こんばんは、ymtetcです*1。
よく「ヤマト2202は、2199と違って1話完結ではない」と言われます。果たしてそうなのでしょうか? 考えてみたいと思います。
2199を振り返ってみると
2199の「ヤマト発進」以降のストーリーについて振り返ってみると、
- 2話:発進回
- 3話:浮遊大陸回
- 4話:ゆきかぜ回
- 5話・6話:冥王星回
- 7話:太陽系お別れ回
- 8話:願い星回
- 9話:アナライザー回
- 10話:次元断層回
- 11話:捕虜回
- 12話:ファーストコンタクト回
- 13話:フラーケン回
- 14話:魔女回
- 15話:ドメル回
- 16話:反乱回
- 17話:真田の過去回
- 18話:ワープゲート回
- 19話・20話:七色星団回
- 21話:収容所惑星回
- 22話:パフェ(箸休め)回
- 23話:ガミラス本土回
- 24話:イスカンダル回
- 25話:デスラー回
- 26話:最終回
と、見事に1話完結になっています。特に11話のドメル登場から20話の七色星団に至るまで1話完結を貫きつつ、それでいて各々が有機的に結合したドラマを描いたのは、教科書に載せたい見事なストーリー構成です。
2202はどうか
では、2202はどうかというと
- 4話:発進回
- 5話:アンドロメダとの対決回
- 6話:第11番惑星救出作戦回
- 7話:波動砲回
- 8話・9話:シュトラバーゼ回
- 10話:ホタル(箸休め)回
- 11話:デスラー回
- 12話:サーベラー回
- 13話:波動砲回
- 14話:テレザート解放回
- 15話・16話:デスラー回
- 17話・18話:土星沖海戦回
- 19話:銀河回
- 20話:ガトランティスの過去回
- 21話:ヤマト救出回
- 22話:デスラー回
という感じになっています。
まず特徴として、2199では冥王星の一度だけだった「回を跨いで展開する物語」が三回出てきます。これが2202の目立った特徴です。
それ以外の回についても、1話完結になっているようにも見えますが、詳しくみるとそうではありません。
1話完結たるためには、まさしく「完結」していることが必要です。冒頭でその回のテーマを提示して、ラストでそのオチがつくようにする。一通りの起承転結があってこそ1話「完結」たり得るのです。
2202はどうかと言いますと、例えば第5話・第13話は「完結」していると言っていいかもしれません。木星での「演習」シーン、あるいは「砂龍狩り」で前振りがあり、「あんたの息子はとんだ頑固者だ」と「すまぬ、ノル」で、それぞれオチがつく。
一方、例えば第6話は「第11番惑星救出作戦」としてオチがついたとみせかけてラストシーンは次回への「引き」で、「まだまだピンチは続くよ」という、後味の悪いものでした。
7話では「波動砲を使う」というオチはつきましたが、古代やヤマトクルーの中で結論が出るのは第13話で、ドラマ的に結論が出たわけではない。
8-9話は古代と雪のドラマとしては盛り上がったかもしれませんが、言うなれば第18話、第20話に続く「悪魔の選択」物語の始まりでしかなく、謎ばかりが残る。
10話はホタル回としてオチはつきましたが、いわば箸休め回で2199の22話に近いので、1話完結であることは重要視されていません。それぞれのキャラクターの現在地を確認して、次回へ。そんな回でした。
11話もデスラーの顔見せ的な側面が強く、デスラーのドラマとしてオチがついたわけではない。
12話ではサーベラーについてある程度明らかになりましたが、所詮は20話に続く物語です。
13話は1話「完結」的でも、あくまでこれまでの前振りを生かしたもの。いわば第1話からちまちまと続いてきた物語の「完結」であり、「13話」単体での「完結」であるかは疑問です。
14話は「テレザート上陸作戦」としてオチがつきましたが、ラストシーンが「引き」でした。
15・16話で盛り上がったデスラーのドラマもまだ「完結」とは言い難い。
17・18話の土星沖海戦は加藤の選択、19話は雪の記憶喪失、20話は白色彗星の移動。こうしてみると、目に見えてオチがつくような「完結」はほとんどありません。
しかしながら、このように、一見するとバラバラに積み上げてきた複数のドラマを「完結」させる答えが第21話で提示されました。そのカタルシスはとても大きなものだったと思います。2202のシリーズ構成がもたらしたメリットの一つだと思います。
2202の「大団円プラスワン」
こうして2202のストーリーを俯瞰的に見た時に、2202の物語はまず全体のストーリーが優先されていると感じます。そして恐らく、次に優先されているのが各章ごとのまとまりでしょう。1話ごとの「完結」があるか否かは、ほとんど優先されていないように思います。
福井さんも「映画を七本撮らせてもらっている感覚」という旨を発言していますが、私がそう考える理由は、各章の構成にあります。
福井さんは第10話のメモに「もう大団円みたいだけど実際にはまだ1話あります」と記したと言われていますが、このような「大団円プラスワン」を2202は繰り返し行っています。
第一章は例外として、例えば、
第二章は「アンドロメダと対決して大団円みたいだけど、まだあと1話あります」「第11番惑星の避難民を救出して大団円、と見せかけてヤマトが消滅します」
第三章は「『二人の結婚式』で大団円みたいだけどまだホタル回があります」「ホタル事件解決、ですがデスラー出てきます」
第四章は「波動砲問題解決で大団円みたいだけどこれからテレザート上陸します」「テレザート解放で大団円みたいだけどデスラー出てきます」
第五章は「土星沖海戦決着、ヤマトワープアウトでいよいよ決戦、みたいだけど加藤がやらかします」
第六章は「ヤマト救出して大団円みたいだけどまだ1話あります」
大団円がゲシュタルト崩壊してきましたが、このように、2202の各章構成は「引き」を重視して、徹底して「大団円のその先」でエンドロールに入るようにしているのです。
この徹底ぶりからして、2202は各章ごとに計算して物語が作られている、と言った方が適切かもしれませんね。
結論的にいえば、2202の物語は「1話完結」ではありません。もちろん、だからといって悪いということはありませんよ。
こういう言い方をすると某スタッフにブロックされてしまいますが、2202は良い意味でも悪い意味でも「『さらば』を引き伸ばしただけ」の域を脱することができていないと思います。実際、旧作『さらば』を名作たらしめた終盤になってきて、2202の物語も盛り上がってきましたよね。
*1:(T-51A型 様)(Nzawa 様)コメントに返信しました→<ヤマトの未来を左右する(かもしれない)発表――IG、ジーベック、サンライズ - ymtetcのブログ>(私も通りすがり 様)<ヤマト2202をめぐる新たな仮説その1:副監督のツイートから - ymtetcのブログ>原則コメントを頂いた順に返信するようにしています。