ymtetcのブログ

偶数日に『宇宙戦艦ヤマト』を考えるブログです。

私的宇宙戦艦ヤマト2202論 その2 ―2199と復活篇の意外な関係!?―

「論」という随分と大それた言葉を用いてはいますが、これほど論理構造の適当な「論」もないでしょうね。そこはひとまず棚上げするとして、今日からは2199について、自分の記憶をコスモリバースしながら、

――2199って何だったのかな?

という問いを考えていきたいと思います。

2202を考える時に、『さらば』と同じくらい振り返らなければならないのが2199です。様々な意見はありますが公式には「2199の続編」を名乗っていますからね。ただし、無論2199を観たことのない人が「2202が好き」というのも素晴らしいことです。そこは本題とは逸れますが、改めて強調しておきたいと思います。

2199を振り返るとなると、前回のように記事を引用してくるのも少し億劫なので、PVと合わせながら、「記憶の森から」語ることにしましょう。

標題をご覧ください。2202‐復活篇‐2199と並んでいると、皆様は2202の監督・副監督が復活篇の中心スタッフであることを想起するでしょうか。無関係だと思うでしょうか。

なぜ復活篇と2199は関係しているのか。ご存じの方も多いでしょうが、それは復活篇・実写版・2199(テレビシリーズ)が連動して動いていた企画であるからです。復活篇・実写版の興業成績が振るわなかったこと、西崎プロデューサーの訃報などなど、様々な要因があったのでしょう。当初テレビシリーズとして企画されていた2199は、全26話を7章に分けて劇場上映する方式を取ることになって復活篇・実写版とは少し離れた時期の公開となりましたが、製作時期は重なる部分も少なくなかったようです。

という訳で今回は復活篇を思い返しながら、2199の成り立ちを振り返ります。

今一度2199の「特報」に立ち返ってみましょう。

『宇宙戦艦ヤマト2199』特報 - YouTube

私は復活篇の「音」に不満で、日々復活篇のファンメイド動画(効果音・音楽を差し替えたもの)を漁っては観ていました。そんな時出会ったのがこの動画です。

――何だこれ? 自主制作アニメか?

2199の第一印象は、これでした。何故ならば、大抵の予告編動画は高評価90%を超えるのですが、この動画は70%代だったからです。自主制作アニメやMADだと、こういう評価が付くこともありました。無論、検索すれば公式ホームページが出るのですから、そんな第一印象はすぐに消えましたが。絵がチープだの何だのと、コメント欄も当時そこそこ荒れていた記憶があります。2199に対する当初の期待値は決して高いものではなかったのですね。

以上から分かるように私も「特報」に不満な人間の一人でした。それはやはり「音」です。

後に読んだお話なのですが、新作ヤマトの「音」を旧作準拠にして「絵」だけ新しくするというのはないんじゃないか、という雰囲気が当時の制作サイドにあったようです。すると、復活篇もその趨勢に則ったものと考えることが出来ますね。

この「特報」でも、音楽は旧作の音源で、効果音は別のものになっています。やはり旧作の「音」は復活しないのか――当時そんなことを思っていた記憶があります。

とはいえ、「音」の復活を求める声は大きかったのか、こんなものが登場します。

宇宙戦艦ヤマト復活編DC版PV - YouTube

そう、あの復活篇の「音」を差し替えたバージョンです。効果音は基本的に旧作の音源を用い、音楽は旧作未使用音源と山下康介氏による新曲、そして最低限のクラシック音楽から成ります。

復活篇DC版は2012年1月にごく一部の劇場で公開、後にBD&DVDが発売されましたので、私もすぐに買いました。

宇宙戦艦ヤマト 復活篇 ディレクターズカット [Blu-ray]

これが、印象が全然違うのです。「音」が変わるだけで、これほど映画のイメージが変わるのか、と思い知らされました(復活篇DC版は「音」以外にも大部分が改造され改良されていますので、未確認の方はぜひレンタル等でご覧ください)。

では、この復活篇DC版が2199にどのような意味を持つのか?

そう、この作品は、旧作の「音」が現代の「絵」に合うか、それが観客に受け入れられるかどうかの試金石であったと言えるでしょう。これが一応の成功を見たことで、2199の「音」の方向性は揺るぎないものになったはずです。

2199の出渕総監督も、DC版の出来には満足していたとか。

宇宙戦艦ヤマト2199 第一章 遥かなる旅立ち PV02 - YouTube

無論、DC版の公開時期と、2199の製作時期からして、DC版の好評は直接的に影響を及ぼさなかったかもしれません。しかし、2199の「音」には復活篇DC版の反省も活かされているのではないか、と私は推論します。

復活篇DC版の「音」、特に効果音は昭和ヤマトシリーズとの連続性を表現できたことで素晴らしい効果を生みましたが、一方で、例えば新出の敵戦艦にガミラス艦のレーザー音があてられているなどして、違和感の拭えない場面もありました。「旧い」効果音は「新しい」部分とは必ずしも完全にマッチしなかったのです。

それに対し、2199は、旧作の音源と新作の音源を使い分け、あるいは組み合わせるなどして、「旧い」音と「新しい」ものとのギャップを埋めるような形を取りました。

これは復活篇DC版が試金石となって、2199に影響を及ぼした一つの例だと私は考えます。

以上、今回は復活篇のお話が中心となりましたが、2199の「音」について考えてみました。次回以降は、2199の本編へと駒を進めたいと思っています。