ymtetcのブログ

偶数日に『宇宙戦艦ヤマト』を考えるブログです。

【画像はありません】ヤマトマガジンのあり方と最新号

こんにちは。ymtetcです。

『ヤマトマガジン』が届きました。タイトル通り、画像は載せません。もし今回、『2205』や『2202総集編』についての情報がたくさん掲載されていたら【内容には言及しません】とするところでしたが、全くそんなことはありませんでした(笑)。

『ヤマトマガジン』はよい雑誌ではありますが、新作情報をいち早く掴むために入会するには少しコスパが悪いので、オススメしません。今回も、例えるなら『2202』初期のHPのような情報量(つまり、画稿が掲載されているだけ)で、内容としては「玉盛さんの仕事だ〜」と安堵する面はあっても、驚きはありませんでした。とはいえ、掲載されているインタビューや連載における玉盛さんの言葉の端々から(最近では、宮川彬良さんのツイートでも)『2205』が着実に作られていることが窺え、非常に勇気づけられるものがありました。

ところで最近、「『ヤマトマガジン』でしか情報が公開されないなんて閉鎖的でひどい」との批判があります。高額なファンクラブ会費を払わなければ、情報に触れることもできないのか、と。感情としては理解できますが、私としてはいくつか、思うところがあります。

①ファンクラブ有料会員=公式の「信頼筋」

まず簡単に申し上げておくと、情報をファンクラブ会員限定で一足早く公開するメリットはいくつかあります。もちろん、ファンクラブ会費獲得の促進になるとの面もありますが、それ以上に、一般公開の前にファンクラブ会員の反応を窺えることがメリットになります。ファンの大批判=炎上という「失敗」のリスクを低減できるからです。まだ世間への一般発表ではないわけですから、問題があれば取り下げることも検討できます。

そもそもファンクラブ会員とは、『宇宙戦艦ヤマト』に高額な会費を支払ってもよいと考えているほどの人たち、すなわち、ある種の「信頼筋」だと言えます。

「信頼筋」と言えば『2202』副監督の小林さんですね。小林さんの言う「信頼筋」には個人的な「信頼」関係のうちに成り立っている危うさがありますが、ファンクラブの場合、きちんとした手順を踏んだうえで「信頼筋」になれ、いつでも辞めることができる点で、ある意味クリーンな「信頼筋」だと言えます*1。「信頼筋」になれるのは会員にとって大きなメリットですが、それは公式にとってもメリットのあることだと考えます。

②『ヤマトマガジン』情報はアドバンテージなのか

次に申し上げたいのが、冒頭にも触れた内容です。

果たして、現在の『ヤマトマガジン』は、無料会員のファンと比べて大幅なアドバンテージをもたらすほどの新作情報を掲載しているのでしょうか。

現在の『ヤマトマガジン』における新作情報は、ただただ画稿が掲載されているだけ。それもラフ画だったり、色がついていなかったりする準備段階の画稿です。これが「信頼筋」に対する「おうかがい」だとすれば合点もいきますが、それにしても、現状では『2202コンサート』での情報(レベルとしては)と大差ないのではないでしょうか。

ちなみに、準備段階の画稿以外の情報は、掲載されているスタッフインタビューの端々から探るほかありません。ところが現状、随所に期待を持たせてくれる発言はあるものの、作品の根幹にかかわる内容はほとんどないのです。

福井晴敏さん、西﨑彰司さん……新作への展望を語るべき人の言葉が掲載されないのですから、情報は得られようもありませんね。

③リニューアルされた「ファンクラブ会報」

こう考えていくと、実は「ファンクラブ会報」が”ここでしか読めない”作品情報をいち早く掴むメディアとして大きなアドバンテージを持っていたのは『航海日誌』まで、せいぜい『ヤマトマガジン創刊号』までだったのではないでしょうか。

『ヤマトマガジン』になってからは、新作に関する情報はごくごく限られたものになっています。特に西﨑彰司さんの語り口が好きだった私にとっては、彼の言葉をほとんど読むことができない現在の『ヤマトマガジン』には寂しいものがあります。

④「ファンクラブ会報」リニューアルの狙い

高額なファンクラブ会費に見合うだけのサービスをする。

ファンクラブ会報のリニューアル(『航海日誌』⇒『ヤマトマガジン』)には、そういった狙いがあると考えられます。実際に、今の『ヤマトマガジン』は、高島雄哉さんの「アクエリアスアルゴリズム」の連載企画、今回で言えば岩﨑茂さんと伊藤博行さんの対談、といったように、外部の方の力を得て紙面を構成していくようになりました。

不十分との指摘はあるかもしれませんが、方向性としては、きちんとファンクラブ会費の還元に向けた努力がなされていると私は思います。しかしながら、それと同時に、『ヤマトマガジン』は『航海日誌』と比べ、より「一般誌」に近い雑誌へと変質していると、私は考えています。

⑤『ヤマトマガジン』はハイクオリティだけれど

『ヤマトマガジン』の雑誌としてのクオリティは、『航海日誌』と比べて非常に高いものがあります。「定価:本体2500円+税」に見合うものかどうかは議論の余地がありますが、印刷・装丁・内容面において、書店に並んでいても違和感のないクオリティには仕上がっていると言えるでしょう。非常に好感が持てますね。

しかし、それだけに作品のこぼれ話や”ここでしか読めない”新作情報を掴むといった、「ファンクラブ会員の特権」としての機能や、会員と運営が密接に繋がった「内輪」のツールとしての機能は弱まっているように思います。むしろ、『航海日誌』時代の方がよっぽと閉鎖的だったのではないでしょうか。

繰り返しになりますが、「ファンクラブ会報」がファンクラブ会費還元のためにリニューアルし、ハイクオリティになって帰ってきた事実は称賛されるべきです。しかしながら、そうして「一般誌」に近づいたことで、徐々に「ファンクラブ会報」として持っていた他を寄せ付けない独自の魅力が失われつつある、と考えます。

つくづく、運営とは難しいものですね。

*1:

これをひっくり返した発想で、小林さんの「信頼筋」とは「小林誠ファンクラブのプレミアム会員」とも言える人々なのではないか、と考えています。

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