ymtetcのブログ

偶数日に『宇宙戦艦ヤマト』を考えるブログです。

『2199』第14話と、「宇宙ホタル」回に見る『2202』の弱点

こんにちは。ymtetcです。

1年半ほど前に『2202』第10話(「宇宙ホタル」回)を検証する三つの記事を書きました*1。この時私は、『2202』第10話とは「『2199』の7話」に相当する回であり、古代がこのままテレザートに向かうのか、地球へ引き返すのかが問われた回であったと結論付けました。

今日は『2202』第10話を、「『2199』の14話」に引き寄せて考えてみます。2020年6月の結論を否定するものではなく、あくまで別の側面から考えてみるイメージです。

〇「非『2199』」的アプローチの垣間見える第10話

『2202』第10話を『2199』第14話に引き寄せてみると、『2202』第10話には別の一面が見えてきます。

何のためのイベントか:『2199』と福井ヤマトの違い」で、『2199』には「イベントのためのイベント」が多く、『2202』には「ドラマのためのイベント」が多い、と述べました。その観点からいくと、『2202』第10話はとても「『2202』らしい」と考えます。

『2202』第10話は、「宇宙ホタル」というイベントによって、「ヤマトクルー(古代)と空間騎兵隊(斉藤)が本音をぶつけ合う」ドラマを展開しました。

「宇宙ホタル」が古代の抱える葛藤を表面化させ、そのまま第13話の主題である「全員で背負う」に繋がっていきます。まさに「ドラマのためのイベント」です。言い換えれば、『2202』第10話の主眼は「宇宙ホタル」にはなく、それを通して描かれる古代進の物語に力を注いでいるわけです。

〇『2202』的アプローチの弱点

しかしながら、『2202』第10話は福井さんのアプローチの弱点も示しています。

ここで、『2199』第14話と対比させてみましょう。

『2199』第14話は、後発の『2202』に比べると、ドラマ成分は希薄になっています。しかし、「ミレーネルの精神攻撃」というイベントそのものに力を注いだその演出は『2199』の中でも屈指の”色”を放っており、第14話の存在感を高めています。その演出が賛否を集めた点も含めて、濃い味のあった回と言ってもいいでしょう。

一方、『2202』第10話における「宇宙ホタル」とは、単なる「古代と斉藤が本音をぶつけ合う」ドラマのきっかけに過ぎません「宇宙ホタル」の演出そのものに力を注ぐことも、なかったわけです。

なお、『2199』第14話と『2202』第10話の共通点として、エピソードの柱になった「ミレーネルの精神攻撃」「宇宙ホタル」が、いずれもあっけない最期を迎えている点が挙げられます。しかし『2199』第14話の場合は、波動エンジンの仕組みを活用してミレーネルを撃退しており、なぜミレーネルが敗北したのか、分かりやすくなっています。一方『2202』第10話の場合は、「殺虫剤」という世俗的な比喩表現でお茶を濁しました。

ここに、『2202』の弱点が一つ見えてきます。

人間ドラマとしての厚みがあったのは『2202』の方でしょう。ですが、『2199』第14話に比べると、『2202』第10話の「宇宙ホタル」は、あまりにもイベントとしての魅力に欠けていたと言わざるを得ません。ドラマが骨太でありながら、それを推進するイベントに魅力を欠き、結果的にエピソードの評価を下げてしまった。こうした『2202』の弱点が、第10話からは読み取れるのではないでしょうか。