ymtetcのブログ

偶数日に『宇宙戦艦ヤマト』を考えるブログです。

【ヤマト2202】「トランジット波動砲発射失敗」のリメイク的意味 その1

こんばんは。ymtetcです。

宇宙戦艦ヤマト2202の原作には、『さらば宇宙戦艦ヤマト』(以下『さらば』)そして『宇宙戦艦ヤマト2』(以下『ヤマト2』)があります。

しかし、後者の『ヤマト2』について2202は、ヤマトV.S.アンドロメダや第11番惑星、チクワなど、設定やシーンにおいては受け継いでいても、2202という作品の根本的なテーマの部分では「愛のために死ねるか」「愛(する人)のためだけでいい」という『さらば』が中心*1で、『ヤマト2』はそれほど顧みられていなかったように思います。

そんな最中、ヤマト2202は第六章『回生篇』において突如として「死ぬな、生きろ」というヤマト2のテーマを語り始めました。いささか唐突に感じた人もいらっしゃるのではないでしょうか。

今日から2回ほど、第六章で『さらば』から『ヤマト2』へと移行した2202のストーリー構成について考えていきたいと思います。その中で、第五章ラストシーンの「トランジット波動砲発射失敗」が、リメイク的に見て大きな意味を持っていることが分かりました。

目次

『さらば』『ヤマト2』『2202』における「土星沖海戦〜都市帝国決戦」

今日はその前作業として、原作である『さらば』『ヤマト2』と、2202の筋書きをそれぞれ振り返って比較してみましょう。

さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』

デスラーは、白色彗星の弱点が「渦の中心核」にあることを告げて死んだ。

地球に迫る白色彗星。ヤマトが帰路を急ぐ中、土星沖海戦が始まる。地球艦隊は拡散波動砲をもって艦隊戦に勝利。勢いそのままに白色彗星へ波動砲を一斉射撃するが、目立った効果なく地球艦隊は敗北する。

連邦政府が降伏勧告を突きつけられる中、救世主のように現れたヤマトは、渦の中心核めがけて波動砲を放つ。命中したが、ガス体を取り除くに止まった。都市帝国が出現し、ヤマトは運命の最終決戦へと向かう……。

宇宙戦艦ヤマト2』

土星沖海戦が迫っていた。ヤマトは敵の後方に位置する空母艦隊への奇襲作戦を決行し、戦果を挙げる。

そして、機動部隊を失ったガトランティスと地球による土星沖海戦が始まった。土星沖海戦は地球艦隊の勝利に終わるが、突如として出現した白色彗星によってヤマトはダメージを受け、戦線を離脱

地球艦隊は白色彗星に対して波動砲を一斉射。だが、ガス体を取り除くに止まった。出現した都市帝国を前に、地球艦隊は敗北し、都市帝国は地球へと迫る。やがて、降伏勧告が地球政府に突きつけられた。

木星の衛星基地で修理を受け、再び発進したヤマトだったが、その目前にデスラーが立ちはだかる。対決の後、デスラーは都市帝国攻略のヒントを残して立ち去った。

そしてヤマトは単艦、都市帝国への決戦に挑む……。

宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち

土星沖海戦が始まった。地球艦隊はガトランティスの艦隊を正面から迎え撃つ。艦隊戦の後、地球艦隊は白色彗星の中心部めがけて波動砲を一斉射。命中するが、一時的にガス体を取り払ったのみで目立った効果はなく、地球艦隊は敗北。地球連邦政府はガトランティスから降伏勧告を突きつけられる。

その最中、救世主のように現れたヤマトだったが、トランジット波動砲の発射に失敗し、戦線を離脱する。

そして、あたかもヤマトと入れ替わるように銀河が登場。銀河はガトランティスの増援艦隊に対する奇襲作戦を決行し、一定の戦果を挙げるも、白色彗星は防衛ラインを突破して火星へと侵攻してゆく。

火星沖海戦が始まり、ヤマトは救出された。火星にて改装を施されたヤマトは、再びトランジット波動砲の使用を決意。

都市帝国における決戦へ向けて、再び出撃するヤマト。だが、その行く手にはデスラーがいた……。

旧作から引き継いだもの

この『さらば』『ヤマト2』と2202を比較して、

  • 『さらば』にあるが、『ヤマト2』にはなく、2202にはあるもの:『さらば』リメイク的要素
  • 『さらば』にはないが、『ヤマト2』にはあり、2202にはあるもの:『ヤマト2』リメイク的要素

この二つに細分化してみますと、

  • 『さらば』リメイク的要素:「渦の中心核を狙え」(=「トランジット波動砲」)
  • 『ヤマト2』リメイク的要素:「奇襲作戦」「地球艦隊の波動砲による都市帝国出現」「ヤマトの戦線離脱」「ヤマトの修理」(=「ヤマトの改装」)

という風に整理できます。

おしらせ

では、『さらば』にも『ヤマト2』にもない要素である「銀河」「火星沖海戦」「ヤマトの救出」は、2202の完全オリジナル要素と言えるでしょうか。

また、『さらば』にも『ヤマト2』にもありながら、その詳細がいずれも異なる「土星沖海戦」の2202における立ち位置は如何なるものなのでしょうか。

これらの問いを考えていく上で大きなヒントになりそうなのが、「トランジット波動砲発射失敗」シーンです。

これは『さらば』の「渦の中心核を狙え」リメイクでありながら、そのシーンをリメイクし終わる直前のところで失敗に終わります。

このシーンが、リメイク的に見てどのような意味をもったのか。

2202第20話のシナリオ集を用いて考えていくのが「その2」となる予定です。

本来はそこまで一日の内にそこまでを書いて記事にしておきたかったのですが、想像以上に旧作の要約に手間取り、なおかつ別件で今日はとても忙しいため、この辺りとします。

ymtetc.hatenablog.com

この記事に大変興味深いコメントを寄せていただいており、そちらに返信もしたいのですが、今日のところは難しそうです。すみません。。

まだこの記事のコメント欄をご覧になっていない方がいらっしゃったら、是非ご覧になってください。大変興味深いお話をいただいておりますので……。

返信は明日以降になりますが、返信をした際には記事内でおしらせ致しますので、よろしくお願いします。

 

*1:井:ひとつ言っておくと、「『さらば』のリメイクをお願いします」と俺は依頼されてます。」福井晴敏さん×桑島法子さんインタビュー『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』第三章「純愛篇」上映直前! | アニメイトタイムズ