いよいよ題名から「論」の文字を消し去る頃合いだろうか、とも思いながら、今日も論理的でないお話を繰り広げていきます。
実は今日、とっても13話について語りたいなぁと思っていたのですが、いきなり13話から始めるのも格好が悪いとか何とか思いまして、1話についてお話したいと思います。
お話を始める前に、注意点があります。
各話を振り返っていきますと、まるであたかも総括をしているような口振りになることもあろうかと思いますが、2018年3月4日現在、2202はまだ第四章を終えたに過ぎません。よって総括的な表現があったとしても、それは第四章時点での解釈であって、第七章を終えた頃には何もかもひっくり返っている可能性すらあります。
あくまで「現時点での振り返り」ということで、ご理解いただければと思います。
第一話『西暦2202年・甦れ宇宙戦艦ヤマト』
まずは、このサブタイトルから見ていくことにしましょう。
このサブタイトルは非常に上手くピースがはまっており、よくできた題名です。
『2201年 ヤマト帰還せよ』(宇宙戦艦ヤマト2 第一話)
『SOS地球!! 甦れ宇宙戦艦ヤマト』(宇宙戦艦ヤマト 第一話)
これら二つの題名が組み合わさっているのです。
そもそも旧作の第一話の題名が何故『甦れ宇宙戦艦ヤマト』なのか私にはよく分かりません(「戦艦大和」なら分かるのですが)。ともあれ、2202年に宇宙戦艦ヤマトが甦るこの2202の第一話には、このサブタイトルが完全にマッチします。
それでは続いて、内容をいつものように振り返っていきましょう。
- 無限に広がる大宇宙
- だから愛が必要だ
- テレザートの虐殺
- 全ては、定められたこと
- 地球・ガミラス連合艦隊
- 戦闘機乗りなんだぜ
- どうして俺はこんなことを……
- 拡散波動砲
- 約束してください……お約束します
- 物凄い加速です!
- ヤマトですっ!
- 古代、ヤマトに乗れ
大雑把にイベントを上記にまとめました。赤字が「さらばの拡大解釈」だと私の思う部分、そして紫が「2199の続編」だと私が思う部分となっています(黒はそれ以外)。
この区分、果たして正しいのか?というのは書きながら感じています。特に波動砲問題は、2199を受けてのストーリーでありながら、「愛の戦士たち」のストーリーでもあります。双方を兼ねる部分もあるのだ、ということはここで述べておきたいと思います。
- 無限に広がる大宇宙
- だから愛が必要だ
- テレザートの虐殺
- 全ては、定められたこと
では、各個振り返っていくことにしましょう。この四つの要素は「白色彗星」「序曲(スキャット部分)」の二曲に乗って、流れるように進行されてゆきます。
テレザートに対するガトランティスの侵攻は、旧作にもあった要素です。すなわち「さらば」のリメイク的要素であることは間違いありません。
「無限に広がる大宇宙」から始まるナレーションは旧作からの要素でありながらも、大帝その人が語るというオリジナルの部分も取り入れられています。
しかし、これは「大帝ズォーダーもまた愛の戦士たちである」という、「愛の戦士たち」の拡大解釈であり、それは「宇宙の愛だ!」と叫んだ旧作古代進を踏まえた解釈でもあります。ですから、上二つはさらばのリメイク的要素であると言えます。
そして最後は、テレサの台詞です。
さらばを観たことのある方、一度は思いませんでしたか?
「キャラクターたちのこの死にっぷり、異常だ」と。
さらばの終盤では、何か栓が外れたようにして、次々とキャラたちが死んでゆきます。
それについて「2202のスタッフはこう解釈したのでは?」という仮説を私は立ててみました。
みんな、「運命」に飲み込まれている――
さて、2202のテレサは宇宙の初めから終わりまでを見通す存在だそうです。
「すべては定められたこと」と語る2202のテレサ。
さらばで死んでいった幾多のクルー達。その死はテレサから見れば「定められたこと」だったのかもしれませんね。
ではここで、第五章のキャッチコピーを見てみましょう。
運命の時が訪れる。ささやかな希望も、育まれた絆も、すべて押し流して――
「すべては定められたこと。でも、それだけではありません」
第一話でテレサの語ったこの言葉は、後々、意味を持ってくるかもしれません。
続いて、ガミラシア奪還作戦がらみを振り返ってみましょう。
「(古代艦長は元々)戦闘機乗りなんだぜ」
「どうして俺はこんなことを」
という本編中に覚えのない言葉がまず目につくと思います。
前者はゆうなぎ無双シーンを指し、後者は「絶体絶命」をBGMに古代君が連続で映し出されるカットバックのシーンを指します。「」内のことをどうやら表現したいシーンだったようなのですが、あまりその意図は画面から伝わってきませんよね。
シナリオでは、どちらも台詞として取り入れられる予定だったことが分かります。
この奪還作戦のシーンでは、どちらかといえば「2199の続編」という側面が強調されようとしていることが分かりますね。戦闘機乗り、という設定は旧作第一作からの古代君の設定ですし、拡散波動砲はさらばにも登場していますから、2199を受け継ぐ、という部分を主に表現したかったパートなのだと言えるでしょう。
音楽の面から言っても、このパートは「ヤマト前進」に始まり、途中で「絶体絶命」が流れるといった、2199第一話(絵コンテは2202・2199共に榎本氏)を意識した内容になっています。
しかし、上記の「絶体絶命」の連続古代君など、表現したいことが上手く画面から伝わらないという部分があり、画面上の説得力のようなものが欠けている、というのは勿体なかった部分です。
- 物凄い加速です!
- ヤマトですっ!
- 古代、ヤマトに乗れ
この三点で一話は最後です。
拡散波動砲の直撃を免れた大戦艦は、撤退した艦を追いかけ地球に迫ります。
これはまさしく自爆特攻を表現したシーンであり、さらば宇宙戦艦ヤマトのラストシーンの一つの解釈である「特攻」を、ガトランティス側に取り入れたものです。
これがどんなことを意味するのか? 答えはまだありません。
私なりの解釈・推測はあるのですが、それは第四章14話を振り返るタイミングがあれば、その時にお話しようと思います。
次いで、地球に迫った大戦艦を、他でもない宇宙戦艦ヤマトが迎撃します。
これを黒字としたのは、このシーンが実質的に旧作第一作のヤマト起動シーンのリメイクであり、かつ2199以来眠っていたこの宇宙戦艦ヤマトという存在をメタ的に視聴者に思い出させるという、ある意味独立したシーンだからです。
最後に、この戦闘のさなかコスモウェーブが元ヤマトクルーを包みます。
「古代、ヤマトに乗れ。ヤマトに乗れ」
沖田十三がそう古代に呼び掛けて、第一話は幕を閉じます。
以前お話しましたが、これは「さらば」の要素を拡大解釈したものです。
苦境に立たされた古代進に、沖田が語りかける「まだ武器が残っているじゃないか。命だよ」。
これは「今日のために明日の屈辱に耐えるんだ」と言った、生前の沖田十三の姿と矛盾するものであると言われています。
2202ではそれを逆手に取り、テレサはメッセージを死者を介して伝える、という設定を採りました。そしてオレンジ色の光をまとって現れるその死者の姿は、さらばのラストで第一艦橋に集った死者の姿を思い起こさせます。
このように、2202の第一話では、物語としては2199を引き継ぐというストーリーの中で、2202という一つのシリーズの「嚆矢」として、随所に種まきがされていることが分かります。そしてそのまかれた種とはまさに「さらばの拡大解釈」なのです。