ymtetcのブログ

偶数日に『宇宙戦艦ヤマト』を考えるブログです。

『ヤマト2199』の一つの魅力

こんにちは。ymtetcです。

ひと月ほど前に「『ヤマト2199』の強みを『3199』に繋げられたら……」という記事を書きました。それからあまり『2199』は観ていなかったのですが、時々観ると、やはり色々なことに気付かされます。

今日は、『2199』はどんなところが魅力的なのか? に対する、一つの答えをまとめてみたいと思います。

〇世界が広がっていく快感

『2199』の魅力は、回を追うごとに世界が広がっていく、じわじわとした快感にあると考えます。

『2199』は、何か一本筋の通った「大きなテーマ」があるわけではありません。強いて言えば「相互理解」ではありますが、全ての物語がそのために編制されているかと言えば、そうではありません。

それは『2199』の弱点ではありますが、むしろ強みでもあります。これにより、「次はどんなものが見られるのか」というワクワク感を生んでいるのです。その意味で、『2199』は旧作のロードムービーとしての側面を、正統に引き継いでいるとも言えます。

今回注目したいのが、作品としての”広がり”です。例えば第9話では、SFとしての『ヤマト』が持つ視野の広さを感じさせ、第12話と第15話、第18話では、少しずつ、ガミラス社会の広がりを様々な角度から描き、第16話と第17話では、『2199』宇宙の広がりを、旅先で出会った不思議な”遺跡”を介して表現しています。

このような、世界観の広がりを感じさせる、期待を持たせる演出と設定のディテールが、『2199』ファンの抱く、じわじわとした快感の正体なのではないでしょうか。

〇完璧な作品ではないが

もちろん、この演出と設定のディテールも完璧ではありません。特にスケジュールが切迫した第六章後半以降(第21話~)は作画だけではなく演出面においても詰めが甘く、それまでの話数で広げたものを回収することに追われていました。また、回収できていない部分もありました(森雪の正体など)。そのため終盤にかけて、『2199』の評価は当初よりも下降線をたどったわけです。

また、劇場版であった『方舟』も、世界観の広がり、という意味ではあくまで『2199』を繰り返しただけであり、いい映画ではあったものの、テレビシリーズ(先行上映)が持っていた”広がり”には欠いていたと考えます。当時の私自身、『方舟』に感動した一方で続編や次回作への期待はさほど膨らまなかったのですが、そこに原因があったのではないかと考えています。

しかし、このような『2199』の魅力は、ぜひ『3199』にも引き継がれて欲しいと思います。なぜなら福井ヤマト第一作である『2202』には、この『2199』の魅力は引き継がれていなかったからです(第8話でシュトラバーゼに立ち寄った時が最後でした)。

「大きなテーマ」で筋を通して骨太なドラマを志向する福井ヤマトと『2199』スタイルは両立し得ない部分もありますが、作品世界の広がりを描いて観客を引きつけていくやり方を上手く活用すれば、『3199』も第26話のなかで間延びしない、ワクワクさせてくれる作品になるのではないでしょうか。