こんにちは。ymtetcです。
今夜は恐らく、『2205』後章の情報がいくつか追加されるでしょう。主題歌予告か冒頭なのか……どちらかは出る可能性が高いと思います。
『2205』後章の話題も増えていくでしょうから、今日は敢えて、この話をしていきます。
旧作ヤマトは一体誰が作った作品なのか、ぼやけている面はありますが、多少は説明してあったりします。もちろん全てを鵜呑みにはできませんが。「次回作はこうしようと思ったけど松本零士さんが持ち込んだ原案があるので……」とか、公開前から結構ぶっちゃけてますよね(笑)。
— ymtetc (@ymtetc) 2022年1月29日
○よくわからないことの多い旧作シリーズ
さて、私は非リアルタイム世代の旧作ファン、という立ち位置で、これまで『復活篇』『SBヤマト』『2199』『2202』『2205』と楽しんできています。
それゆえか、新作『ヤマト』は(体験としては)多くの旧作ファンと同じように楽しんできたものの、旧作は体験していない分、相当に”わからない”ことが多いのも現状です。そこで1年ほど前から旧作の資料を時々集めているのですが、やはり、驚くことが多い。
例として、今日は西崎義展さんの語りを紹介します。
○西﨑義展さんの語り
旧『新たなる旅立ち』に寄せられた西崎さんの語りは、「私自身の”新たなる旅立ち”として…… ”さらば”から”永遠に”の軌跡」と題されています。『ヤマトよ永遠に』に向けて、これまでの『ヤマト』との関わりを回顧している内容です。
『さらば』世界線と『ヤマト2』世界線を全く別のシリーズのように認識してきた私としては、『さらば』と『永遠に』が並んでいるだけでも驚きであるわけですが、これがリアルタイムの社会にあった『宇宙戦艦ヤマト』の姿なのですね。
西崎さんは、「なぜ古代進は『さらば』で死ななければならなかったのか」を一通り語った後、「なぜ『ヤマト2』を作ったのか」については、かの有名な、松本零士さんが『さらば』に対して不満を持っていたとのエピソードを余談として挙げています。
興味深いのは、そんな経緯で誕生した『ヤマト2』を、西崎さんがこう表現していることです。
人に尽くす愛のテーマが同一でありさえすれば、主人公を生かすか殺すかはそれほど問題がないのではないか……そういう妄想と妥協のもとに、映画製作とは別に進行を任せた。それがTV版「ヤマト2」なのであった。
西崎さんは『2』を「妄想と妥協」の産物であると表現しています。
さらに西崎さんはこう続けます。
どんなことが起こるかわからない社会であっても、「人間は明日のために今日を生きる権利がある。だから、精いっぱい生きてゆこう」という呼びかけを、この第一作で行なったつもりである。(略)
ところが、ちょうど4本目の「ヤマト2」は、そうしたテーマ性が極めて稀薄になってしまい、プロデューサーのハンドメイド作品にならなかった点を、放映後につくづく感じたのである。
そして西崎さんは、「人間ドラマに戻して、新しいヤマトにしよう!」と決意して、『永遠に』とその足がかりである『新たなる旅立ち』を作ることにした、としています。
○わかること、わからないこと
これを読んで私が意外だったのは、初期の時点で、松本零士さんと西崎さんは、違う道を歩み始めていたようにも見えることです。
もちろん知識レベルでは、軍艦マーチや菊の御紋の件などで、初期の初期から意見の対立があったことは知っています。しかし、ここで私が驚いたのは、松本さんと西崎さんが、もはや別のチームで動いているかのように語られていることです。
- つまり、松本さんは”若者は生きなければならない”という、本来の『宇宙戦艦ヤマト』とは異なるテーマのもとに結末を考えていたわけであった
- 映画製作とは別に進行を任せた
- プロデューサーのハンドメイド作品にならなかった
これが『ヤマト2』。そして『永遠に』をめぐっては、
さらに、新たなる旅立ちについては、
- (『2』から17年後、といったような)まったく新しい「新たなる旅立ち」を考えていたくらいなのである。
- しかし、今回は共同原作の松本零士さんの意見を尊重すると同時に、残念ながらそこまでやるのは行き過ぎであろうと断念した。
とし、
と結んでいます。すなわち、松本さんは西崎さんのチームの一員としては語られていないように読めるのです。
このように、『2』や『新たなる旅立ち』『永遠に』『Ⅲ』の関係は入り組んでいて、非常に掴みにくいものとなっています。
非リアルタイム世代からすると、これらの作品は全て並列的に、『2』⇒『新たなる』⇒『永遠に』⇒『Ⅲ』⇒『完結編』と、綺麗にシリーズとして構成されているように見えます。しかし実態はそうではなく、もっとも根本的な、「なぜこれほどまでに続編が作られたのか」についてさえ、よく分からないのが現状なのです。
○「語り」が必要
いまや、「社会の中の『宇宙戦艦ヤマト』」は歴史の一部です。であればやるべきことは、残されている資料や回想をかき集めて、より実証的な記述を目指していくこと。
ですが、『ヤマト』の場合は、まだあの時代を知るリアルタイム世代の人が大勢いることが重要です。つまり、リアルタイム世代の「語り」もまた、日本の歴史の一部としての『宇宙戦艦ヤマト』を未来に繋いでいくためには、欠かせないと考えます。
以前「#私と宇宙戦艦ヤマト」というキャンペーンがありましたが、もっともっと深掘りしてもいいかもしれない。そう私は思います。