ymtetcのブログ

偶数日に『宇宙戦艦ヤマト』を考えるブログです。

特報公開:映画『ヤマトという時代』

こんにちは。ymtetcです。

ついに、映画『「宇宙戦艦ヤマト」という時代 西暦2202年の選択』(通称『ヤマトという時代』)の特報が公開されました。

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「金曜日18時」という暗黙のルールは、担当者が変わったのか通用しなくなったようですね。今日はこの特報をめぐって、思ったことを書き連ねていきましょう。

MMDファン大歓喜&公式への期待

早速ながら、特報や予告編の分析はいつもFGT2199様の動画を楽しんでいます*1Twitterを覗いたのですが今回も投稿されるとのことで、楽しみですね。

それにしても、特報でチラ見せされた艦隊戦の「どこかで見たことあるぞ!」感は半端ではありませんでした(笑)。MMD『第二次火星沖海戦』などのファンとしては、とても嬉しかったです。

あくまで私感ですが、MMDクリエイターの皆様は揃って『2199』を目標にメカ描写を練っておられるように見えます。そして今回の「特報」からも、艦艇のカラーリングのせいか『2199』の雰囲気を感じました。『ヤマトという時代』は新興スタジオとはいえ公式なのですから、是非とも公式の力を見せていただきたいですね。

『2199』メカファンにとっては悲願であろう西井さんの帰還は現状考えにくいのですが、『2202』にあって『2199』(西井)イズムを継承すべく奮闘されていた、枝松聖さんが参加される可能性は十分にあります*2。枝松さんが本作のメカ描写に携わることになれば、我々は『2199』の雰囲気を一部、感じ取ることができるはずです。

〇「艦隊集結」は新録か

「艦隊集結」が今回、BGMとして用いられていました。間違いなく新録でしょう。

『2202』では『2199』の音源が全く用いられず(使えなかった?)、『2202』用の新録もしくは『方舟』の音源が用いられていました。『方舟』に「艦隊集結」のメロディはなかったので、改めて収録されたとみて間違いないでしょう。ドメルの印象が強いこの曲ですが、本来はヤマト浮上のテーマ曲でもあります。本編でどのように用いられるか、期待したいですね。

そしてこれは、「ヤマト音楽集」様が語られているように、新しい「交響組曲」の音源かもしれません*3。映画と同時期に発売される「交響組曲」ですから、販促の観点やメタ的な面白さ(『さらば』で旧「交響組曲」が使われたことのオマージュにもなる)から考えると、『ヤマトという時代』でメロディが使用される可能性はかなり高いと考えます。

〇「大和」の位置づけを考えておきたい

そして、今回の記事で私が最も熱く語りたい(笑)のがこれです。「第二次世界大戦終結二百年祭」にて、戦艦大和が登場することがほぼ確定しました。

特報では、再建された(?)大和をお披露目している様子や、海底でバラバラになっている大和を探索する様子が描かれています。この絵を見せられると、否が応でも「再建された大和が『2199』の擬装ヤマトになった!」との筋書きが想起されますね。

この筋書きは分かりやすいものです。しかし実際、説得力には欠けます。考えてみましょう。例えば、我々は2045年に「第二次世界大戦終結百年」を控えていますが、果たしてそこで戦艦大和は復元されるでしょうか? 私はされないと思います。そしてそれは、二百年祭なら尚のことでしょう。二百年も前の戦艦をなぜ復元しなければならないのか? それを考えるに、恐らく、この世界の西暦2145年は戦艦大和を必要としたのではないでしょうか。

それでは、なぜ二百年後の人々は戦艦大和を必要としたのか? さらに考えるに、恐らく、西暦2145年の彼らには、戦艦大和の威容を利用して示したかったものがあったのではないでしょうか。であれば、それは「二百年祭」から20年足らずで内惑星紛争を勃発させた、地球と火星の対立と無関係ではないかもしれません。すなわち、火星陣営という外の脅威に直面する中で、地球は、特に日本は(精神的に)戦艦大和を必要とした。さらに妄想を付け加えるなら、このタイミングで日本の「自衛隊」が解体されて「日本軍」の枠組みが復活し、その象徴として戦艦大和がピックアップされた、と考えてもいいかもしれません。

むろん、外圧がなぜ戦艦大和への傾倒に結びつくのか? とのクリティカルな問題があり、この妄想を採用するなら、その点も明らかにしなくてはなりません。そして、現時点の私には、この疑問に答える術はない……。ただ、この妄想に則れば、ガミラスという外の脅威と人類滅亡の危機にあって、日本人が「ヤマト」の名「大和」の威容を持った宇宙戦艦を作り上げたことも、同じ文脈で理解することができます(ただし、2199年の時点で古代が擬装大和の存在を知らなかったこととの整合性をとらなくてはいけません)。このように、外圧に抵抗する国民の象徴として「戦艦大和」と「宇宙戦艦ヤマト」を位置づけていくことも、選択肢としてはあり得るのではないでしょうか。

いずれにしても、西暦2145年に戦艦大和が注目を集めた理由は、きちんと整理・説明がされなくてはなりません。”第二次世界大戦終結から二百年が経ったので戦艦大和を再建しました”、だけではまだ物足りないものがあります。是非とも挑戦してほしい課題ですね。

〇さりげなく明らかにされたこと

さて、「年表」公開時に議論となっていた、第二次火星沖海戦と遊星爆弾攻撃開始時期の関わりも今回明らかにされました。特報では、2191年のガミラスとの接触と、2198年の第二次火星沖海戦の間に、遊星爆弾の投下が位置づけられています。

この問題は「我が家の地球防衛艦隊」様の以下の記事に詳しいのですが、ポイントは『2199』第1話の「第二次火星沖海戦後にガミラスは遊星爆弾爆撃に絞った」旨のセリフをどう解釈するか、です。

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特報を見る限り、”以前から遊星爆弾攻撃は行っていたけれど、第二次火星沖以降はそれだけに絞った”──という「我が家」さんの「第二次火星沖2198年説」に基づく考察は、恐らく的中しているでしょうね。イスカンダルとの関わりを考慮しておられる「我が家」さんほどの重厚な考察が盛り込まれているかどうかは、皆川さん&福井さんのお手並み拝見といきましょう。

〇ズォーダーは映画に出ていいのか

特報にメインとなって登場したキャラクターは沖田・デスラーテレサ・ズォーダー・真田・キーマン・古代でした。ある程度『2199』『2202』に登場したキャラをバランスよく配置していた印象を受けましたが(若干『2202』偏重ではある)、『ヤマトという時代』が仮に「劇中世界のドキュメンタリー映画」のスタンスをとるのであれば、この点は考えておかなくてはなりません。

すなわち、映像資料として沖田・デスラー・キーマン・真田・古代の映像が残っていることは理解できるのですが(テレサも辛うじて理解できる。でも高次元に近い存在の映像が果たして残ってるのだろうか?)、ズォーダーの映像は、少なくとも地球側が観測しているものとしてはほとんど存在していないはずです。ゆえに「劇中世界のドキュメンタリー映画」にズォーダーが登場する可能性は低く、せいぜい語り部アナライザーが投影した映像や、決戦時に突入隊が記録したもの、あるいはテレサであれば第9話に登場した遺跡の壁画あたりが限界でしょう。むしろその方が、謎めいていて演出としてはいいかもしれませんが。

もちろん、本作が「劇中世界のドキュメンタリー映画」形式をとらない可能性もありますが、何にしても、作り手が意図的に、情報量をコントロールしてあげる必要があります。そこは福井さん・皆川さん・麻宮さん・佐藤さんの間で共通理解を持っていてほしいものです。

〇「作業中」はマズい状況なのか、そうではないのか

今回はこれまでの『2199』シリーズとしては異例の、明確に「作業中」と謳われた絵が使われる特報となりました(『2202』の最初の特報は結果的に作業途中の絵でしたが、「作業中」と示されてはいませんでした)。これまでの『2199』シリーズは、映像ができていないならできていないなりに絵を配置して特報・予告編を作っていたので、少々意外な印象も受けます。

ゆえに、今回「作業中」を使ったのは演出で、実際はもっともっと映像が完成していると見ることもできるでしょう。特に佐藤さんは『エヴァ』旧劇場版の予告編を作っておられた方らしいので*4、意図的にセルフオマージュを行った可能性もあります。

あるいは、「作業中」は演出でもなんでもなく、本当にここまでしか映像ができていないのだ、と見ることもできるでしょう。しかしその場合も、二つの見方ができます。

一つは、制作が遅れている可能性。できていない状況は想定外、だけどPVは出したいから「作業中」でまとめました、の可能性です。これはちょっとマズいですね。

そしてもう一つは、別に今できてなくても大丈夫である可能性。すなわち、新作カットは映画の中で大変少なく、いま「作業中」の絵の前後のシーンもとても短いものなので、これから完成させても十分に間に合うのだ、の可能性です。これはファンとしては物足りないのですが、新興スタジオであることを考えるとあり得ることではあります*5

ただ、今回の特報によって、ファンの「公式版第二次火星沖海戦」への期待値は高まったと思いますので、ここは『2202』土星沖のように、一つ間違えると映画の評価を左右することになりかねません。是非とも頑張って欲しいところです。

〇おわりに

わずか30秒余りの動画でしたが情報量が多く、楽しませていただきました。やはり特報や予告編はとてもいいものです。

公開館数が『2202』の限定公開時とほぼ同じなのは少し寂しいのですが、映画の出来がそのハンデを乗り越えるものであったらいいなと、期待しています。そして『ヤマトマガジン』で旧『2199』スタッフが(願望も込めて?)語っている、『2199』スピリットへの再転換。『2205』からそうなるものと思っていましたが、特報を見る限り、それは『ヤマトという時代』にも期待していいかもしれません。『2199』スタッフの方々が戻ってこない(であろう)ことには歯がゆいものがありますが、残っている方々の奮闘にも注目したいですね。

*1:

www.youtube.com

*2:

現在個展が開催中とのこと。

Kio Edamatsu|枝松聖のシゴト2020

studio MOTHER社長の下地さんからお花が贈られているようで、心強いですね。

枝松聖 on Twitter: "お花をいただきました。ありがとうございます。… "

*3:https://twitter.com/YAMATO_MUSIC_FE/status/1319094331605540864

*4:たぶんこれですかね? 2本目の予告編では「作業中」とあったり、完成前?の絵を使ったりしていますので、近いと言えばそうかもしれません。

https://youtu.be/_UOzwSerYFM

*5:一部旧ジーベックのスタッフが参加していると考えられるので、できればこのスタジオには即戦力であってほしいのですが。