものです。旧作で矛盾していたから新作では根本的に作り変えました、ではどこか寂しいのが旧ファン心理。しっかりと旧作の要素を再現しつつ、その内実を現代風にしっかりと組み上げて強化していくのが、”名作”のリメイクでは王道だと言えます。庵野さんが『ヤマト』を作るとすれば、そうした王道のアプローチをとってくるのではないでしょうか。

それこそ出渕さんがシュルツたちを地球人の肌の色のまま登場させたり、岡さんが旧作通りの地球艦隊を再現しようとしたように、です。本当に庵野さんが「帰納法」で作品を作り上げているのなら、庵野さんのリメイクでは古代と島が甲板上で殴り合い、バラノドンがヤマトに襲いかかるようになっているかもしれません。しかしながら「後から考える」のが庵野スタイルですから、そこには庵野さんらしい、リアリズムを効果的に取り入れた丁寧なディテールもあるはずです。

庵野監督が仮面ライダーを撮る、との話題に載せて、こちらのツイートが庵野さんの『シン』シリーズをスマートに整理されていました。『シン』シリーズとは庵野さんなりの「原点回帰」。これは『エヴァ』でも同様でしたので、鋭い指摘だと思います。

仮に庵野さんが『ヤマト』を作るとしたら、戦艦大和が蘇って宇宙を征く、という部分を大切にしながら、庵野さんなりに、太平洋戦争を知る世代が作り上げた旧『宇宙戦艦ヤマト』の「原点」に回帰した作品となりそうですね。出渕さんと庵野さんの仲を考えると早期の実現は難しいですが、『シン・仮面ライダー』が6年前から動いていたとの情報に触れた今日この頃、今も水面下では『ヤマト』の話が動いているかもしれない、と、夢を膨らませてみたいものです。

 

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