ymtetcのブログ

偶数日に『宇宙戦艦ヤマト』を考えるブログです。

「国民投票」という単語を使うべきではなかった理由+改善案

早紀:無茶ですね……二人を助け出すために、時間断層を。

真田:ああ。まるで割に合わない。だが、政治的な面に限って言えば、バレル大使の尽力で、奇蹟が起きそうだ。今度の戦争で、政界の地図にも異変があった。全てを明らかにして、結論を国民投票に委ねる。そんな無茶が、実現するかもしれない。

早紀:国民投票

真田:もちろん、結果までは操作できない。分が悪いことに変わりはないが、そうすることで、未来が元の流れに……

早紀:(はっとして)

真田:我々は、試されているのかもしれない。古代、お前は今……

こんばんは。ymtetcです。

第七章、しかも最終話に登場した「国民投票」という単語。私はあまりに唐突なこの単語の登場に違和感を覚えました。今日はこの違和感の背景についても考えつつ、私が「『国民投票』という単語を使うべきではなかった」と考える理由について、3つ書いてみようと思います。

〇「現実」ぽすぎる単語のチョイスだから。

国民投票」という単語は近年の憲法改正のニュースもあり、極めて身近な単語になっています(むしろ、2202スタッフが「国民投票」という単語を使った理由は多分これ)。

ですが、あまりに身近な「投票」という単語を含むが故に、私の脳内では国民が「時間断層」と「二人の軍人」を天秤にかけて投票所に向かっている絵が浮かんできてしまいました。そして、それがあまりにも滑稽だったのです。

この最終話は2202でも特にファンタジー性が高いのに、「国民投票」は妙に現実っぽい単語なので、浮いている感じがして……。

〇「国民(視聴者)に突きつけられた最後の『選択』という側面が強調できないから。

この「国民投票」には、国民に突きつけられた「選択」を描くことで、現代社会を生きる視聴者にも同様に考えてもらいたい、という陰の狙いがあります。

もちろん、この「選択」はドラマのメインではないので「分かる人に分かればいい」ものなのですが、これ自体は2202の集大成として面白い試みなので、どうせなら私のような人間でも分かるような(笑)、分かりやすい表現を用いて欲しかったと思います。

〇観客がその展開の目的・仕掛け・意味に気が付きやすい言葉選びをするに越したことはないから。

最後は、今日のまとめです。これは私の想像に過ぎませんが、おそらく「国民投票」という単語を使うかどうかは結構悩んだと思うんです。「投票」。ヤマトの世界で「投票」は、ちょっと馴染みがありません。

狙いとしては、卑近な言葉を用いることで観客に共感してもらいやすくすることがあるでしょうか。結果として私には逆効果でしたが。

あるいは「選択」という2202のキーワードを排することで、2202としてはむしろ、古代進のドラマの方に集中してもらうという狙いもあるかもしれません。

といっても、ここで「選択」という言葉を使ったとしても、それほど古代のドラマを邪魔しなかったと思うんですよね。それよりも、作り手として(それは、あまり強調したいものではなくとも)何らかの意図や意味を込めたのであれば、それが万人に伝わるような表現を用いるべきではないでしょうか。

特に、2202が普遍性の高い作品を目指すのであれば。

〇「国民投票」⇒「国民の選択」案

真田:全てを明らかにして、結論は国民の選択に委ねる。そんな無茶が、実現するかもしれない。