こんにちは。ymtetcです。
前回の記事「『ヤマト』、スピンオフに賭けろ!【これからの宇宙戦艦ヤマト】」では、テレビシリーズのスピンオフとして、タイトルに『宇宙戦艦ヤマト』を掲げない作品があってもよい、と述べました。そこで例にとったのが、『響け!ユーフォニアム』のスピンオフ(?)にあたる『リズと青い鳥』でした*1。今日はそのメリットについて考えていきたいと思います。
〇新規層の入りやすい環境を作る
タイトルに『宇宙戦艦ヤマト』を掲げないメリットは、開拓したい新規層の、『宇宙戦艦ヤマト』への先入観を可能な限り軽減させられる点にあります。
この作品は『宇宙戦艦ヤマト』としてだけでなく、一つの新作映画として観て欲しい……との姿勢は、間違いなく新規層にとって入りやすい環境を作ってくれるでしょう。
〇中身を変えなくてもいい
そして、タイトルを変えて間口を広げることにより、かえって作品の中身については自由度が広がると考えます。
『ヤマト』のような伝統的なタイトルで間口を広げるとなると、ついつい中身を変えて「現代風」にしがちです。それもいいのですが、行き過ぎた「現代風」は、伝統的な作品が持っていた「らしさ」を失わせることにもなり得ます。
タイトルが生み出す真新しさと間口の広さがあれば、仮に中身を保守的な、伝統的な『ヤマト』の中身にしたとしても、確実に新規層への影響力は向上します。「ヤマトらしさ」を最大限守りながら、コンテンツとしては”閉じない”。そんな作品を作れる可能性があります。
『Λ』はタイトルに『宇宙戦艦ヤマト』を残して中身を変えました。逆の試みもあっていいのではないでしょうか。
〇大胆に変えてもいい
また、より可視化された部分を大胆に変えられる可能性もあります。
例えば先述した『リズと青い鳥』は監督だけでなく、キャラクターデザインも音楽も変わっています。それでも、シリーズ作品としては成立しています。
リメイクシリーズのキャラクターデザインを変えることや、旧作以来の音楽を変更することが歓迎されるとは思いませんが、タイトルの縛りをなくし、いわゆる「本筋」とは異なる作品であることを強調しておくだけで、より抵抗感の少ない形で、大胆な変更を施すことも可能になってくると考えます。
〇自由度が格段に上がる
このように、「タイトルに『宇宙戦艦ヤマト』を含める」という縛り一つなくすだけで、作品作りの自由度が格段に上がるのではないでしょうか。
特に、革新的な変化を可能にする点だけでなく、保守的な作品づくりも可能になる(かもしれない)点は、注目すべきだと考えます。