こんばんは。ymtetcです。
ヤマト2202のドラマ構造について、皆様はどう捉えていらっしゃるでしょうか。
私はまだ確固たる答えを持っていません。
ただ、印象として一つ言えるのが「とてつもなく複雑で、とてつもなく単純」であるということです。
「複雑」だと考える理由は、色々なドラマが次から次へと展開されるからです。ある時は古代が、ある時は雪が、ある時はデスラーが、加藤が、透子が、ズォーダーが、山南が、藤堂早紀が主人公となって、2202の「登場人物を限定した群像劇」は入り組んだ様相を呈しています。
一方、「単純」だと考える理由は、これらの入り組んだドラマが、何か共通したテーマで描かれているように思われるからです。「共通したテーマ」について、その具体的な答えはまだ思いつきませんが、一つ間違いなく言えるキーワードは「愛の戦士たち」でしょうか。
今日はまず、以下の引用を眺めてみてください。
(2199第24話→2202第1話)
- ローレン・バレル「危険な火遊びだと忠告させていただきます。恩人であるイスカンダルとの約束を反故にしてまで」
- 芹沢「そう。あれはいち宇宙戦艦の艦長が独断でした口約束です」
(2202第2話)
- 古代進「今の地球政府はそれを分かろうとしない。彼らに見えるのは、現実の光景だけだ。生きるために、地球の主権を守るために。でもそれは間違った未来に進むことじゃないのか」
(2202第3話)
- 古代進「俺は……俺はね、当たり前のことを当たり前にしたいだけなんですよ。約束は守る。(中略)みんな当たり前のことでしょう?」
(2202第7話)
- 桂木透子「愛が人を苦しめるっていうゲーム……。だから約束は必ず守る。ルールを守らなくちゃゲームは楽しくないもの」
(2202第18話シナリオ)
- ゼムリア人「さぁ!この女と赤子の命が惜しくば言え! お前たちの軍はどこに集結する!」
- 語り部「恥ずべき行為……だがゼムリア人も必死だった」
- 語り部「(中略)ズォーダーから得た情報に基づき、ゼムリア人はガトランティスの反乱を一気に鎮圧した」
- 語り部「そしてズォーダーにも刃を向けた。約束を反故にして、妻子ともども……」
(2202第20話)
以下に少し、セリフを並べかえて遊んでみようと思います。
- 「約束してください」
- 「お約束します」
- 「あれはいち宇宙戦艦の艦長が独断でした口約束です」
- 「恥ずべき行為……」
- 「恩人であるイスカンダルとの約束を」
- 「反故にして、妻子ともども……」
- 「彼らに見えているのは、現実の光景だけだ。生きるために」
- 「ゼムリア人も必死だった」
- 「俺はね、当たり前のことを当たり前にしたいだけなんですよ」
- 「だから約束は必ず守る」
どう見えますでしょうか。試しに脳内再生でもしてみてください。
ちなみに「ゼムリア人も必死だった」は、厳密にいえば「恥ずべき行為」である「悪魔の選択」の方にかかるので「約束」とは関係ないのですが、敢えて入れてみました。
ちょっと面白いですよね。一見すると関係なかったはずの波動砲問題(古代が主人公)と、ズォーダーの過去が、キーワード的に一致しているんです。
言い換えれば、二人とも「約束を反故」にされているんです。
とすると、古代がズォーダーの過去を知り、「説得できないだろうか」と言い始めた理由にも少し深みが出てきます。
私はあのシーンを見た時、「君とは信じあえる、と言った2199時代と変わらないなぁ」なんて思っていました。もちろん、古代進として連続しているからこそ「説得できないだろうか」という言葉が出てくるのですが、それ以上に彼の過去を知って何かを感じたと解釈する方が妥当です。
抽象的な言い方をするならば、「理想に殉ずる」的な共通点がこの二人にはあります。今日書いてみた「約束を反故にされる」過去という共通点は、彼らの共通点の一つにしか過ぎないでしょう。他の共通点についても考えていきたいところですね。