ymtetcのブログ

偶数日に『宇宙戦艦ヤマト』を考えるブログです。

「(仮)小林誠メカは誰向けなのか」

お久しぶりです。ymtetcです。

理由があって下書きを読みかえしていたところ、私は昨年の3月30日に「(仮)小林誠メカは誰向けなのか」なる記事を書いていました。

ほとんど完成している記事だったので、投稿します。

この記事は2202総集編および『2205』における「反小林」的流れが明らかになる前に書かれたものであるという点、予めご了承ください。

こんばんは。ymtetcです。 

今日は久しぶりに、2202の副監督である小林誠さんについて取り上げます。

タイトルに(仮)がついています。資料が少なく、仮説的に述べるに止まるからです。とはいえ、何かの参考になれば幸いです。

〇ヤマト2202における小林誠メカは、誰向けのものなのか?

ヤマト2202における小林誠メカは、小林さんの想定する「ヤマトファン」に向けたものではありません。では、誰向けなのか。

小林誠ファンに向けたものにも見えますが、それだけではないと考えます。つまり、小林さんの主観としては、2202における小林誠メカは「一般層」「ライトユーザー」に向けたものなのではないでしょうか。

 

まず、彼は自分の認識する「ヤマトファン」に対して、敵対的な発言を繰り返しています。自著である『ハイパーウェポン』では、2199初期、総監督のブレーンとして現場に加わっていた「ヤマトファン」が2199メカにケチをつけていた、と愚痴をこぼしています(事実関係は不明)。

また、しばしばツイートする「ミクシィにいた人」への敵対的発言や、最近のツイートで物議を醸した「ヤマトアイコン(でフォロワー10、無言フォロー)のアカウントはブロック」発言など、小林さんは「濃い」あるいは「古い」「ヤマトファン」に対して嫌悪感を示しています。

よって、2202の小林メカはこれらの「ヤマトファン」をターゲットにしたデザインとは思えません。それは、少なくない「ヤマトファン」が小林メカに対して嫌悪感を示している現状から、逆に推測することもできます。

 

次に、実感としての「小林誠ファン向け」です。

2202メカには(メカに限らず)『飛ぶ理由』からの流用デザインが見られます。最近では「滅びの方舟(最終形態)」もまた、『飛ぶ理由』からの流用デザインだったことが話題になりました。

流用に関する是非はここでは取り上げませんが、お経・「小林紋様」を艦体に描き込むといった従来の『宇宙戦艦ヤマト』シリーズ作品にはなかった、かつ小林さんの他作品(『飛ぶ理由』・日野自動車コラボデザイン・WoWsコラボデザイン等)に見られるアプローチを採用しているという点で、この2202に対する小林さんのアプローチは、「小林誠ファン」に向けたアプローチのように見えます。

これは、ツイッター上において2202のメカを礼賛する人々(特に、小林さんとネット上の親交が深い人々)が、往々にして小林さんの他作品を絶賛していることから逆に推測することも可能です。

 

最後に、今回の肝となるのが「主観としての『一般人向け』」です。

最初に「ヤマトファン」に対する敵対的発言を取り上げましたが、小林さんがこれについて述べる時、しばしばセットになっているのが「一般層」による自らへの支持です。代表的なのは、復活篇のパッケージイラストの話でしょうか。

宇宙戦艦ヤマト 復活篇 [DVD]

宇宙戦艦ヤマト 復活篇 [DVD]

 

小林さんは、よくこんなツイートをしています。「このイラストは『ヤマトファン』には不評だったけれど、一般層には受けて円盤が売れた」と。同じ主旨で呟いた別のツイートでは「一般層には受けてバズった」という書き方もあったと記憶しています。

また、彼は「2202はライトユーザー向け」と述べたこともありました。

 

さて、これを最初の「非『ヤマトファン』向け」と組み合わせると、今日の仮説が浮かんできます。

 

小林さんは、旧作の世界観に囚われている「ヤマトファン」に向けてはメカをデザインせず、ヤマトに対して先入観を持たない「一般層」「ライトユーザー」ならば自身のデザインを受け入れてくれる、という読みのもと、彼らに向けて、自分の作風を「ヤマト」に取り入れているのではないでしょうか。

 

確かに、「ヤマトファンは旧作に囚われているので新しいデザインに対する耐性がない」という考え方は一理あります。

ですが、一理あるからといって、イコール「小林誠のセンスは『ヤマトファン以外』ならば受け入れられる」ということになるとは限りません。

小林さんの読みは、単なる自惚れ・勘違いなのか、的確な分析なのか。

その結果は数字と、彼の今後から明らかになるでしょう。

 

------------------------------------------------------------------------------

というのが、2019年3月30日の下書きに記録されていた記事でした。

小林さんを巡って様々に論争が起きたことも、もう懐かしい出来事に思えます。

冒頭でも申し上げましたが、2202総集編も『2205』も「反小林」の流れで話が進んでいるように思います。結城さんの同人誌にも同様の話が(結城さんは結城さんらしく、この流れそのものに嫌悪感を示しているようですが)出ていると聞いています。

いずれにしても、2202の「メカ監督」を自称したこともある小林さんですから、2202メカに関しては小林さんが責任をとる、ということが筋でしょう。この辺りはお金を出す人が総合的に判断して決めることで、なかなかファンとしては口出ししにくい部分ではあります。

とはいえ、私としては結城さんの求めるようなクリエイター重視の作品づくりが進むことを願うばかりです。

果たして2205メカはどこに向かうのでしょうか。仮に「反小林」を推し進めたとして、それは2202よりも良くなるのかどうか。まだ分かりませんよね。作品全体としても、福井さん・岡さんが残っているとはいえ、2202とは全然違うものになるかもしれません。

これはこれで、楽しみなことです。