こんにちは。ymtetcです。
前回、THE ALFEE「この愛を捧げて」の歌詞を旧『ヤマト』作品に引き寄せて分析しましたが、今回はポスト・西﨑義展時代のヤマトソングの代表格、畑亜貴さんの作詞による「星が永遠を照らしてる」「美しい地球を知る者よ」を取り上げていきます。
この二曲は、それぞれ『宇宙戦艦ヤマト2199』第一章・第二章のエンディング主題歌として歌われました。畑亜貴さんは『宇宙戦艦ヤマト』ファンおよび「ささきいさお」ファンであることを公言されており、その作品への理解度は、後の『2199』『2202』『2205』主題歌を見ても群を抜いていると思います。
今日は「星が永遠を照らしてる」「美しい地球を知る者よ」の歌詞を通じて、畑亜貴さんによる「ヤマト・ソングのリメイク」について探っていきたいと思います。
〇「星が永遠を照らしてる」
「星が永遠を照らしてる」が、旧作のエンディングテーマ「真赤なスカーフ」のアンサーソングであることは、あまりにも有名です。
歌い出しの、
信じてる 星は今日も光るでしょう あなたの頭上に
遠くても 私たちへ降りそそぐ 同じ輝きが
きっと ここに 帰る道を 照らすための小さな希望
この部分は、「真赤なスカーフ」における
今ははるばる 宇宙の果て 夢を見るのも 星の中
へのアンサーになっています。
〇旧作主題歌へのアンサー
旧作の主題歌「宇宙戦艦ヤマト」「真赤なスカーフ」は、いずれも宇宙戦艦ヤマト、およびヤマト乗組員の視点に立っている曲です。
や
必ず帰るから 真赤なスカーフ きっとその日も 迎えておくれ
など、ヤマト乗組員の立場にたった言葉が目立ちます。
一方で、「星が永遠を照らしてる」は、地球に残った人の視点に立っています。
二番の歌い出しの、
愛ゆえに 星を越えて征くのでしょう 私が止めても
などは、「宇宙戦艦ヤマト」「真赤なスカーフ」双方に対するアンサーになっています。その意味で、「宇宙戦艦ヤマト」「真赤なスカーフ」と「星が永遠を照らしてる」は、対比的に捉えることができると考えます。
後年、福井晴敏さんは『ヤマト2202』で、「『さらば』へのアンサー」ともいえる結末を用意していました。旧作を再現するのではなく、旧作があることを前提に、それに対するアンサーをする。このようなアプローチの「リメイク」が、「星が永遠を照らしてる」では行われていたと考えます。
〇「美しい地球を知る者よ」
一方、「美しい地球を知る者よ」はどうでしょうか。旧作ソングのアンサーであることが話題を呼んだ「星が永遠を照らしてる」と比べれば、これまではあまり注目を集めてこなかったのが「美しい地球を知る者よ」だったと思います。
しかしながら、この曲は、「星が永遠を照らしてる」とは異なるアプローチで、ヤマト・ソングを現代に蘇らせたものだと考えます。
まず、歌い出しは、
未知の宙(そら)が 僕たちを呼んだ 勇気を灯し 彼方へ進もうか
「僕たち」を主語にしています。これは
さらば地球よ 旅立つふねは 宇宙戦艦ヤマト
に相当する部分だと思われます。
以降、この曲は「僕たち」、すなわちヤマトクルーの視点で進んでいきます。
つまり、「美しい地球を知る者よ」とは、「宇宙戦艦ヤマト」「真赤なスカーフ」と同じ、ヤマト乗組員(クルー)の視点に立ったヤマト・ソングなのです。
その意味で、「美しい地球を知る者よ」とは、旧作の現代風リメイクをねらった『ヤマト2199』序盤のような「リメイク」を行っていたと考えます。
〇二種類の「ヤマト・ソングのリメイク」
畑亜貴さんの起用は大成功だったと思います。
当時、既に畑亜貴さんはアニメ・ソングの世界では名前が知られていましたし、後年『ラブライブ』であまりに大きな成果を残されることを考えても、「ヤマトの現代アニメ風リメイク」の主題歌を任せるには十分すぎる実力派でした。そのうえ、『ヤマト』ファンとあるわけですから、まさに『2199』主題歌にはこれ以上ない人選でした。
そのうえで、畑亜貴さんは二種類の「リメイク」を提示してくれたと考えます。一つは「星が永遠を照らしてる」のような”アンサー型”。もう一つは、「美しい地球を知る者よ」のような”再現型”です。畑さんはこの二つのアプローチで、ポスト西﨑時代のヤマト・ソングを、「ヤマトらしく」現代に送り出してくれたと思います。
最後に、私がお気に入りの一節を引用しておきます。
生命(いのち)背負う 僕達の定め
大地よ 夢よ 青く芽吹きたまえ