こんにちは。ymtetcです。
今回の記事は
「福井晴敏のヤマト現代史における役割」
という、ふっと浮かんできたタイトルから書き始めました。
福井晴敏氏がヤマト2202で初めてシリーズに参画したこと、それ自体が革新的であるという、ある種の直感めいた感覚はあるのですが、いまいち言語化することが出来ていなかったのです。
ところで、小林誠副監督に反発する動きと連動して、福井晴敏を絶対化する流れも一部にあります。論理としては、「福井晴敏のシナリオは素晴らしい、まともに映像化できない小林誠が悪い」というものです。
確かにシナリオや、シナリオが反映された小説版を読んで2202の評価が上がったという人もいるでしょう。
しかしながら、誰が悪にせよ、それを絶対化してしまうことが思考の停止を招くのは言うまでもありません。いわば「小林誠絶対悪、福井晴敏被害者論」めいた主張に対しては、真実を見えにくくするという点で私は反対します。
- ヤマトシリーズの脚本家たち
上記を踏まえると、主観的な議論では福井晴敏、及び2202シナリオに対する絶対化をもたらしかねないという懸念があります。
そこで今回はひとまず、ヤマトシリーズの脚本家を書き出してみたいと思います。
ソースはお察しです。
〇藤川桂介 全17話
〇田村丸 全3話
〇山本暎一 全6話
- さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち
〇舛田利雄
〇藤川桂介
〇山本英明
〇藤川桂介 全18話
〇舘俊介(山本英明?) 全8話
- 宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち
〇山本英明
- ヤマトよ永遠に
〇舛田利雄
〇山本英明
〇藤川桂介
〇山本暎一 全5話
〇藤川桂介 全2話
〇山本英明 全10話
〇根本祥二 全6話
- 宇宙戦艦ヤマト 完結編
〇山本英明
〇笠原和夫
〇山本暎一
〇舛田利雄
〇西崎義展
- YAMATO2520
〇平野靖士
〇山本暎一
〇西崎義展
- 宇宙戦艦ヤマト 復活篇
〇石原武龍
〇冨岡淳広
〇西崎義展
〇出渕裕 全8話
〇大野木寛 全7話
〇森田繁 全5話
〇村井さだゆき 全5話
〇武半慎吾 全1話
- 宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち
〇福井晴敏/岡秀樹 全26話
- おわりに
今日はとりあえず、脚本家を並べてみました。
途中書き出していると、だんだんと藤川さんの担当が減っていってるとか、途中から西崎さんの名前が脚本に入って来るとか、完結編(1983年)で入ってきた笠原さんはオーディーン(1985年)にも参加しているだとか、復活篇の冨岡さんっていうのはラスエグやサムライ7に参加している(他の大御所に比べて)若い人、すなわちヤマト世代の人であるとか、何となく傾向が見えてくるのですが、ひとまず今日、間違いなく言えるのは
連名とはいえ、同じ人間が全26話を担当する2202は異常だ
ということです。それぞれの脚本家がどれくらいの話数を担当しているかも書いてみましたが、やはりテレビシリーズでは、基本的に分担がされています。例えばヤマトⅢではファンタム関連を根本さんに任せていますし、2199では戦闘シーンの多い回を森田さんに任せていますね。
これらは全てヤマトシリーズに限った話ではありますが、この2202の、「二人で全話を担当する」ということが、結果的に「煮詰まり」と呼ばれる現象を起こし、取捨選択を誤らせている可能性もあります。
よく2202は「取捨選択が下手」と評されますが、絵コンテの段階でシナリオの内容の大部分がカットされてゆく過程で、当然脚本サイドのチェックや介入がされているはずです。そこが機能していない可能性も考慮しなければならないと思います。