ymtetcのブログ

偶数日に『宇宙戦艦ヤマト』を考えるブログです。

【宇宙戦艦ヤマト】みんなで「らしさ」を見つけたい!

こんにちは。ymtetcです。

「うん、いいね」。みんながそう思える『宇宙戦艦ヤマト』があればいいなと、いつも思います。そこで今日は、何度目かの話をしていきます。

〇まずは基本軸を固定すべき

私は、『宇宙戦艦ヤマト』の新作を構想するにあたっては、根本的なストーリーラインに無難かつシンプルな基本軸を設定し、それを柱に物語を構築していく選択肢もあると考えます。

なぜなら、基本線がシンプルであればあるほど、物語の軸がぶれるリスクは軽減されるからです。ここでいう”ぶれる”とは、作り手の視線だけでなく、受け手の視線も含めます*1

〇多くの「物語」のアプローチ

アニメーション作品に限らず、多くの「物語」には、必ず一言で表現することのできる基本軸が存在します。

例えば、私の度々紹介する『響け!ユーフォニアム』には、「高校1年生の黄前久美子が入部した弱小吹奏楽部で、中学時代の同級生であり一度は対立(?)した高坂麗奈などの仲間たちとともに練習に打ち込み、様々な葛藤を乗り越え(略)」……という基本軸があります。

これをさらに一般化すれば、「主人公が部活動における困難を乗り越える物語」です。極めて基本軸がシンプルであることが、ここから分かります。

〇基本軸をシンプルにするメリット

基本軸をシンプルにするメリットは、物語の軸がぶれにくくなること以外にも存在します。

それは、シンプルな基本軸をシリーズ作品の中で固定しておくことで、「らしさ」の再現性を高められるというメリットです。

他作品の例を再び提示すると、『シュタインズ・ゲート』シリーズはどの作品も「主人公が時空を超えて大切な人を救う」ことに軸が置かれ、『のんのんびより』シリーズはどれも「主人公が田舎でのんびりと過ごす」こと、『Free!』シリーズは「主人公が水泳への情熱を取り戻す」ことに軸が置かれています。それゆえ、これらのシリーズでは、どの作品にも「らしさ」が存在しています。

複数作品であっても固定することのできる、シンプルな基本軸。これは、シリーズ化した作品たちに「らしさ」を担保するための、一つの目印になりうるでしょう。

〇『宇宙戦艦ヤマト』でも挑戦してみてほしい

宇宙戦艦ヤマト』の基本軸をどこに固定すべきかは、一人ひとりの考えがあって当然だと思います。例えば『2199』的な観点であれば「主人公が地球を救う」ことに、『2202』的な観点であれば「主人公が葛藤を乗り越える」ことにある、と考えることができるでしょう。

その中で私が思うのは、「基本軸を一つに定める」「固定し得る基本軸を構想する」ことに対して、意識的であってほしいということです。

起用された監督なり、脚本家なりといったクリエイターが、これまでの『ヤマト』作品を自分なりに分析し、”これ”と思う基本軸を言語化して中心に据える。私たち受け手は、それを吟味して検討する。その繰り返しによってこそ、『ヤマト』の「らしさ」という、極めて曖昧で感覚的なものの”最大公約数”に、少しでも迫ることができるのではないかと私は考えます。

*1:作り手が”ぶれ”ていなくても、観客の視点が”ぶれ”てしまえば意味はありません