ymtetcのブログ

偶数日に『宇宙戦艦ヤマト』を考えるブログです。

『ヤマト2205』が『2202』より「食べやすい」理由

こんにちは。ymtetcです。

今日はドラマの作り方に注目して、『2205』が『2202』よりも「食べやすい」、すなわち楽しむことが容易であった理由について、考えていきます。

『2202』がテーマ重視の物語であったのに対して、『2205』はテーマ性が曖昧になっています。私はこの点に、『2205』が「食べやすかった」理由があると考えます。

福井さんのスタイルは、物語の核となるテーマを設定して「骨太」なドラマを作ることにあります。実際に、それを期待されて『2202』に参加した福井さんは、注文通りに「愛」を核とした「骨太」なドラマを作り上げたわけです。

それは、必ずしも観客の評価を得られませんでした。明確すぎるテーマは、かえって「好き嫌い」を呼び起こし、観客を分断する結果となりました。

一方で、『2205』のテーマは必ずしも明確ではありません。キャラクターをベースに、個々に普遍的な物語が与えられ、作品は完結へと進んでいきます。作品の「骨」は細くなりましたが、その分、観客は自分で「好き」なところを選んで食べることができます。

さらに、「骨」が細くなったとは言え、テーマ性が希薄になっていないことも重要です。『新たなる旅立ち』という、どうとでも解釈できる言葉を看板に、「愚かで弱い心を持つ人間だからこそ、誰かを救うことができる」といった、『2202』から引き継いだ「福井ヤマト」のテーマ性は確実に生きていました。

この良さはスタッフの特性からくるものです。テーマを提示する福井さん、キャラクターベースでテンポの良いドラマを構築できる安田さん、整合性のスペシャリスト皆川さんと小倉さん、『2199』世界をよく知る玉盛さん、新旧『ヤマト』マスターの岡さん。『3199』では、『2205』で達成したことを再び再現できるかが、問われることになりそうですね。