ymtetcのブログ

偶数日に『宇宙戦艦ヤマト』を考えるブログです。

【これからのヤマト】戦争を描く機会は減っていく?

こんにちは。ymtetcです。

宇宙戦艦ヤマト』は「戦艦」をタイトルに掲げている一方、実際に戦争をテーマにした作品は少ないと言えます。今日はそのことについて考えていきます。

宇宙戦艦ヤマト』に戦争を題材にした作品は少ないですが、その傾向はこれからも続き、むしろ減っていくのではないでしょうか。

宇宙戦艦ヤマト』は、伝統的にナショナルなまとまり、国家的なまとまりを重視してきた作品だと考えています。ナショナリズムがテーマの作品ではありませんが、ナショナリズムを前提にした作品でもあります。

裏を返せば、国家的なまとまりの分断を描く傾向にはありません。『宇宙戦艦ヤマト』における”戦い”は、多くの場合は自己と他者の戦いであって、国家的なまとまりの中で起こる「内戦」ではないのです。「地球人 対 地球人」の戦いを描くような作風ではなく、多くは「地球人 対 異星人」の戦いであるわけです。

しかしこの数年の傾向として、国家的なまとまりが薄れていく傾向にあると私は感じています。国民は多様化する社会を受け入れながら、「グローバル」に目を向けることが求められているからです。

それゆえ、今後は、「地球人 対 異星人」の構図も、物語を突き動かす前提としては機能しても、それ自体が「戦争もの」になって機能するとは考えにくいと思います。

「地球人 対 地球人」を描かない『ヤマト』の伝統と、「地球人 対 異星人」を受け入れがたい現代社会の中で、『ヤマト』が国家間や組織間の戦争を描く機会はこれから減っていくのではないでしょうか。

その意味で、『3199』がどのようなアプローチをとるのかは興味深いです。

原作『Ⅲ』は「異星人 対 異星人」の戦争に地球・ヤマトが巻き込まれていくプロットでした。それに対して「安保条約」のある『3199』は、地球が戦争に巻き込まれる可能性を大いに秘めています。ここで順当に国家間戦争を描くのか、はたまた理由をつけて『Ⅲ』と似た状況に持っていくのか。注目したいですね。