ymtetcのブログ

偶数日に『宇宙戦艦ヤマト』を考えるブログです。

「プラモデルは初心者向け。」副監督の模型プロモーション戦略

こんばんは。ymtetcです。

最近の副監督ツイッターで物議を醸したのが、「プラモデルは初心者向け」という発言です。

from:makomako713 初心者 - Twitter検索

──「プラモをバカにしている!」

──「プラモを買ってくれる自分の客をバカにしている!」

──「いや、アニメのプラモなんてプラモ界の底辺だろw」

そんな感じの声が聞かれました。

私はヤマトに限らず全般にプラモをやらないので、実際にプラモデルが初心者向けかどうかは分かりません。しかし、この発言は副監督流の模型プロモーションとしては理にかなっていると考えます。

数日考えてきたように、副監督は「ヤマトファン」に対して「分断工作」的行為を行っています。ヤマトファンを「副監督」基準で分断して生まれた自身の「ファン」は、購買意欲を持っています。

ではいかなる手段によって、そうした自身の購買層をして模型を買わしめるか。

「プラモデルは初心者向け」発言が、模型の販売促進を企図していることは言うまでもありません。そしてその意図は、「ファン」に対して模型の敷居を下げること、そして、「ファン」に複数買いを促すことにあります。

 

そもそも、副監督の言う通りプラモデルが初心者向けならば、上級者は何をするか。

彼自身は「初心者は無理なのがフルスクラッチ」と述べています。ここに込められているのは、「上級者以外はフルスクラッチするな」という発想です。

とはいえ、ひとまずフルスクラッチを最終目標に位置付けて(彼自身もフルスクラッチをするタイプの人間です)、更に2202プラモデルの展開に目を向けてみますと、副監督は以下のように、モデラーの発展段階論をとっていると考えられると思います。

  • プラモデル組み立て(初心者)
  • ニコイチ・プラモデル組み立て(中級者)
  • プラモデル組み立て・改造(中上級者)
  • フルスクラッチ(上級者)

具体的に説明してみます。

初心者はプラモデルを説明書通り組み立てます。塗装についてはここでは除外して考えています。確かにバンダイのプラモデルは「説明書通りにやっても組み立てられない」といった代物ではないらしいので、組み立てること自体は簡単なのでしょう。ここで、「ファン」に対して模型の敷居を下げることができるのです。

次に重要なのが、中級者の取り組みである「ニコイチ・プラモデル」です。ここで鍵となるのが武蔵であり、アクエリアス

まず、初心者である副監督の「ファン」は、アンドロメダ・ヤマト・銀河の模型を説明書通りに組み立てます。そして次に、「ニコイチ」を作ります。何故ならば、副監督がオススメしているからです。素直。

ヤマトと銀河の模型を買うと、簡単に武蔵風の模型を組み立てることができます。ヤマトの船体と銀河の艦橋には互換性があるからです。そう考えると、銀河の船体にわざわざ窓が追加されている意味を察することもできます。

また、アンドロメダと銀河の模型を買うと、アクエリアス風の模型も組み立てられます。この二つには互換性がありませんが、聞いたところによると、比較的簡単な改造で組み立てられるようです。

ここで整理してみましょう。ここまで買える財力のある人はなかなかいないので、おそらくメカコレになるでしょうが、果たして今何個の模型を買ったか?

アンドロメダ、ヤマト、銀河。ヤマト、銀河。アンドロメダ、銀河。なんと7個です。スゴい。

でもこれだけじゃありません。副監督はもう一つの仕掛けを用意しています。

7個模型を買って3個組み立て、ニコイチの模型を2個組み立てた。初心者だった「ファン」も、そろそろプラモデルの組み立てに慣れてきた頃でしょう。

こうなってくると、だんだん気になってきます。さっき作った武蔵風の模型だけれど、下部艦橋の形が復活篇の武蔵と違うよな。さっき作ったアクエリアス風の模型だけれど、ドームの形は2520風だよな。自作して直そうかな。でも初めて作ったニコイチ模型だしなぁ。

──買い直すか!

こうなるわけです。実は簡単なニコイチだけでは、見栄えは悪くなくとも完璧ではないのです。ここが沼(大改造→フルスクラッチ)への入口。また4個売れます。

そしてまだ初心者ですから、試行錯誤もある。まだまだ売れるかもしれません。

ちなみにこの間、ツイッターにアップし続けると副監督に構ってもらえます。これがまたモチベーションになるんです。

「ファン」にとっては、ですが。

 

今日ここに挙げた具体例は理想であって現実ではありませんが、副監督(及びバンダイ)の模型プロモーションプランには、販売を促進する三つの仕掛けがあります。

まず、簡単さと「初心者向け」のアピール。そして、ニコイチの推奨。さらに、ニコイチだけでは完成しない不完全性。

組み立てる楽しさと質追求のもどかしさという、販売促進の為の工夫が込められているのです。

アンドロメダDXはさながら副監督の同人誌のようだと評されます。また発売の背景として、バンダイは彼に弱みでも握られているのかといった陰謀論も渦巻いています。

しかし、彼のプロデュースした模型が売れているからこそ、あのようなキットの販売に漕ぎ着けたと解釈する方が正直です。

アンドロメダDXのようなキットが販売できるほど、彼のプロデュースした模型が売れた(かもしれない)理由は何か。

決して彼のプロデュースしたプラモデルが普遍的なのではなく、以上の販促における「仕掛け」があったのではないでしょうか。