ymtetcのブログ

偶数日に『宇宙戦艦ヤマト』を考えるブログです。

【ヤマト2199】歯車が狂い始めた第21話~第26話

こんにちは。ymtetcです。

第20話で七色星団戦が終わってからの『2199』は、どうにも歯車が狂っていたような状況が続いていたと私は考えます。

第20話までの『2199』が持っていた、構成上の丁寧さと繊細さ、いい意味での神経質さが、第21話以降はせきを切ったように消えていった印象です。そこにあったのは、のちの『2202』にも通じるような「勢い」重視に近い物語の在りようでした。

もちろん、スケジュールの問題で作画が安定しなくなったことも、そうした印象を私に与えた理由の一つでしょう。しかし、それだけではないと私は考えます。

今回指摘しておきたいのは、「演出にメリハリがなくなったこと」です。

例えば、『2199』には通常の「真面目モード」なシーンと、コメディタッチのシーンが存在します。エンケラドゥスで古代と雪の話を盗み聞きする真琴や、赤道祭でのコスプレあたりは、コメディタッチのシーンでしょう。

しかし、第21話以降、演出上に妥協を強いられたせいか、「真面目モード」とコメディタッチのシーンの境目が曖昧になっていきます。第21話の収容所惑星での下りは、「真面目モード」でガミラス社会を描きたいのか、コメディタッチで収容所惑星のドタバタ劇を描きたいのかが曖昧です。第22話でも、コメディタッチのシーンが頻繁に入り込んでしまうために、物語の主題(ガミラスイスカンダルの関係、種族を超えた人間性の共有と文化の多様さ)が見えづらくなっています。

また、第24話のイスカンダルでの海水浴のように、その回の主題とは直接関わりのないシーンが、比較的長い時間にわたって盛り込まれる場合もありました。

 

メリハリのなさ、主題と直接関わりのないシーンが長時間盛り込まれるなど、第21話以降の『2199』は演出面、構成面に問題を抱えていた印象です。スケジュールが切迫したことで、あらゆる面で妥協を強いられたのかな、と思います。そしてこの流れは、スタッフを入れ替えて作られた『2202』においても続いていきます。

『2205』は、演出面で仕事の早い安田監督が加入したことで、少なくとも演出面での問題は減少しました。ただ、それ以外の面ではやはり妥協を強いられていたと思います。『2199』第20話までのような、妥協の小さい、クオリティの高い作品は、実は奇跡に近かったのかもしれませんね。