こんにちは。ymtetcです。
今日は『ヤマト2205』から、メカ、特に艦船の表現方法について考えていきます。
特に注目したいのが、「〇〇の艦」です。
『ヤマト2205』には、特定の艦船を「〇〇の艦(ふね、船)」と表現する場面があります。しかも、二度も。
一つは第二話、ヤマト艦隊発進シーンのヤマトに対する、真琴の「父ちゃんの艦」。もう一つは第三話、ガミラス星の危機に駆け付けた次元潜航艦に対する「父ちゃんの乗ってた艦だ!」です。
これらの演出は、いずれも無機物である艦船に、乗っていた人間の姿を重ねるものだと言えます。他にも、本質的な部分でキャラクターと艦船を重ねている部分で言えば、第一話ラストの古代進と宇宙戦艦ヤマトも、同様のシーンです。
私はここに、メカ、特に艦船のプロモーション方法のヒントがあると考えます。
ここで想起されるのが、アスカとヒュウガのデザイン問題です。
当初、福井さんたちはアスカとヒュウガを同じ形にして、カラーバリエーションで売り出す戦略とセットにしようとしていたようです。『2202』プラモ商法の応用ですね。しかし、どこからか、どうしても玉盛さんのもう一つの空母も出したい、ということになり、現在の形に落ち着いたとか。
ここで、想像を膨らませてみましょう。アスカとヒュウガが同じメカデザインだったとすれば、プラモデルも当然、アスカとヒュウガの二種類が、色違いで発売されていたはず。さらに、両者はこう俗称されていたはずです。「森雪艦」と「真田艦」と。
艦船にキャラクターの姿を重ねた『2205』の演出/脚本は、こうしたメカのプロモーションの可能性を示唆するものだと考えます。すなわち、他のロボットSFと同じように、キャラクター人気とメカ人気を融合させ、購買の促進を図るのです。ヤマトは「古代艦」であり、アスカは「森雪艦」であり、ヒュウガは「真田艦」であり、デウスーラは「デスラー艦」として、キャラクター人気と合わせて売り出されるわけです。
「古代艦」「デスラー艦」と呼称すれば、このようなプロモーションがある種の原点回帰であることも分かるでしょう。これは、ミリタリーとしてのリアリズムに転換したリメイク版がオミットした要素でもあります。
『スターブレイザーズΛ』が、キャラクター名を実在の艦船名とすることで「〇〇艦」との呼称を盛り込んでいるように、キャラクターと艦船を重ね合わせる演出は、再び『ヤマト』のトレンドの一つになっていくかもしれません。