ymtetcのブログ

偶数日に『宇宙戦艦ヤマト』を考えるブログです。

「そのままリメイク」は必要かもしれない

こんにちは。ymtetcです。

皆様は「『宇宙戦艦ヤマト』シリーズに興味があるんだけど……」という人が目の前に現れた時、まずどの作品を薦めますか?

実際にそういった状況になったことは数えるほどしかありませんが、私はこれまで、決まって『宇宙戦艦ヤマト2199』をおすすめしてきました。

でも、それでいいのだろうか? 今日はそんなお話です。

私がなぜ『2199』をおすすめしてきたかと言えば、その理由は単純です。

一つに、私が『2199』を好きであるから。

二つに、『2199』の方が、旧『ヤマト』よりも「とっつきやすい」と考えているから。

この二つが主な理由です。ここで言う「とっつきやすい」とは、「旧『ヤマト』に比べて(現代の観客から見て)ツッコミどころが少ないこと」と、「旧『ヤマト』に比べて絵が現代風であること」を指しています。

ところが、「とっつきやすさ」を重視したこの私の考え方では、少し問題があるのではないかと思うようになりました。

そのきっかけをくれたのが『エヴァンゲリオン』シリーズです。

もし私が、『エヴァンゲリオン』シリーズで同じ質問をなげかけられたなら、迷わず私は「『新劇場版』」と答えるでしょう。

なぜなら、『新劇場版』は旧作に比べて「とっつきやすい」上に、何より『新劇場版』もまた、同じ庵野秀明監督による『エヴァンゲリオン』そのものだからです。だから、入り口としてはまず『新劇場版』でいいのです。もちろん『新劇場版』を100%楽しむためには旧作も見ておいた方がいいのは確かですが、でも、それは『新劇場版』を見て、『エヴァンゲリオン』シリーズにハマった後でも問題はないのです。

翻って『ヤマト』に話を戻した時、果たして私たちは『2199』を「宇宙戦艦ヤマト』そのもの」だと表現することはできるでしょうか。

少なくとも、私にはできません。筋を通しているとはいえ、作っている人間がまるで違う。作風も違う。

私には『2199』を、1974年の『宇宙戦艦ヤマト』と同一視することができないのです。

ですから、庵野監督が『2199』の時に言ったような「まず『2199』を見て、その後に旧『ヤマト』を見て」というルートに新規層を乗せることも難しいと考えています。『2199』と旧『ヤマト』は、良くも悪くも違う作品なのです。

さて、ここまで考えてみると、私はあるジレンマを抱えていることが分かります。

『ヤマト』シリーズの入門編としては『ヤマト』をおすすめしたいけど、とっつきにくい。リメイクシリーズ第一作の『2199』はおすすめしたいけど、『ヤマト』シリーズの入門編にはならなさそう……。というある種、ファンならではのジレンマです。

こうして私は、今回のタイトルの結論に辿り着きました。

『ヤマト』シリーズに新機軸を作った『2199』の功績は、シリーズ全体を見ても重要なものだとは思いますが、しかしながら、『ヤマト』シリーズの入門編としてはやはり物足りない。現代アニメの文脈で再構築した分、歴史的名作をそのまま現代に蘇らせることはできていません。

その点、「そのままリメイク」がこの世界に存在していたならば、この問題は解決します。実際にそれが現代社会に受け入れられるかどうかは別にして、旧『宇宙戦艦ヤマト』の作風を受け継いだ作品がそこにあるという事実は重要です。

ただ、きれいな映像で古代があの言葉遣いをする様子を想像してみると、厳しいものがあります(笑)。その意味で、実はアニメではなく実写の方が、旧『宇宙戦艦ヤマト』の作風は受け継ぎやすいのかもしれませんね。