ymtetcのブログ

偶数日に『宇宙戦艦ヤマト』を考えるブログです。

脱線:新海誠の世界

色々なことを書きたいな、書きたいことを書きたいなと思っていたのですが、気づけばヤマト愛が炸裂してヤマトの話ばかり。

昨日の流れを汲んで6話、7話のお話をしても良かったのですが、一度脱線をしてみたいなと思っています。

ということで、今日は新海誠監督の作品についてお話します。

新海誠監督の作品は、最近大ヒットした『君の名は。』がありますが、私はそのちょっと前から彼の作品が大好きでした。

エロゲはさすがにやっていませんが、一応代表作は押さえているつもりです。

しかし、古参かといえばそんなことはありません。立派なニワカでございます。

私と新海誠作品の出会いは、この作品。

gigazine.net

ほら、随分と最近でしょう?

当時は「新海誠さんの作品が――」なんて話をすると「誰?」と返されるのが当然の世の中でした。

それでも、私がこの作品と出会えたのは「あの新海監督のアニメが無料だって!」「背景がすげぇ!」と話題に取り上げてくださったSNS上の人々のおかげです。

「絵が綺麗だな」

新海誠って誰?」

「あ、あのCMを作ってる人なんだ」

「この人ってアニメ映画も作ってるんだな」

私はこの手順を辿って新海誠監督作品と出会いました。

ポスターでも予告編でも、「新海誠最新作」というのを押し出しました。もちろん、「新海誠って誰?」と思う人もいたと思うんですけど、「『あの』新海誠」みたいな、もはやみんなが知ってるくらいの前提で宣伝物を作っていったんです。

これは『君の名は。』で宣伝を担当された弭間友子さんのお言葉。

なぜ『君の名は。』は大ヒットした?宣伝・弭間友子の仕掛けとは - インタビュー : CINRA.NET

意図せずして、古参ファンの方々が仰った「あの新海誠の」という旨の表現が、私と新海誠作品の出会いを作ってくれたのです。

それは、まさに『君の名は。』で為された仕掛けと同じだったんですね。

「みんなが知ってる」「みんながすごいと言ってる」という状況があると、ついつい気になってみてしまう。そして一度見てしまえば、引き込まれてしまうだけの作品がそこにある。『君の名は。』の記録的メガヒットと、私の『だれかのまなざし』との出会いは、規模こそ違えど構図は同じだったと思います。

 

では、今日の本題に入ってみます。

皆さん、新海誠監督作品の魅力って何でしょうか?

映像の美しさ

と、仰る方もいるでしょう。

しかし、コミックスウェーブフィルムの作品はしばしば、新海監督作品以外でもかなり美しい映像、風景を我々に見せてくれます。

「君の名は。」制作のコミックス・ウェーブ・フィルム新作映画「詩季織々」の2018年夏公開が決定 - GIGAZINE

CM映像に新しい波〜「もったいない」で明日は変わる《コミックス・ウェーブ・フィルム》 - snapshot.tokyo - web photo magazine for Tokyo

新海誠監督作品の美しい背景はアイデンティティではあるけれど、だからと言って、かならずしもあの雰囲気の美しい映像=新海誠、ではありません。

以下は、私の個人的な意見です。ただし、どこか誰かの意見に影響を受けている可能性は否定できません。あらかじめ、そのことはご了承いただければと思います。

 

新海誠作品が作り出しているのは「あの頃の『世界』」なのです。

高校生の皆さんは、中学生の頃を思い出してみましょう。

大学生の皆さんは、中学生・高校生の頃を思い出してみましょう。

大人の皆さんは、学生時代を思い出してみましょう。

きっとあの頃は、今よりずっと「世界」は狭かった。でも、そんな狭い「世界」でもどうしようもなく楽しかったり、苦しかったり、笑ったり、泣いたり。

自分と、その周りにある、どうしようもなく狭い「世界」で生きていた頃。

ではもう一度。

皆さん、「あの頃」を思い出してみましょう。

つらい思い出でしょうか? 幸せな思い出でしょうか?

青春とも言うべき淡い思い出の、今思い返せば随分と狭かったあの頃の「世界」。

youtu.be

その「世界」を思い返す時、眼前に広がるのはこういう光景ではないでしょうか。

youtu.be

あるいは、こんな光景ではないでしょうか。

「僕たちの前に」広がる世界。

これからの人生の長さを知っていながら、僕たちの「世界」に留まっていたい気持ち。

「いつかの放課後の約束」「叶えられない約束」。

「今はもう、遠いあの日」。

そう、新海誠監督が作り出すのは「今はもう、遠いあの日」の光景であり、「あの頃」に紡ごうとした言葉たちなのです。

だから、秒速のラストシーンは「あの頃」からの卒業であり、「あの頃」を「遠い昔」として記憶するという、ある種のハッピーエンドなのだと思います。

雲のむこうのラストシーンでも同じです。記憶が「消えちゃっ」て、ヒロインと離れ離れになっても(冒頭より)、それは「あの頃」を「遠い昔」として記憶し、忘れないようにするという点では、幸せな結末だと私は思います。

 

何か結論めいたものは出せませんでしたが、自分がなぜ、新海誠作品をどうしようもなく好きでいるのだろうか、という部分について、言葉に出来たかなと思っています。

私自身は「言の葉の庭」「君の名は。」よりも「秒速」「雲のむこう」が好きなのでここでは後者を紹介しましたが、前者にも、今日お話したことは当てはまるのかもしれません。

最後に、記事内では「秒速」「雲のむこう」の順にご紹介していますが、これは私の気分の問題でそうなっているだけで、実際の公開順は「雲のむこう」⇒「秒速」の順です。その点は、付け加えておきたいと思います。