ymtetcのブログ

偶数日に『宇宙戦艦ヤマト』を考えるブログです。

『スターブレイザーズΛ』は『ヤマト』シリーズに革命を起こせる!

こんにちは。ymtetcです。

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前回の記事はコメント欄でいただいた「〇作目」論を援用して、リメイク『宇宙戦艦ヤマト』シリーズの系譜を様々な角度から考える企画を行いました。そこで私は、「家系図」との表現を使いました。厳密に言うと、図としては収束する形をとるので、一般に拡散してゆく「家系図」との表現は相応しくありませんが*1

それはさておきつつ、近年の『宇宙戦艦ヤマト』作品を改めて、「家系図」的に遡ってみましょう。最新作『2202』から『2199』『SBヤマト』『復活篇』『2520』の順に、今日は作品の世界観に着目して遡ります。

①全ての『宇宙戦艦ヤマト』の始祖

  • 『2202』⇒『2199』/『さらば』/『ヤマト2』⇒『1974ヤマト』
  • 『2199』⇒『『1974ヤマト』
  • 『SBヤマト』⇒『1974ヤマト』/『さらば』。
  • 『復活篇』⇒『復活編』/『2520』⇒『完結編』⇒『Ⅲ』⇒(略)⇒『1974ヤマト』
  • 『2520』⇒『復活編』⇒『完結編』⇒(略)⇒『1974ヤマト』

するとどうでしょう。作品によって近縁遠縁の違いはあれ、いずれの作品も最初の『1974ヤマト』まで遡ることができます。

言い換えれば、これまでの『宇宙戦艦ヤマト』作品は、必ず『1974ヤマト』の世界観を受け継いでいるのです。まさに『1974ヤマト』こそが、『宇宙戦艦ヤマト』作品の始祖。そしてどの作品も、最初の『1974ヤマト』の血を引く ”正統” な作品と言えます。

ですが……記事のタイトルをご覧ください(笑)。近年の『宇宙戦艦ヤマト』に一つだけ、例外がありました。それが、『宇宙戦艦ヤマトNEXT スターブレイザーズΛ』です。

②『Λ』はまだ評価できない、けれど!

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『Λ』はまだまだ始まったばかりで、実に評価の難しい作品です。故に、『Λ』については一話ごとに感想を整理していきますが、作品全体としてはなるべく、現時点で必要以上に持ちあげたり批判したりは避けたいと思っています。

しかしながら、それと同時に、岡秀樹さんをはじめとした一部のヤマトファンが本作に期待を寄せていることに、私は共感します。

それは、『Λ』の持つ特有の立ち位置に理由があります。

③『1974ヤマト』の血を引かぬ『Λ』

そうです。『Λ』は、その世界観において『1974ヤマト』を受け継いでいないのです。あの『2520』や、(今では非「正史」である)『新宇宙戦艦ヤマト』でさえ、『1974ヤマト』の世界観を受け継いでいたというのに、です。

もちろん、『Λ』は『宇宙戦艦ヤマト』を名に冠する作品であり、「波動砲」のネーミングや戦艦大和をモチーフとした主役メカなど、『1974ヤマト』の存在と決して無関係ではありえません。存在そのものに着目すれば、『Λ』もまた『1974』の血を引いていると言えます。しかし、世界観としてはどうでしょうか。世界観としては、『1974ヤマト』の「血」を引いていないのです。

『Λ』は、波動エンジンやガミラスといった『1974ヤマト』の世界が存在しないものとして描かれる、初めての公式『宇宙戦艦ヤマト』作品なのではないでしょうか。

④「『宇宙戦艦ヤマト』王朝」

先述したように、これまでの『宇宙戦艦ヤマト』シリーズは、『1974ヤマト』の世界観を引く「血縁者」が新作となり、『1974ヤマト』の世界観を引き継いで、「後継者」として登場する形をとってきました。それは、過去作との乖離がしばしば指摘される近作『復活篇』『SBヤマト』『2199』『2202』においても例外ではありませんでした。いずれの作品も『1974ヤマト』の世界を引き継いだ「血縁者」であり、『1974ヤマト』の「後継者」でした。いわば、「『宇宙戦艦ヤマト』王朝」のようなものです。

ところが、皆様もよくご存じのように、この世界における「後継者」は必ずしも「血縁者」ではありません。とすれば、『1974ヤマト』の血を引かぬ作品たちが『宇宙戦艦ヤマト』シリーズを牽引していく、そんな未来があってもいいのではないでしょうか。

⑤「『宇宙戦艦ヤマト』革命」

『1974ヤマト』を始祖として作り上げてきた『宇宙戦艦ヤマト』王朝とは異なる、新しい秩序を作る。それは一種の「革命」と言えます。『Λ』がその「革命」に相応しい作品であるかどうかはまだ分かりませんが、ひとつ言えるのは、『Λ』は「革命」の挑戦権を得た初めての作品だということです。

さて、ここまで私は「王朝」だの「革命」だのと言ってきました。違和感を覚えた方もいらっしゃるとは思います。実のところ、私も『宇宙戦艦ヤマト』に対してかなり保守的な人間ですので*2、旧『宇宙戦艦ヤマト』に代わる「新しい秩序」などと自分で書きながら、どこかモヤモヤした気持ちもありました。

ですが、これは娯楽作品です。政治とは違います。『1974ヤマト』を受け継ぐ『宇宙戦艦ヤマト』があれば、『1974ヤマト』を受け継がない『宇宙戦艦ヤマト』もある。それでいいと思うわけです。いやむしろ、そうやって多様性を常に担保してこそ、『宇宙戦艦ヤマト』の生存の道は開けてくるのではないか、と思います。

宇宙戦艦ヤマトNEXT スターブレイザーズΛ』はさながら、「『宇宙戦艦ヤマト』王朝」に招かれた異民族出身の政治顧問。「革命」を起こす(「王朝」にとっての)「反逆者」になるかもしれませんが、逆に、しがらみのない優秀な宰相として王朝を支えてくれる存在になるかもしれません。これまでの『宇宙戦艦ヤマト』とは異なる特殊な立ち位置にある作品として、今後とも、丁寧に読んでいきたいと思います。

*1:なお、歴史的には収束する家系図も存在するようです

*2:『2199』『2202』ファンですので、自分自身を保守派だとは思っていませんでしたが、コメント欄で様々なヤマトファンの方と対話する中で、保守派であることに気付かされました。