ymtetcのブログ

偶数日に『宇宙戦艦ヤマト』を考えるブログです。

【ヤマト2202】序盤の展開に見るもう一つの『2202』

こんにちは。ymtetcです。

『2202』の序盤を最近見ていますが、「サスペンスと政治」の要素が強いな、と感じます。今日は、それについて考えます。

『2202』の序盤には、ヤマトらしからぬドロドロ劇が隠れていそうな雰囲気があります。芹沢に耳打ちする軍産複合体の面々、エージェントに監視されるヤマトクルー、謎の教授と謎の女。

スパイドラマやサスペンス劇、政治ドラマを社会派作品として描いてくれそうな、そんな予感をさせてくれます。それは、「福井晴敏作品」という看板が余計にそうさせるのかもしれません。

さらに、序盤はまだギリギリ「旧作の正常進化」に見えるガトランティスと地球連邦がいるので、私が第一章・第二章を観て「これまでのヤマトとは違う面白さがある」と感じたのも無理はありません。

しかし、その後の『2202』は、期待したようには推移しませんでした。もちろん面白かったと私は思いますが、序盤に期待した方向には進まなかったのです。軍産複合体のドラマが掘り下げられることもありませんし、ヤマトクルーを監視してしまう地球政府のゆがみも深められることはありません。謎の教授と謎の女も、まぁそれなりの掘り下げで終わってしまいました。

ただ、今となって思うのは、序盤のような「サスペンスと政治」ドラマに『2202』が寄っていく余地も、第一章・第二章の頃にはまだあったのかもしれない、ということです。というのも、ノベライズ初期に雑誌で公開された皆川さんの島のスピンオフは、どちらかといえば地球社会の暗部に迫る内容だったからです。

結局は「ヤマトらしい」方向性に向かっていった『2202』ですが、序盤のかじ取り如何によっては、福井さんの「社会派」風の路線に寄った作品になった可能性もあったかもしれませんね。厳しい言い方をすれば、結果的には中途半端な部分もあったと思います。