ymtetcのブログ

偶数日に『宇宙戦艦ヤマト』を考えるブログです。

THE ALFEE「この愛を捧げて」に継承された旧『ヤマト』の精神

こんにちは。ymtetcです。

宇宙戦艦ヤマト 復活篇』主題歌であったTHE ALFEE「この愛を捧げて」は、作詞の高見沢俊彦さんが『さらば宇宙戦艦ヤマト』ファンであったこともあり、『さらば宇宙戦艦ヤマト』、および主題歌「ヤマトより愛を込めて」へのオマージュに満ちています。

もちろん、高見沢さんが意識的にオマージュしているのは『さらば宇宙戦艦ヤマト』と「ヤマトより愛をこめて」のみでしょう。しかし、それに加えて、「この愛を捧げて」は、『さらば』の魂を継承したがゆえに(また、西﨑義展さんのチェックを通過したがゆえに)、すべての旧『ヤマト』の精神を継承した歌詞になったと私は考えます。

今日は私なりの解釈で、「この愛を捧げて」と『完結編』までの『宇宙戦艦ヤマト』作品が、互いに通じ合っている部分を探っていきます。

〇宇宙は生きている

星に命があるとしたならば 君はその命を守り切れるのか

死んでいく星もあれば、生まれてくる星もある。

そうだ、宇宙は生きているのだ。

(『宇宙戦艦ヤマト』ナレーション)

愛する人を守る

名もなく生まれし 消えゆく運命(さだめ)よ

愛しき人の命…… 君は守れるのか

その人のやさしさが 花にまさるなら

その人の美しさが 星にまさるなら

君は手をひろげて 守るがいい

からだを投げ出す 値打ちがある

(「ヤマトより愛を込めて」)

〇未来の子どもたち

祈り続けよう 未来の子供達へ

闘い続けよう 愛する人のために

もしも今から 百年が過ぎ

ぼくらによく似た 子供たちが

微笑みと歌とを 忘れない時

人はみな愛せる かもしれない

(「愛よその日まで」)

〇永遠の愛

この愛を捧げて 君を守りたい

幾千億の星に誓う 永遠の愛を

僕が一番大切なものは君だ。君への愛だ。

雪、好きだ。大好きだ。大きな声で言える。

雪。僕たちはこの永遠の宇宙の中で、星になって結婚しよう。

これが二人の結婚式だ。

(『さらば宇宙戦艦ヤマト』より、古代進

〇美しき星

やがて母なる星に 花や木が咲き乱れ

それぞれの胸に 微笑み……よみがえる

ぼくらによく似た 子供たちが

微笑みと歌とを 忘れない時

人はみな愛せる かもしれない

その頃には緑が 地にしたたり

やわらかな陽ざしが 花を咲かせる

(「愛よその日まで」)

いつの日か唇に 歌がよみがえり

いつの日か人の胸に 愛がよみがえり

(「ヤマトより愛をこめて)」

〇明日への希望

静寂の中で 消えゆく命よ

無限の未来へ 希望の鐘を鳴らせ

輝き続けよう 明日を信じながら

人類はただ、その絶滅の時を待つだけだろうか?

明日への希望はないのだろうか?

(『宇宙戦艦ヤマト』ナレーション)

〇命ある限り戦え

闘い続けよう この命ある限り

古代。お前はまだ生きている。生きているじゃないか。ヤマトの命を生かすのは、お前の使命なんだ。命ある限り戦え。

(『さらば宇宙戦艦ヤマト』より、沖田十三レリーフ

〇愛とともに

この愛を捧げて 星の海を渡れ

それから時が過ぎ 何度も燃えて

ただ愛だけで とび立っていた

すべての星よ 緑に染まれ

願いよ届けと 翔んでいた

(「ヤマト10年の賦」)

〇銀河伝説

幾千億の星よ謳え 永遠の愛を

ふり仰げば銀河は 空を流れ

人の世の愛も 星のよう

愛することは 信じること

信じることは 愛 愛すること

(「銀河伝説」)

さらば宇宙戦艦ヤマト

さらばとは言わない 愛する人のため

命は生まれ変わり 再び巡り逢える

今はさらばと 言わせないでくれ

(「ヤマトより愛をこめて」)

命というのは、たかが何十年の寿命で終わってしまうような、ちっぽけなものじゃないはずだ。この宇宙いっぱいに広がって、永遠に続くものじゃないのか? 俺はこれからそういう命に、自分の命をかえに行くんだ。

(『さらば宇宙戦艦ヤマト』より、古代進

〇はるばるのぞむ

光ある銀河の果てへ 愛を胸に携え

夢を決して諦めずに 今こそ旅だとう!

哀しみを越え 振り向かずに

宇宙の彼方 イスカンダル

運命背負い 今とび立つ

必ずここへ 帰って来ると

手をふる人に 笑顔で答え

(「宇宙戦艦ヤマト」)

〇愛の叫び

この愛の叫びが 君に聞こえるか

たった一つの真実 変わらぬ理想

違う! 断じて違う!宇宙は母なのだ。そこで生まれた生命は、全て平等でなければならない!それが宇宙の真理であり、宇宙の愛だ!

(『さらば宇宙戦艦ヤマト』より、古代進

この愛を捧げて 君を守りたい

幾千億の星に誓う 永遠の愛を

〇受け継がれた「愛」

今日は、「この愛を捧げて」の全ての歌詞を、旧『ヤマト』のセリフ、ナレーション、主題歌と結びつけました。

冒頭にも述べたように、高見沢さんが意識的にオマージュしているのは『さらば宇宙戦艦ヤマト』および「ヤマトより愛をこめて」の二つだと思われます。

しかし、旧『ヤマト』の思想、とりわけ「愛」に関する考え方は、おおよそどの作品も共通しています。

また、「真赤なスカーフ」と「星のペンダント」など、同じコンセプトの楽曲を敢えてもう一度作らせる、そういった手法を西﨑Pはとっていたように思います。

こうした背景が組み合わさって、「この愛を捧げて」には、「愛よその日まで」や「銀河伝説」とも通じ合う部分が生まれたのだと考えます。

特に私が好きだったのは、この部分のリンクです。

  • いつの日か唇に歌がよみがえり いつの日か人の胸に愛がよみがえり
  • 微笑みと歌とを忘れない時 人はみな愛せるかもしれない その頃には緑が地にしたたり やわらかな陽ざしが花を咲かせる
  • やがて母なる星に花や木が咲き乱れ それぞれの胸に微笑み……よみがえる

「いつの日か」と「やがて」、「胸に愛がよみがえり」と「胸に微笑みよみがえる」の対比は意図的なオマージュだと思いますが、「微笑み」「緑」「花」と「花や木」「微笑み」の繋がりは奇跡的。

「幻の3番」における”花咲く丘よ 鳥鳴く森よ 魚棲む水よ 永遠に永遠に”にも通じる宇宙戦艦ヤマト』の「平和」像を、高見沢さんが完璧に引き継いでみせた瞬間だと思います。

日本語で詞が書かれたものとしては、プロデューサー・西﨑義展が最後に携わった『宇宙戦艦ヤマト』主題歌である「この愛を捧げて」。1974年の『宇宙戦艦ヤマト』から連綿と連なってきた『宇宙戦艦ヤマト』の思想を21世紀によみがえらせた高見沢さんのお仕事は、映画の評判やカヴァー版の是非とは別に、再評価されるべきだと私は考えます。