ymtetcのブログ

偶数日に『宇宙戦艦ヤマト』を考えるブログです。

『ヤマト2205』に学ぶ「ヤマトらしさ」

こんにちは。ymtetcです。

そろそろ2021年の『宇宙戦艦ヤマト』を振り返る季節ですが、2021年は私にとって、「ヤマトらしさ」について改めて考える年でもありました。

カテゴリ「ヤマトらしさ」によれば、私が2021年に挙げた「ヤマトらしさ」は以下の10個です。

  1. 洋上艦をモチーフとした宇宙戦艦のメカ・アクション
  2. ライトモチーフで構成される音楽
  3. 疑似家族(あるいは師弟関係)
  4. キャラクターが自らの意志で乗り込むこと
  5. 「生き方」を語ること
  6. 強いメッセージ性を持つ別れを描くこと
  7. 地球や人類を救うという使命感
  8. 宇宙ならではの孤独感(不安)
  9. 老朽戦艦の復活劇
  10. 宇宙を旅すること(テレビシリーズのみ)

今日は私がこれまで仮説的に挙げてきた「ヤマトらしさ」について、『ヤマト2205』を軸に、改めて考えたいと思います。

先ほど挙げた10の「ヤマトらしさ」のうち、『2205』前章において踏襲されているのは、

  • 洋上艦をモチーフとした宇宙戦艦のメカ・アクション
  • ライトモチーフで構成される音楽
  • キャラクターが自らの意志で乗り込むこと
  • 「生き方」を語ること
  • 地球や人類を救うという使命感

この5つでしょう。

音楽では、ボラー、デスラーガミラス)、ヤマト、新人クルー、デザリアムにそれぞれメロディが与えられ、場面に応じて様々な曲調のアレンジが使用される、いわば”いつもの”ライトモチーフが取り入れられました。

次に、キャラクターについても、土門竜介は古代進という人間を間近で見るために、自らの意志でヤマトを選んで乗り込みました。「自分からは絶対に降りない」と決めていた土門の姿は、まさに「巻き込まれない」主人公像だったと言えます。

また、『2205』でも、『2202』同様に、人生において理想を信じ、貫くことの重要性が語られています。これは「人間はどう生きるべきか」に対する『2205』なりの回答であり、かつて『さらば宇宙戦艦ヤマト』とその主題歌「ヤマトより愛をこめて」が語ったように、観客にあるべき「生き方」を訴えかけるものでした。

「使命感」については、かつて主題歌の「宇宙戦艦ヤマト」を軸に考えたように、何らかの「大切なもの」を守るために戦う使命を帯びた点で、今回、イスカンダルを救出すべく反乱を起こした第65護衛隊に、それが継承されたと思います。

 

最後に、この「使命感」について、今少し掘り下げておきましょう。

以前から指摘している通り、『新たなる旅立ち』の宇宙戦艦ヤマトは、地球や人類を救うとの「使命感」を帯びてはいません。そして、私はそれを『ヤマト』シリーズにおける「例外」と見なしてきました。

一方、先ほど述べたように、『2205』のヤマトも一定程度の使命感を帯びています。それは「地球を救う使命」ではありませんでしたが、登場人物たちは、確かに使命感を帯びて行動を起こしています。

では、『2205』の登場人物たちが抱く「使命感」とは、いったいどんなものか。

それは、「命の危機にある人間を救う」という使命感です。「地球」や「地球人類」といったより具体的な存在ではなく、「人間」というもっと一般的な存在を、不条理な暴力から守ろうとする使命感。それは、実際に苦しめられている人間を救うと同時に、そうした人間を見てみぬふりはできない自分自身の心、すなわち平和を求め、争いを憎む、地球人の理想」を、「意地が悪い」現実から守ろうとする使命感でもあります。

そこで今回、私は「ヤマトらしさ」に若干の修正を加えたいと思います。

  1. 洋上艦をモチーフとした宇宙戦艦のメカ・アクション
  2. ライトモチーフで構成される音楽
  3. 疑似家族(あるいは師弟関係)
  4. キャラクターが自らの意志で乗り込むこと
  5. 「生き方」を語ること
  6. 強いメッセージ性を持つ別れを描くこと
  7. 地球や人類を救うという使命感→大切なものを守るという使命感
  8. 宇宙ならではの孤独感(不安)
  9. 老朽戦艦の復活劇
  10. 宇宙を旅すること(テレビシリーズのみ)

登場人物たちにとって一番大切なものを守るために戦うこと。

それが『2205』で描かれた「ヤマトらしさ」なのではないでしょうか。