ymtetcのブログ

偶数日に『宇宙戦艦ヤマト』を考えるブログです。

「テレサよ永遠に」から探る旧ヤマトの女神像

こんにちは。ymtetcです。

以前「主題歌」のカテゴリで書いていた旧『宇宙戦艦ヤマト』シリーズの主題歌分析。「テレサよ永遠に」のデータが残っていましたので、少し書いていきます。

〇解釈:伝聞形式の一番から、より実体験に近い二番へ

まずは、歌詞を解釈していきます。あくまで私なりの解釈です。

テレサ 星の彼方にあなたはいると(聞く)

テレサ 愛の祈りを捧げていると(聞く)

(聞くところによれば、テレサの)肌に飾った星屑が 人の心で愛になる(という)

テレサの)頬にうかんだほほえみが かげればいつか夜になる(という)

テレサよ 永遠に ほほえみを(うかべておくれ)

テレサよ 永遠に ほほえみを(うかべておくれ)

一番におけるポイントは、「(聞く)」と「(という)」の二つの言葉を補ったことにあります。一番の歌詞は「あなたはいる」「捧げている」という風に「~と」の形をとっています。

「~と」の解釈は色々と可能なのですが、今回は伝聞形式なのではないかと考えてみました。つまり、ここで描かれているのは「テレサの伝説」なのではないか、と。

次に、二番の歌詞を解釈してみましょう。

テレサ どこか遠くで呼んでる声が(聞こえる)

テレサ 光なくして泣いてる声が(聞こえる)

テレサの)胸で合わせた手のひらが 愛の言葉を語りかけ

テレサの)清くきらめく目の奥に 愛の宝を沈めてる

テレサよ 永遠に ほほえみを(うかべておくれ)

テレサよ 永遠に ほほえみを(うかべておくれ)

一番の歌詞を伝聞形式だと解釈すると、二番の歌詞はより実体験に近いものとして、テレサを描写していると考えることができます。「~声が」の部分は、この歌の主人公がテレサの声を実際に聞いているものとして描かれているのではないでしょうか。

『さらば』や『ヤマト2』は、地球で古代たちがテレサの「声」を受け取り、それに呼応してテレサに会いにいく物語でもあります。その過程を描いているのが、二番の歌詞だと考えられそうです。

〇旧『宇宙戦艦ヤマト』の女神像

ここまで「テレサよ永遠に」の歌詞を、一番は伝説の伝聞形式、二番は実際に「声」を受け取り、会いに行った過程を描いていると解釈してきました。

ここから旧『宇宙戦艦ヤマト』の女神像を読み解くためには、一番と二番に共通している歌詞である

テレサよ 永遠に ほほえみを」

の部分にも注目しなければなりません。

この部分に、私は「(うかべておくれ)」と言葉を補いました。「テレサよ」の「よ」が呼びかけであることは言うまでもありませんが、その流れからすると、続く「ほほえみを」は祈りの言葉だと解釈するのが自然だと思います。

さて、ここまでを総合すると、旧『宇宙戦艦ヤマト』の女神像として以下の三点が読み取れると考えます。

  • 星の彼方にいて、容易には会えないこと。
  • 宇宙の平和を祈り続ける存在であること。
  • 我々は女神に対して祈り続けることしかできないこと。

例外もありますが、これらが旧『宇宙戦艦ヤマト』の「女神」(スターシャ、テレサ、マザーシャルバート、クイーンオブアクエリアス)たちに当てはまる共通項なのではないかと思います。

〇ここから考えられること

ここまでの話から考えられることとして、まず『ヤマト2』のテレサの問題があります。

『ヤマト2』のテレサは、『さらば』とはうってかわって人間に近い存在として描かれる一方、ラストシーンのネタとして残しておくためか、反物質をめぐる超人的な設定は温存されました。結果、『ヤマト2』のテレサは『宇宙戦艦ヤマト』の女神像を超えた「万能な人間」のように描かれることとなりました。その点は、「テレサよ永遠に」で描かれている『宇宙戦艦ヤマト』の女神像からすれば、少し異質な設定だったことが分かります。

また、「テレサよ永遠に」の歌詞を読み解くと、実は、意外に『2202』は「テレサよ永遠に」の世界観に忠実だったことも分かります。あくまで「~いると」の部分が「テレサの伝説」について語っているものである、という前提に立つ必要はありますが、概ね、「テレサよ永遠に」の歌詞は『2202』にも当てはめることが可能なのではないでしょうか。