ymtetcのブログ

偶数日に『宇宙戦艦ヤマト』を考えるブログです。

主題歌が語る『宇宙戦艦ヤマト』シリーズの「平和」

こんにちは。ymtetcです。

この数日、『宇宙戦艦ヤマト』シリーズの主題歌に向き合ってきましたが、ふと、たくさんの主題歌に共通して出現するモチーフがあることに気づきました。

今日は、『ヤマト』主題歌に共通して出現するモチーフから、『ヤマト』シリーズが志向してきた「平和」について探っていきます。

〇みんなで微笑むときが 復活のとき

生命(いのち)背負う 僕たちの定め

大地よ 夢よ 青く芽吹きたまえ

みんなで微笑むときが 復活のとき 旅路は長い

強く優しい力で戦うことは 人の誇りさ

きっかけは、前回の記事の最後に引用した「美しい地球を知る者よ」の一部分でした。

「生命」を「いのち」と読ませるところに「愛の生命」へのリスペクトを感じる……は考えすぎとして(笑)、ここには、他の『宇宙戦艦ヤマト』主題歌に共通するモチーフが使用されているのです。

それが「豊かな自然」と「人々の微笑み」です。

さらに「美しい地球を知る者よ」以外にも目を向けると「優しい歌」もそこに含まれることが分かります。

以下に、具体的な例をいくつか挙げていきたいと思います。

〇「豊かな自然」「人々の微笑み」と「優しい歌」

もう一度帰ろう 夏草埋もれながら見上げた星よ

 (吉元由美「Great Harimony ~for yamato2199」)

やがて母なる星に 花や木が咲き乱れ

それぞれの胸に微笑み…よみがえる

 (高見沢俊彦「この愛を捧げて」)

HAVE A NICE DREAM 青春もう一度 みんなで歌いたい

 (阿久悠「明日に架ける虹」)

すべての星よ に染まれ

願いよ届けと 翔んでいた

ヤマトよ二度と 傷など負うな

お前にと やさしい歌

 (阿久悠「ヤマト10年の賦」)

ぼくらによく似た 子供たちが

微笑みと歌とを 忘れない時

人はみな愛せるかも しれない

その頃にはが 地にしたたり

やわらかな陽ざしが 花を咲かせる

……

その頃にはきらめく 星が戻り

心にはやさしいが 芽ばえる

 (阿久悠「愛よその日まで」)

地球はいつしか 戦い忘れ

輝く緑に つつまれた

おそれも嘆きも 心をはなれ

やさしい歌だけが 流れてた

 (阿久悠「ヤマト‼ 新たなる旅立ち」)

あなたの心に 花の種

涙のしずくで 植えました

いつしか芽をふき 花を咲かせ

やさしい娘に なるでしょう

……

くちびるひらけば 愛に満ちて

瞳をこらせば 夢あふれ

緑の季節に 咲きにおう

やさしい娘に なるのです

 (阿久悠「サーシャわが愛」)

頬にうかんだほほえみ

かげれば いつか 夜になる

 (阿久悠テレサよ永遠に」)

いつの日か唇に がよみがえり

いつの日か人の胸に 愛がよみがえり

君は手をひろげて抱くがいい たしかに愛した証がある

 (阿久悠「ヤマトより愛をこめて」)

〇『ヤマト』ソングが語る「平和」

「宇宙に豊かな自然(緑)が溢れ、人々は微笑み、優しく歌う」

これが、『ヤマト』ソングの提示する「平和」の姿と言えます。

こうしてみると、阿久悠さんのもともとの作風があって、それを『ヤマト』主題歌の文脈で継承したのが高見沢さん、畑さんである、と整理したほうがよいかもしれません。

注目したいのは、『ヤマト』ソングの提唱していた「平和」とは、あくまで「自然」「微笑み」「優しい歌」が宇宙を包むこと。「争いのないこと」だけではありません。

これは、一切の「緑」を失い絶望的な状況から始まった『宇宙戦艦ヤマト』シリーズの成り立ちが関係していると考えられます。いつ何時も、『ヤマト』が守るべきは青い地球であり、人々の微笑みなのです。その意味では、あの『ヤマト復活篇』も、テーマ設定・ラストシーンともに、『宇宙戦艦ヤマト』の精神性を受け継いでいたと言えます。

今日も最後に、詞を引用しておきましょう。

さらば地球よ 緑の星よ

宇宙戦艦ヤマト

花咲く丘よ 鳥鳴く森よ 魚棲む水よ 永遠に永遠に

いとしい人が しあわせの歌 ほほえみながら 歌えるように

銀河をはなれ イスカンダル

はるばるのぞむ 宇宙戦艦ヤマト

阿久悠さんには否定されているといわれる「3番」ですが、こうして改めてみると、ふんだんに『ヤマト』のモチーフが盛り込まれている詞だなと思います。