ymtetcのブログ

偶数日に『宇宙戦艦ヤマト』を考えるブログです。

【スターブレイザーズΛ】ノート作り(吾嬬先生篇)その1

こんにちは。ymtetcです。

〇新作関連イベント情報について

まず最初に、公開された新情報について。

starblazers-yamato.net

ヤマトという時代に向けた、『2199』『2202』セレクション番組があるそうです。特番感もあり、結構思い切ったと思います。東京ローカルは残念ですが、東京一極集中にすることでリスクを回避したと考えれば、事情は理解できますね。

また今回、『2199』を再プッシュしたのが印象的でした。映画の中で『2199』が占める割合は、当然ではありますが低いのかな、と思いましたね。それにしても、TwitterのRT数を見ると、『2199』の影響力には根強いものがあるなと思わされます。『2199』と『2202』のファンを確保するだけでも、『ヤマトという時代』や『2205』はコンテンツとして十分ヒットいくだろうな、と勇気づけられました。まぁ、それが難しいのですが……。

では、『Λ』のお勉強を進めていきましょう。

〇はじめに

前々回の記事で「ノート作り」をやりましたが、この時、私は「ymtetc篇」とタイトルに書いていました。『Λ』も第8話まで進んで、それだけ私の書いた感想も蓄積してきたわけですが、自分なりの解釈を重視し過ぎたために、やや本編の流れと外れつつある感じもあります。そこで、作者である吾嬬竜孝さんの「制作メモ」などを読みながら、作り手の意図に即した形で、私の『Λ』認識を整えていく。それが今回の狙いです。

〇第1話と第2話

www.fanbox.cc

第1話と第2話は、同時公開された関係で一つの記事になっていましたね。

「制作メモ」は三つの観点を設定しています。時空結晶体、ユウ、リンネです。

・時空結晶体

吾嬬さんは時空結晶体について、「第1話の裏の主人公」と表現しています。そして、時空結晶体は「トップネスとのフィードバックによって超物理法則の高エネルギーが放出される未知の物体」「マイクロユニバース、この宇宙の中に生み出されたもう一つの宇宙を時間結晶によって結晶化したもの」「三次元の結晶に時間軸を加えた四次元の結晶体」とも表現されています。

本編で、マヤ・ヤマトは自身の研究を「人類のエネルギー問題を解決する研究」と表現していました。ユウの母親であるマヤは、「超物理法則の高エネルギー」の利用方法を考える研究を行っていたと推測されます。

ところで、第5話のラストで、マヤは何者かによって殺されたことが明らかになりました。そして、これはニルヴァーナ側の行為である可能性が高い。ニルヴァーナにとってマヤが不要であったとすれば、ニルヴァーナの目的は「人類のエネルギー問題を解決する」ことにはないのだと思われます。彼らは「人類のエネルギー問題を解決する研究」を利用して、何らかの大きな目的を達成しようとしていたのでしょう。

さて、ここで時空結晶体が「第1話の裏の主人公」である、との言葉の意味についても考えてみたいと思います。

メタ的に考えるなら、それこそ主人公であるユウと同じくらい、設定を詰めることが大変であった存在だということなのかもしれません。時空結晶体は、それこその『ヤマト』の「波動エネルギー」と同じくらいかそれ以上に、『Λ』を動かす重要なSF的要素。だとすれば、それを「裏の主人公」と表現してもおかしくはありません。

また、時空結晶体を擬人化して考えることもできるでしょう。レインは「時空結晶体がトップネスを選ぶ」と語っています。さらに、時空結晶体がセイレーネスを呼び寄せていることも、噂レベルでは示唆されています。時空結晶体の視点を想像すると、時空結晶体は長らくユウが来るのを「待っていた」ことになりますし、時空結晶体は(ユウがやってきたから?)満を持してセイレーネスを呼び寄せた、との想像を膨らませることも可能ですね。このように、時空結晶体を擬人化して考えることもできるわけです。当然、他の視点から考えることも可能だと思いますが。

・ユウ

ユウについては、当初高校生だったものを小学生に変更することで、「物語をあちこち動き回り、逆に感情移入しやすいキャラクターになった」とされています。

小学生にすることのメリットは色々と考えられますが、私は「戦闘シーンにおけるアビー」の役割を担えることにメリットがあると考えます。第3話の「制作メモ」で明かされているのですが、アビーは読者と同じ目線を持つキャラクターとして設置されているのです。すなわち、専門的なキャラに解説を促す役割を彼女は担っている。

戦闘シーンはアビーの専門。アビーが素朴な疑問を発するわけにはいきません。そこで、ユウなら読者の素朴な疑問を自然に口にすることができますよね。こうすることで、説明を説明っぽくなく描くことができる。素朴な疑問を口にできるキャラクターの存在は、とても大きいなと思わされます。

・リンネ

『Λ』は、ロボットものの定番である「機体に登場するか否かを葛藤する」役割を、リンネに与えているとされています。そして、リンネの行動原理は「ユウを守ること」である一方、「リンネには絶対に乗りたくない理由がある」とも書かれています。反面、ジョーンズは乗せたい。ここに二人の「パワーゲーム」が生ずるというのが、吾嬬さんの解説です。

この「パワーゲーム」の要素は、実は最近あまり見られないものですね。第1話を読んだ時には、それこそセイレーネス出現ごとにリンネとジョーンズの「パワーゲーム」が描かれるのかな、と思いましたが、そうでもなかったようです。リンネ回がこの先あるのかどうかは分かりません(彼女の物語が二話前後編で終わるとは思えないので)が、もう一度彼女にスポットが当たる時に「パワーゲーム」が生じるのかもしれません。

今更ながら、ユウは第1話でも、セイレーネス襲来の前兆である「夢」を見ていたことにも気づきました。そして、そこでもリンネが出てきます。

第1話では崩壊する地球が描かれており、やはり時間軸的には「現在」よりも先の状況を見ていますね。時空結晶体は時空結晶体なので、この「夢」も時空結晶体に関わるものだと思います。一つ、第1話では、ユウはマーク6のコクピット内で「夢」を見ていた点が他の話とは異なるでしょうか。この時、マーク6のモニターは消えていました。これにはまたドラマSF的な背景がありそうだな、と思います。

〇あとがき

今回は第1話と第2話の「制作メモ」を読みました。時空結晶体については、私自身がSF要素を苦手としていることもあり、リアルタイム時にはさらりと流していた要素です。今回、定義をノートにまとめたことで、今後この単語が出てきても多少は戦えそうだな、と思います(笑)。

なお、時空結晶体と深い関わりのある現実の単語「時間結晶」については、”時間結晶 わかりやすく”という素人特有の検索方法で調べてみました。が、脳内で麦人さんが「わしにはさっぱりじゃ」と呟くだけでした。

ひとりでに時を刻む物質「時間結晶」: 日本経済新聞

まったく新しい物質「時間結晶」とは? サルでもわかるように量子物理学者が超・徹底解説! (2017年6月20日) - エキサイトニュース

当然ながらファクトチェックも不可能なので、このネット記事が正しいのかさえ分かりません。大変もどかしい現状です。ただ、半田さんが『ヤマトマガジン』で述べていたように、SF作品は「娯楽作品」であり「科学解説」ではありません*1。『アダム』でも、本編と科学解説コラムはうまーく分けられていましたよね。『Λ』を楽しむ上では「時空結晶体」の理解をある程度しておけばいいのだ、と言い聞かせて、今後も楽しんでいきたいと思います。

*1:『STAR BLAZERS ヤマトマガジン 7号』(株式会社ヤマトクルー、2020年5月)14頁。