ymtetcのブログ

偶数日に『宇宙戦艦ヤマト』を考えるブログです。

新生ナーフディスの第1話:『スターブレイザーズΛ』第19話

こんにちは。ymtetcです。

今日は、11月12日に公開された『宇宙戦艦ヤマトNEXT スターブレイザーズΛ』第19話について考えていきます。

comic.webnewtype.com

○第19話「ダニッシュ・ギャンビット」あらすじ

月面基地に撤退したナーフディス。レインとユウを欠いた状態で、セイレーネスとの戦いに挑む。安定感を欠くナーフディスはセイレーネスの戦法に苦戦するが、新たなるトップネス・ミハイルの登場によって事態を乗り切る。ミハイルの活躍に沸くトップネスたち。その時、ユウが戻ってきた――。

○新生ナーフディスの第1話

今回は「新生ナーフディスの第1話」だなと思いました。面白かったです。

冒頭、レインとユウを欠いたナーフディスの面々が描かれましたが、ここで描写されているのは、「先の見えない不安」と「それでも次の戦いが待っている現実」です。ヒューゴーの「なぁレインよぉ… オレたちこれからどうなっちまうんだろうな…」。マリナが眠れないというのも、彼女の抱える言語化しがたい不安や入り混じった感情(こちらは自分で言語化してましたが)を反映しているようで生々しいな、と思いました。

そんな不安を抱えたまま挑んだセイレーネスとの戦いが、あれよあれよという間に苦戦していくのは自然な流れです。

さて、そこで現れた新たなトップネス・ミハイルは、戦闘後のトップネスたちの表情からも分かるように「明日への希望」に満ちたヒーロー的存在でもありました。読者は、ミハイルに何やら隠れた秘密があるらしきことを既に知っているわけですが、トップネスたちは知りません。ここの読者とキャラクターの温度差も興味深いところですね。

しかし、ミハイルから「明日への希望」を感じ取ったキャラクターたちも、ユウの帰還によって読者の温度感に近いところまで引き戻されます。義足と義手にかわったユウの手足が、否応なしに「レインを失った戦い」を思い出させるからです。現実は新たなヒーローが訪れただけでは変わらないということを、実感をもって味わわせてくれる描写だと思います。

これからのナーフディスは、重要な転機である「レインを失った戦い」を無事生き延びた5人のトップネスと、その戦いの象徴であるユウ、そして新たなトップネス・ミハイルの7人で再始動することになりそうです。第19話は、新生ナーフディスの物語の始まり……もう一つの第1話。そんな予感をさせてくれる展開でしたね。

○「ダニッシュ・ギャンビット」

”ミスはそこにあり 指されるのを待っている”

ミハイルのセリフには、チェスのモチーフが盛り込まれていました。第19話のタイトルである「ダニッシュ・ギャンビット」も、チェスの「ギャンビット」戦術の一種のようです。なお「ギャンビット」戦術とは、相手に駒を取らせる間に、他の側面で優位性を確保する戦術とのこと。

ギャンビット - Wikipedia

レインを失ったナーフディスの現状を示しているようで興味深いですね。