見上げるだけの虹では
語り合う友に会えない
同じ蜃気楼めざして
明日に虹を架ける
こんにちは。ymtetcです。
『スターブレイザーズΛ』第13話「虹」が公開されました。
では今回も、いくつか感想を書いておきます。
〇全体感想
今回は、かなり熱量のこもったドラマが展開されていました。仲間や友達といった要素が今回のテーマを構成していたので、『Λ』が持つチームドラマとしての特性が、うまく反映された回だったなと思います。
また、今回のラストシーンは『ヤマト』第一作以来、『方舟』にも受け継がれてきた演出でした。もちろん『ヤマト』特有の演出というわけではありませんが、この演出が『ヤマト』の文脈で登場したことには、一種の喜びを感じました。
〇「虹」が繋ぐもの
さて、今回私が語りたいのはこちらです。
第13話は、サブタイトルにもあるように「虹」が題材となっていました。虹が第13話に登場するのは2回。いずれもラストシーンで、一度目はアイシャがニーナを救い出した場面、二度目はアイシャの回想のカットで登場します。
ここから、『Λ』第13話が「虹」を題材にして描きたかったものは何かを考えてみます。
まず前提として確認しておきたいのは、虹はしばしば「架ける」「橋」という言葉とセットで使われることです。冒頭に『完結編』の「明日に架ける虹」(『宇宙戦艦ヤマト 完結編』より)の歌詞を引用しましたが、ここでも、「明日に虹を架ける」「未来に橋を架ける」などの表現が登場しています。
「架ける」「橋」。つまり虹は、「繋ぐ」ことを表現するための題材だと考えられます。
話を『Λ』に戻しましょう。
第12話で、アイシャは自らが木星に来た理由をこう語りました。
「私の命にできること」を知りたい、と。かつて民間防衛隊のメンバーに命を救われたアイシャは、生き残った自分の命に何ができるのかを知りたがっていたのです。
そして今回、アイシャは大切な友達の命を未来に繋ぎました。それはちょうど命の恩人が、アイシャの命を繋いでくれたように。
見上げるだけの虹では
語り合う友に会えない
同じ蜃気楼めざして
明日に虹を架ける
第13話のラストで、アイシャは命を救われた日に見た虹を思い返していました。
アイシャが見上げていた虹は、恩人が救ってくれなければ見ることのなかった虹です。つまりあの虹は、彼がアイシャの命を未来に繋いだことを表現した虹だと考えられます。
今回の戦いで、アイシャは自ら空に虹を架けました。大切な友達に、命の架け橋を繋ぐために。大切な友達の未来を守るために。
見上げるだけの虹ではなく、自らの意志で明日に虹を架ける。
結果的にではありますが、(前述の「ヤマトっぽい」演出だけでなく)キャラクターの意志や思いの強さといったマインドの面においても、今回の『Λ』は『宇宙戦艦ヤマト』のエッセンスを受け継いでいたのではないかと思いました。