こんにちは。ymtetcです。
チェスの名手、ミハイル・レトヴィザンを迎え、新たなスタートを切ったナーフディス。しかし、そんなミハイルにも一つの狙いがあって……
いよいよ『宇宙戦艦ヤマトNEXT スターブレイザーズΛ』も本筋に切り込んできたな、という印象です。今日は、『Λ』第20話について、第一印象を書いていきます。
○本筋に踏み込んだΛ
時空結晶体とは何か? リンネとは何者か? ニルヴァーナの目的とは何か?
そうした、これまでヒントしか提示されていなかった部分を明確にしたのが第20話だったと思います。
リンネこそオリジナルの時空結晶体であり、繰り返されるこの宇宙にあって、時空結晶体のオリジナルは「人類を破滅に導く」鍵でもある。
だから、ニルヴァーナは、宇宙の生と死、すなわち輪廻を終わらせること、すなわち宇宙を涅槃(ニルヴァーナ)に辿り着かせること、これを目的としている。
ミスリード部分もあるにせよ、だいたいこのような構図が今回明確化されたのではないかな、と思います。これまで随所で提示されてきたインド哲学用語を回収していく姿勢を、明確に示したのが第20話だと言えそうです。
このような物語の基本構造をどのタイミングで明確化するかは、作品ごとにそれぞれ工夫があります。大きく分ければ、序盤に明かすのか、終盤に明かすのかの違いがありますね。
『Λ』の場合、第20話を終盤だと仮定すれば、後者にあたるでしょう。
序盤に提示されていた「襲来するセイレーネスをトップネスが迎え撃つ」物語は、第20話で提示された物語の基本構造からすれば、あくまで仮の物語です。つまり、「セイレーネスをすべて撃退する」ことは、『Λ』の目指すゴール地点ではない。
特に第20話で『Λ』は、「襲来するセイレーネスをトップネスが迎え撃つ」だけでは、宇宙の生・生命の誕生・人類の滅亡・宇宙の死を繰り返す49回目の宇宙が終わり、50回目の宇宙が始まるだけなのだ、と示しました。
であれば、このループを何らかの方法で断ち切ることが、『Λ』の目指すゴール地点であり、いわゆる「ハッピーエンド」的な結末にあたると考えられます。
そこで興味深いのは、『Λ』のハッピーエンドを「宇宙の輪廻を断ち切ること」だと仮定した場合、これまで悪役として描かれてきたニルヴァーナこそ、それを目的とした組織だったという事実です。
「宇宙の輪廻を断ち切ること」をハッピーエンドだと感じて読んでいた今回の私には、ニルヴァーナがどこか正義の組織のようにさえ見えました。
その意味でも、第20話は読者の作品に対する見方を揺さぶる重要な回だったと言えそうです。
第20話については、もう少し機会を増やして、考えてみたいと思います。