ymtetcのブログ

偶数日に『宇宙戦艦ヤマト』を考えるブログです。

【ヤマト2199】星巡る方舟から滅びの方舟へ【ヤマト2202】

こんばんは。ymtetcです。

ヤマト2202に登場する「滅びの方舟」。ヤマト2199の劇場版に登場したアケーリアス文明遺跡「星巡る方舟」を念頭に置いて導入された、旧作にはない新設定です。

現在公開中のヤマト2202第六章「回生篇」では、「薄鈍色の宇宙」など、2199劇場版のBGMが印象的に使用され、2199以来のファンとしては懐かしい気持ちになりました。

このように、第六章では随所に2199の「方舟」を思わせるような要素が登場します。ここで改めて、2202と2199の二つの「方舟」について考えてみたいと思います。

目次

二つの「方舟」共通点:デザイナー

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はい。

『宇宙戦艦ヤマト2202』第五章上映記念 愛の宣伝会議 第6回 - YouTube

はい。

というわけで、デザイナーは2199と2202で変わっていません。

余談ですが、私は第六章を観た時「やっぱ小林誠ってすげぇな」と思いました。そう、滅びの方舟に関連して、2199時代のように色々な美術を描いているんです。それがすごくいいなと。オススメは「ゼムリア艦」かな。古代遺跡を描かせたらやっぱ凄いです、この人。どうしてメカデザなんかやったんだ。

二つの「方舟」の共通点:構造

2199で登場したシャンブロウに「捕食」の概念はありませんが、そのスケールと構造は似通っています。「方舟」の内部に空間があるという点です。福井さんは、滅びの方舟のそれを「小宇宙」と表現しています。

『宇宙戦艦ヤマト2202』第五章上映記念 愛の宣伝会議 第6回 - YouTube

2199では、この空間内でヤマト・バーガー艦隊とガトランティスによる戦闘が行われました。対して2202では、ヤマト救出作戦がこの空間内で行われています。惑星が本体なのではなく、惑星を抱え込んだ空間全体が遺跡であり「方舟」である。この構造は共通していると言えます。

二つの「方舟」の共通点:起動条件の存在

デザイナーと構造が共通している点は、第五章までの描写から分かっていたことでした。しかし今回の第六章では新しい共通点が見つかりました。

それは、どちらの「方舟」にも起動条件が存在することです。

2202における「方舟」の起動条件の描写は記憶に新しいと思います。

ガイレーン「滅びの方舟が目覚める時は、人間が悪しき種であるとの裁定が下った時。それは人間の自己判断に委ねられているのです」

では、2199における「方舟」の起動条件の描写を思い出してみましょう。

レーレライ「この星の力を求めてやってきた者たち。だが、やがて彼らは疑心に駆られ、互いを滅ぼしあった。そして、あなたたちもそうなる筈だった」

(中略)

レーレライ「この星は、我らジレルの聖地。我が始祖、アケーリアスのシャンブロウ」

(中略)

レーレライ「故郷滅亡の折、一握りの巡礼は、この地にあって滅びを免れた」

(中略)

桐生「銀河に播かれた種。幾多の種族、この地に集いて7日の後、心をひとつと成せ。光輪に入りて、手を携えよ。同じアケーリアスの遺伝子を持つ、銀河の同胞よ。さすれば封印は解かれ、星巡る方舟、永き眠りより、目覚めん……

懐かしいですね。大和ホテル編のクライマックスに当たるシーンでした。

このように、人間と関連した一定程度の起動条件が設けられていることは、まさに二つの「方舟」がアケーリアス文明の産物として共通のシステムを有しているということを示しています。

二つの「方舟」の相違点:起動条件

しかし、この二つの「方舟」は違う目的を持った「方舟」です。

2202の「方舟」は、人類を根絶するために作られた安全装置。その起動条件は、人類が人類を悪しき種と裁定すること。

2199の「方舟」は《恒星間播種船》。その起動条件は「この星に捉われた3つの異なる種族が、7日の後、ともに手を携える」こと。

この二つの「方舟」は、「滅び」と「播種」という対比的な目的を持っているが故に、その起動条件も対比的に相違しています。

「種まく方舟」

2202本編では、「滅びの方舟」と対を成す存在として、「種まく方舟」の存在について言及しています。

この「種まく方舟」、2199世界ではシャンブロウのことを指しますが、我々は他にも「種まく方舟」とも言うべき存在を知っています。

そう、アケーリアス文明の元ネタともなった「水の惑星アクエリアス」(ヤマト完結編)です。緩やかな楕円軌道を描いて宇宙を回遊し、地球に命の種をまいたと言われる惑星ですね。

2199の「方舟」は、「種まく方舟」よりも、ジレル人の聖地としての側面が強調されていました。

仮に幸運にも次回作が生まれ、完結編の要素を取り入れて「種まく方舟」の側面を強調した「方舟」が登場すれば、2199の劇場版以降「方舟三部作」とでも言うべき状況が出現することとなり、これはこれで、新しいヤマトの姿として面白い試みになると思います。

全ての種の起源としてアケーリアス文明を設定した2199の偉大さを改めて感じるものです。これによって、ヤマトシリーズの様々な要素(白色彗星、アクエリアス)に意味を与えることができたわけですからね。